アプト式とSL、両方乗るなら一日がかり【大井川鐵道】

15:41
寿園CAFEでティータイムを楽しんでいたら、金谷方面からSLがやってきた。

おっと、予定よりも早い。後で知ったが、家山駅で4分の停車時間が確保されていた。そのせいで、発車時刻よりも前にやってきたのだった。

傘が必要なくらいに雨足は強くなってきていたが、義母を除いて3名でカフェを飛び出してSLを見に行く。あぶなかった、うっかり「SLだー!」と言って全員がお店の外に飛び出していたら、無銭飲食と勘違いされるところだった。

それにしても、思ったより地味だ。鉄の塊が力任せにグオオオオ、と動いているような印象がない。

先頭の蒸気機関車からは煙がでているが、黒煙ではなく湯気のようだ。車輪のあたりからは煙がでていないし。

むしろ、連結されている車両のほうが迫力がある。一体いつの時代の客車だ?とびっくりするような、博物館にでも飾ってありそうな車両が堂々と現役で運行していた。

それよりも仰天したのが、SLの最後尾だ。

えっ!?なんだこれ。

電気機関車が連結されているじゃないか。えっ、えっ?

動揺する。

この電気機関車はブルートレインに使われていたものだ。だからこれはこれで歴史的価値があるありがたい存在なのだが、SL列車の最後尾に付いているというのは意外だった。

・・・ということは、先頭のSLだけではこの列車は運行できていない、ということだ。

SLは単なる飾りなのか?
SLは稼働しているけど老朽化または元々のスペックでパワー不足で、電気機関車がそれを補っているのか?
または、往路はSLだけど復路は電気機関車が牽引するのか?

理由がわからない。

パーシーは、涼しげな顔でその様子を見ている。

16:04
SLかわね路3号を見送ったあとしばらくして、僕らは家山駅にやってきた。

かわね路3号が川根温泉笹間渡で折り返し運転となり、かわね路4号として家山駅に戻って来る。僕らはそれに乗るためだ。

でも、かわね路に乗るより前に、カフェの営業時間が16時で終了だったために早めに駅にやってきた。

16:07
家山駅の有人窓口には、「混雑するからきかんしゃトーマス号運行日に入場券の発売はしないよ」と書いてあった。駅構内でトーマスの写真を撮りたいなら、ちゃんと乗車券を買ってから入場してくれ、というわけだ。

僕らはかわね路4号のチケットをネット予約しているので中に入る権利があるのだが、なにせ証拠となる紙チケットがない。

駅員さんに、金谷駅のとき同様、「EX予約で手配したのだけど、システム不具合でチケットが発券できないと聞いている。列車内でチケットを発券してくれ、と言われているのでこのまま改札を通過してよいか?」ということを聞いてみた。

駅員さん、若干戸惑った様子だったが、ちょっと時間をとって「ああ、それでしたらだいじょうぶです、中に入ってかまいません」との回答を得た。

金谷駅にしろ、家山駅にしろ、連絡がちゃんと行き届いていないのだろうか?なぜ毎回、若干戸惑うのだろう?

16:10
蒸気機関車の汽笛が遠くから聞こえてきた。

あれっ?金谷方面から聴こえるぞ。

最初は、駅の南側に車庫があって、パーシー以外のSLが点検作業中なのかな?と思った。

しかし、ホームの端から音がした方向を眺めていたら、きかんしゃトーマスがやってきた。おーーー!きたきたきた!

トーマスに大して思い入れがない一同だったが、この光景には興奮した。

どんどん迫ってくるトーマス。

しかも、傍らには緑色のパーシーもいる。これは楽しい。

やけに到着が早いな?と予想外の展開にびっくりしたが、ダイヤを確認してみると家山16:09着、16:30発だった。なんとこの駅で21分も停車するのだった。

パーシーがいることだし、記念撮影をする人のためだろうか?

16:12
「わあああ、トーマスだ!」と興奮しているうちに、今度は川根温泉笹間渡方面から列車がやってきた。

僕らが乗る予定の、SLかわね路だ。

家山駅で、SL二台が競演だ!

・・・と思って、音がする方を振り向いてみて、「あれっ」と思った。というのも、やってきたのは電気機関車だったからだ。そりゃそうだよな、川根温泉笹間渡駅に転車台がない限り、SLの向きを変えることなんてできないんだから。

「なるほど、そうなっちゃうよな」と納得するし感心するが、これじゃあ「SLに乗ります!」という喜びが半減だ。EL(電気機関車のこと)に乗るのも貴重っちゃあ貴重なんだが。

運転席からにょきっと出た運転士さんの手には、タブレットが握られていた。単線区間の列車衝突を防ぐための閉塞方式として使われているタブレットだが、実物を見るのは僕は初めてかもしれない。これはこれで貴重。

先導するELに驚いているうちに、最後尾にSLがくっついてきた。

バックで客車を押していたのか、それとも新金谷に向けた帰り道はELにすべてお任せなのか、どうなっているのかはよくわからない。

後で大井川鐵道の公式サイトで、ダイヤを確認してみた。すると、「SL急行かわね路4号」と全く同じスジで「EL急行奥大井2号」が運行されていた。結論として、同じ列車ということだ。えー、そうなのか。

駅に到着したかわね路4号。

まさかSLが最後尾にあるとは思っていなかった。

ただ、メリットとしては家山駅で、SLが2台並んでホームに停車していること。

記念撮影に最適。

お互いが進行方向を向いていたら、こういう絵柄にはならない。

ちなみに、トーマスも例外なく、川根温泉笹間渡から新金谷への帰り道はバック走行になるらしい。

16:16
写真撮影をしたら、すぐに列車に乗り込まないと。出発はすぐだ。

車掌さんに話をしたら、「とりあえず乗ってください。座るところはどこでも良いです」と言われた。

この列車、1両ごとに車両の出自が全く違うようだ。我々は、空いていた車両で席を確保する。

ずらりと並ぶボックスシート。平日ということもあって、ガラガラだった。

予約制の列車なので、てっきり座席指定されるのだと思っていたが、「どこに座っても良い」と車掌さんが言うのは、なるほど納得だ。

それにしても古い車両だ。こんな古いのがまだ現役で動いていることに驚く。

あちこちくたびれて汚損や欠けが生じているのはともかく、座席の幅とか間隔が今の時代のものと違うのが、面白い。

(つづく)

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