ストレス発散やけ食いの旅
日 時:2007年(平成19年) 01月06日~08日
場 所:いかだ荘、渡鹿野島、安乗崎、あおやま荘、ホテル浦島、那智大滝
参 加:おかでん、ひび、しぶちょお (以上3名)
年末年始、ストレスを溜め込みすぎて、もうテレビを見るのもイヤだしパソコンの画面を見るのもイヤだ、友達はビールしかいないんだボクは状態になりかかっていたおかでん。まて、ビールは友達ではないぞ、肝臓をむしばむ、諸刃の剣だぞと言い聞かせつつの毎日。
そんな不健康な生活を送っていると聞きつけたアワレみ隊企画屋しぶちょおが、よっぽどこりゃあおかでんヤバいぞと心配してくれて「とにかく金とこの3連休の明き日程だけ確保しておけ。集合場所と行き先はこっちで決める」と連絡をよこしてきた。「えー、でも仕事もあることだし、家で体力温存しておきたいんですけど」と弱音を吐いたのだが、「いいな、逃げるなよ」と念押しされてしまった。
その後、いろいろ企画について二人で議論したのだが、「とにかく季節なので初日は牡蠣を食べます。的矢に行って牡蠣を食べまくるのです」ということになった。おかでんの「行きたくないのぅ」指数がぴくりと減少。牡蠣、大好きです。
「二日目は、温泉三昧にしよう。勝浦のホテル浦島が空いているようなので、そこに予約を入れよう。ここは洞窟風呂が会ったり、ホテルに行くのに船を使わないといけなかったり、半島全体がホテルになっている巨大施設で面白いぞ」おう、その組み合わせだったら「行ってもいいかのぅ」指数の方が高くなってきた気がする。その企画で了承。
「せっかくなんだから、料理にはちょっとお金かけるよ。何しろストレス発散しなくちゃいけないから。中途半端はいかん」
へへー、仰せの通りに。
特に、何だか夕食のメインディッシュが冷めたトンカツでした、とかいう宿はちょっと、あんまりなので、もうどうにでもして。残業代がたくさんあるので、とりあえずの現金だけはそこそこ持っているんで。なにしろ、給料の倍、残業代を貰っている有様。
いやー、こうやって世の中経済ってのは回転していくんだなあ、とつくづく思う。ひいひい言って深夜まで働いて、残業代もらって、そのお金の大半がストレス発散のための一時的な美食や、ガタが出ている体のマッサージ費用などに消えていく。絶対、これからますます「癒し」がキーワードのビジネスって伸びると思う。
2007年01月06日(土) 1日目
「いいか、今回は一発目の企画が2泊3日の旅のピークだからな」
と事前にしぶちょおに言われていた。
「本当は最後に持ってきて、ああおいしかったね、で〆たかったんだけど、予約が取れなくて」
彼がそう言って悔しがるのは、三重県は的矢にある牡蠣料理を出すお店、「いかだ荘 山上」のかき会席料理の事を差す。しぶちょお及びひびさんは、大抵冬の牡蠣シーズンになるとこの地を訪れ、牡蠣を満喫しているのだという話は以前から耳にしていた。
「絶対満足するから。」
しぶちょおは自信満々に、ハンドルを握る手をより力強く握りしめながら語る。
「今回は気合い入れ過ぎちゃって、普通5,500円のコースを頼むところを6,500円でお願いしたから」
それは気合い入りすぎだ。さすがにその値段に少々ビビるが、どうせ名古屋まで新幹線で片道1万円近くかけてやってきているのだ、今更ソレくらいの価格でビビっても始まらない。今回は「半端なく楽しむ」ことに主眼を置くことにしなければ。
とはいっても、当日の朝まで「うわあ、行きたくないなあ。旅行キャンセルの電話入れちゃおうかなあ」と逡巡していたのは内緒。
到着した「いかだ荘 山上」はまるでホテルのような作りになっていた。
「これ、料理屋なのか?」
「いや、旅館なんだけど、お昼は食事も受け付けてるんだ。本当はここに一泊したかったんだけどね」
なるほど、納得。
料理屋さんにしてはやたらと広いロビーをしずしずと仲居さんに案内されつつ、お座敷に通される。
通された席がこちら。
何だか楽しくなってしまい、笑う。
