
7時24分発の大井川鐵道本線、家山行きがホームに入線していた。
ホームは1つで、案外狭い。車両は電化されていて、2両編成。
家山駅は土砂崩れで路線が途切れている終端、川根温泉笹間渡から2駅手前。あと2駅なんだから、川根温泉笹間渡まで行けばいいのに・・・と思うのだが、需要とコストが見合わないのだろう。
ダイヤを調べて気がついたが、家山駅より先に行く普通列車は、1日3便しかなかった。超絶ローカル路線だ。
一方で、きかんしゃトーマス号をはじめとするSL列車は結構な頻度で運行されていて、川根温泉笹間渡まで行く。どうやら、この鉄道会社はここを観光路線と完全に割り切ったらしい。

大井川鐵道という名の通り、大井川に沿って進んでいく。眺めが美しい。
平日朝、ということもあって、客はとても少なかった。お陰で一家そろってのんびりと過ごすことができた。
新金谷駅には古い車両がいくつも並んでいたが、レトロ列車というよりボロボロな状態だった。留置しているのか、それとも放棄されているのかわからない状態だったが、鉄道に詳しい人なら垂涎の車両なのかもしれない。

07:57
家山駅到着。金谷駅から30分ちょっとの旅で、「大井川鐵道本線」とお別れだ。
家山駅の駅舎は瓦葺きの屋根を持つ、木造。駅員さんがいる有人駅だ。
それでも、SLのチケット発券は金谷駅または新金谷駅でしか行っていないのが不思議。

あっ、きかんしゃトーマスの仲間の「パーシー」がいた。
実物を見ると、トーマスに何の思い入れもない僕でさえ興奮してしまい、写真を何枚も撮ってしまう。
顔が付いた蒸気機関車、それも緑色というのはものすごく目立つし、気分が昂ぶる。
一方、金谷駅から乗ってきた車両だが、1両目と2両目では車両が違うことに今気がついた。どこの路線を走っていたものかはしらないが、2両ともかなり年季が入った風情がある。

家山駅。ここで改札を出る。
あれ?そういえばこれ、ホームに向かって看板が出ているんだな。普通、駅なら改札の外に向けて駅名看板が出るものだけど。

08:04
ここから千頭(せんず)までは、川根本町コミュニティーバスのお世話になる。
本来、町民の足として使われている乗り物だろうから、観光客がドスドスと乗り込んでくるのは迷惑かもしれない。きっと、マイクロバスか、それともワンボックスカー程度のものだろうし・・・と心配になる。
しかし、やってきたバスを見てびっくりした。えっ、大きい。都内で走っている路線バスと同じサイズだ。
もっとこじんまりやっているのかと思ったけど、良かった。これなら町民の皆様にご迷惑をかけなくて済みそうだ。
とはいえ、観光シーズンになると、この車両だけでは乗り切れなくなるかもしれない。だって、僕ら同様に金谷から井川方面まで大井川鐵道完全乗車を考えている人はたくさんいるだろうから。
金谷駅には「定員オーバーになったらバスには乗れないよ。乗れなくても増便はないよ」と明記されていたので、ハイシーズンにこのバスを利用する人は油断禁物だ。

しかしそれは杞憂だった。
バスに乗車して出発を待っていたら、もう一台おなじバスが横にやってきた。そして運転手さんに「あっちのバスに乗り換えてくれ」と言われた。なんと、今日は二台運行だったのだった。
なんで乗り換えなくちゃいけないのかというと、後から来たほうは途中下車なしのノンストップ便として千頭駅に行くのだという。へえ、そうなのか。
いずれにせよ、二台で運行してもらえるなら安心だ。金谷駅には「一台で運行している」と書いてあったが、たまたま今回はGW期間中ということで増便したのかもしれない。

バスは千頭駅に向かう。08:15家山発で、09:00千頭着。45分の旅だ。おっと、さっき乗った大井川鐵道よりも乗車時間が長いぞ。
途中のバス停でときどき停車し、地元のお客さんが乗ってくる。えっ、ノンストップ便じゃないの?と不思議なのだが、ひょっとしたら「乗るのはどこからでもOK、降りるなら千頭駅だけ」という縛りがあるのかもしれない。そこは説明がなかったのでよくわからない。
川根温泉ホテルバス停は、上り(千頭→家山)は降車専用、下り(家山→千頭)は乗車専用となります
と時刻表には書いてある。変わった運行形態だ。
ようするに、川根温泉ホテルは千頭方面からしか、バス送迎はやりませんよ・・・ということだ。
家山駅も、川根温泉ホテルも、川根本町ではなく島田市に位置している。島田市の中だけの移動のために川根本町町営のコミュニティバスを利用されるのは趣旨が違う、ということだろうか?

08:57
千頭駅到着。
広々とした駅前。もっと地味な場所かと思っていたけど、予想外だった。
駅前には売店や飲食店がいくつもあった。
ここでご飯でもたべられれば良いのだけれど、井川行きの列車への乗り継ぎ時間は15分しかない。帰りのときも、やっぱり15分しか乗り継ぎ時間がないために、この駅周辺を散策する余裕はまったくなかった。
ここまで車でやってきて、そして大井川鐵道井川線に乗る、というお客さんが結構いるのだろう。そういう人向けのお店だと思われる。
なにせ、我々がこの後に乗る列車は09:15発で、それを逃すと3時間5分後になる。

千頭駅。
これまでの駅よりもデカくてびっくりする。
日本唯一のアプト式鉄道を目掛けて、利用客が多いのだろうか?

2022年9月の台風被害によって川根温泉笹間渡駅~千頭駅は不通になっている、という告知が駅のガラス窓に貼ってあった。
ここにも「コミュニティバスは川根温泉には停まりません」と書いてある。温泉宿泊客がドドドとバスを利用したんじゃ、町民が乗る余地がなくなる!ということなのかもしれない。
(つづく)
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