「おい、料理がこれから並び始めるから机の上が広々としているのは理解できるんだが、この机の配置と鍋の配置はどうだ」
三人で訪れたわけだが、コの字型に机が並べてある。もちろん、お誕生日席に着席させるためではなく、奥に2名、手前に1名の配置だ。
「この机、決して小さいわけじゃないよな。普通、2卓で4名分の席になるはずなのに・・・そもそも、奥の、この鍋の配置を見よ!」
「要するに、それだけ料理を並べるぞということだな」
「犯行予告、ということでいいね?」
「いいんじゃないかと」
チクショウ、やる気満々じゃねぇか。このテーブルいっぱいに牡蠣を並べようなんざ、ノロウィルスとか言ってられねぇぜ。
とはいっても、さすがにノロウィルスが歴史的に大蔓延してしまったこの昨今、お店としても慎重にならざるを得ないようで。
最初に、注意書きを提示された上で「体調の方は問題ございませんか?生牡蠣をお出ししても大丈夫ですか?」と確認された。
三人とも、必要以上に大きく頷き、「もちろんです。生牡蠣早く食べさせてください」
と、大丈夫であることに加えて「早く食べさせろ」と督促までするありさまだった。
なお、風邪、過労、睡眠不足で体調を崩したりアレルギーがある人は念のためやめとけ、とこの注意書きには書いてあった。その場合は生牡蠣は没収するというわけではなく、ちゃんと加熱料理で提供するので安心せい、と。
「まあ、今日はおかでんがわざわざ東京からやってきたわけだし、ストレス発散を兼ねてどーんとやろうじゃないか」
というしぶちょおのお言葉で、どーんと牡蠣尽くし開始。
テーブルに既に配置されていた料理は、
上:牡蠣南蛮漬け
下:おろし牡蠣
さりげなく置いてある小鉢の時点で牡蠣が5個も使われているんでスけど。ぜいたくですなあ。
「これはビールを飲め、ということでよろしいのか?飲まないとはじまらんだろ、これだけ牡蠣ちゃんを並べられたら!」
と一人で・・・いや、ひびさんも期待に目を輝かせながら、ビールを注文。そんなことをやっているうちに、なにやら桶に氷をいっぱい詰めた状態のものが運ばれてきた。あ、生牡蠣だ!
来たぞ、ノロウィルスの大本命。
いや、そういう言い方はヤメなさい。
それにしても、なんというつややかさ、なんという身のぷるぷるっぷり。
「生牡蠣で提供されているものは、一番いいものなんだよ。だから、他の料理のものよりも大きいし、旨い」
としぶちょおは自信満々だ。
「おー」などと、カメラを振り回して撮影しているおかでんを後目に、さっさと生牡蠣を満喫しはじめる二人。見よこの至福の顔を。
料理は次々と運ばれてくる。
「大変だ、のんびりビール飲んでる場合じゃないぞ。早くしないとどんとん料理が出てくる」
「冷めないうちに食べないともったいないぞ」
「わかった。じゃあ、のんびりビールを飲むんじゃなくて、ぐいぐい飲む」
「そっちの方か!」
とか言っているうちに、焼き牡蠣登場。
焼くと身がきゅっと締まるんだな。生牡蠣がベローンとノビてる状態だとすると、焼き牡蠣は「はうっ」と引き締まってる。これが、ぷりぷり感をさらに強くして、旨い。
「しぶちょおありがとう、ボクは今猛烈に感動してるよ。牡蠣をこんなに旨いと思ったことはない」
「そうか、少しでもそれでおかでんのストレスが解消できれば良いのだが」
「いや、それとこれとは別で」
「え、そうなの?」
いやもう、とにかく食事に集中しようではないか。
牡蠣伝法焼きが着た。
伝法焼きとはなんぞや、ということで調べてみたら、魚介類や野菜などを貝殻に詰めてあぶる料理方法を差すそうだ。
この伝法焼きの場合、グラタンと茶碗蒸しを足して二で割ったような、そんな味わい。これはちょっと目先が変わって、洋風な味わいが楽しい。
「一番搾り」で牡蠣を楽しんでいたのだが、どうも牡蠣の生臭さがクローズアップされちゃっているような気がしてならなかった。
だから、二本目のビールは「スーパードライ」に切り替えてみた。
おや。
届けられたスーパードライ、「伊勢志摩国立公園」仕様のオリジナルラベルだ。
荒波の絵と、真っ赤に染め上げられた伊勢海老ちゃんの勇士が。
「これは素晴らしい。まさに志摩に着た!っていう旅情を感じさせるではないか」
ラベルごときで旅情を感じられるんだから、なんとも安いという気もするが、牡蠣の本場である的矢で牡蠣を食らい、そして伊勢海老がラベルになっている特殊なスーパードライを飲むと、ますますテンションがあがる。
ただし、当然のことだが、瓶の中の味は一緒だ。グラスに注いじゃえばわかんなくなる。
牡蠣黄金あえ
牡蠣土瓶蒸し
牡蠣蕎麦
牡蠣フライ
いろいろ牡蠣料理が出てくるのだが、やっぱりシンプルにフライ、生、焼きの3種類が純粋においしいと思った。それ以外もおいしいのだが、手をかけた分だけ美味さが増すかというとそうではない。素材が良いからだと思うけど、そのままの方がおいしかった。
でも、いろいろな食べ方を変幻自在に見せてくれるこのお店の料理には脱帽だ。
牡蠣土手焼き
牡蠣ご飯
牡蠣スープ
沢庵
「なに?おかでん、沢庵まで撮影するの?」
「あ、ここまで撮影する必要はなかったか」
「しかもマクロ撮影して、えらく旨そうに撮れたなあ」
最後。「デザート(季節の果物)」と書いてあったので、何が出てくるのかと思ったらミカン1個だった。
食事場所の窓から外を見ると、的矢湾がきれいに見えた。この建物は丘の上に建てられているので、眺めが良い。
正面に島が見える。
渡鹿野(わたかの)島、という。
事前にこの島については調べてきており、その島を実物で見たのでドキドキしてしまった。
この島は、古くは漁船の船溜まり場だったという。悪天候が収まるまで、漁に出ていた漁船はここで待避していた。その間、島の女たちは、海の男達を相手に春を売って商売をしていた、というのだ。
そういう歴史が今にも引き継がれ、今でもこの島ではお金を払えば女性と一晩楽しむといったことが容易にできるという。短時間だと2万円、一晩だと4万円が相場だとか、ちゃんとした施設があるわけじゃないので女性の自宅に連れて行かれるだとか、渡船から降りたら客引きのおばさんがすすすっとすり寄ってきて、女性を紹介しようとする、とか、大変にいかがわしい・・・というか、興味深い島であるようだ。このあたりは、興味があればwebなんぞで別途しらべてください。
ただ、思ったよりも情報量が乏しいので、今僕が語った又聞き情報が「過去の遺物」なのか、「現在進行形」なのか、はたまた「デマ」なのかはさっぱりわからない。気になる。とても気になる。
こちらから、パラダイスな島を目視しようとしたが、何も発見できなかった。島の集落はこの反対側にあって、こちら側からは伺いしれないらしい。
いかだ荘から下ったところに、渡鹿野島ゆき船のりば、とかかれた場所があった。
がらーんとしていて、車一台すら止まっていない。あらら。
調べてみると、こちらからの渡船の定期便は無くなってしまったらしい。
志摩スペイン村とわたかの島の接続タイムスケジュール、なんてのが書かれている案内看板があったところをみると、スペイン村で遊んで、夜は渡鹿野島で遊ぶ、というダブルの遊びをする人も結構いたのかもしれない。
島の表玄関になるという、いかだ荘から的矢湾ぐるりと回り込んだ「渡鹿野口」に行ってみた。
正面に、噂の島の集落が見える。
「・・・普通だぞ?」
「ああ、普通だな。単なる旅館らしきものが立ち並んでいるだけだ」
船着き場近辺は、旅館宿泊者専用の無料駐車場がずらりと並んでおり、一般観光客の駐車場は小さく存在し、500円するんだという。ちぇっ、無料じゃないのか。
「どうする?渡る?」
「いやあ・・・渡って、そこでいろいろ勧誘されたらどうしよう?」
「断ればいいじゃん」
「そうなんだけど、ドキドキするなあ」
妙にソワソワしてしまい、怖じ気付いてしまい「とりあえず、この先にある灯台を見物だ!渡島するかどうかはそれからだ!」という大変に無意味な時間稼ぎを決定。
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