南紀旅行

赤い帯をたどる

むかーし見た、探偵マンガだったか探偵ドラマだったかのように、虫眼鏡を片手に足跡を追いかけていくと、そこに重要証拠が・・・

ってな塩梅で、右左に折れ曲がっていく赤い帯を、三人ともうつむき加減で追いかけていく。

コンベンションホールの横を通り、狭い廊下の間を突っ切り、奥に見えるゲーセンを無視しつつここで直角にカーブ、と。

エレベーター

あ、エレベーターっすか。

どうやらこのエレベーターで上に上がれば、そこがわれわれの宿泊棟である「赤島館」になるらしい。

「まさに探検だな」

徒歩距離の問題もあるが、理解力の問題でこりゃお年寄りには無理だわ。必ず若い人の付き添いがいないと。

「冥土のみやげに、一度ホテル浦島に泊まってみたかったのよぉ~」なんて、単独で泊まりにきてはいかん。きっとこのホテル内で行き倒れて、ホテル自らが冥土と化す。

浦島ショーのご案内

ホテル内には何でもそろっていて、外に一歩も出なくて良いようになっているとはわかっていたが、なるほどショーもやっていたか。

「浦島ショーのご案内」だって。エレベーターの中にこんな看板が出ていた。

まさか、「むっかしー、むっかしー、浦島がぁ~♪」って、あの唄を歌いながら竜宮城に行くような幼稚園の演技を見せられるんじゃないかと、マニア心をくすぐるワクワク感を覚えたがさにあらず。

写真に写っているのは、何やら女形をした男性だ。「浦島の玉三郎」なんて書いてある。ロリー山岡さん、なる人物がショーをやるらしい。この様子を見ると、梅沢富美男がやるショーみたいなものをやるのに違いな・・・

あれえ?

「浦島の玉三郎ことロリー山岡によります『お笑いバラエティーショー』」って書いてある。お笑いなんかい。

一体どんな内容で、またどんな客がこういうショーを観るのか大変に興味があったが、面倒なので行かなかった。800円の入場料金は安いと思うので、この宿に泊まる機会がある人は、ぜひ。

延々と歩く

さてわれわれは、エレベーターを降りてからもまた延々と歩くんである。

いやはや、広い。

「本館」だの「赤島館」だの、建物の名前が分かれているので、きっと建物毎は細分化された小さなものなのだろうとタカをくくっていたのだがとんでもない。一棟一棟がでけぇことでけぇこと。

通された部屋

通された部屋がこちら。

建物の古さは隠しようがない事実だが、しかし過不足ないし清掃も行き届いた部屋だ。

謎のスイッチ

しかし気になるのがこれ。

入口入ってすぐのところにある、謎のスイッチ。

試しに「使用中」のところにスイッチをあわせてみると・・・

部屋の上に赤いランプ

あら。部屋の上に赤いランプが灯った。

「うわ、何だか怪しいホテルみてぇ」

一体このランプに何の意味があるのか、よくわからないが、何か深い意味が従業員の間ではあるのかもしれない。謎だ。

「Don’t Disturb、みたいなものだろうか?」

うーん?

窓からの眺め

窓からの眺め。

すぐ下に巨大なコンベンションセンターがあるので、釣り糸を窓から垂らしてフィッシュオン!なんて真似はできないが、それにしても湾内を一望できて大変によろしい。

楽天トラベルでの前々日予約だったのだが、良い部屋を確保してもらえたと思う。かわいそうなのは山側の部屋で、窓を開けたら崖しか見えないんじゃないかとご同情申し上げまする。

ちょうど正面には、例のカメ船がこちらに向かって接近中。

忘帰洞物語

部屋に置いてあったお茶菓子。

「忘帰洞物語」だって。

「忘帰洞」とは、この宿が誇る、洞窟風呂の事。巨大な洞窟の中に、お風呂がある。時々「洞窟風呂」を名乗る温泉宿はあるが、そのほとんどが「ご主人が10年がかりでこつこつと掘り進め・・・」という血と涙の熱血話が伴う。しかしここの洞窟の場合、天然なのでその穴のでけぇことでけぇこと、ということらしい。(おかでんはこれからそこに行くので詳細は知らぬ)

で、あまりに素晴らしいので、どこぞの殿様が「帰るのを忘れるのぅ」と言ったとか言わないとかで、「忘帰洞」なんだって。

ま、由来は兎も角として、そんな自分とこの風呂の名前を、お菓子にできちゃうんだからこの宿って凄い。他にも、土産物屋をうろついてみたら、「ホテル浦島」っていうそのものズバリなお菓子まで売られていた。巨大有名旅館だと、もう自分そのものが観光名所になっちゃうのね。

お風呂の案内

さて館内には6カ所の温泉があるわけだが(山上館宿泊者専用の風呂を入れると7つ)、それぞれに入浴時間が異なっているので大変にヤヤコシイ。

朝6時から使える風呂があったかとおもうと5時だったり、お昼まで使えるかと思ったら朝9時から「清掃時間でーす」になっていたり。夜も同様だ。遅いところは24時まで入れるが、早いところは22時で終わり。

6カ所全部のお風呂を巡ろうと考えるなら、緻密な計算に基づいて行動しないと、入りっぱぐれてしまうので要注意なんである。ああ、ややこしい。

しかも、お風呂同士の距離がものすごい離れているので、これもまた要注意。山上館の「狼煙の湯」と「なぎさ元湯」との間には、徒歩15分くらいの距離感があるんじゃないか。立て続けに風呂に入ろう、なんていうのは「お湯でのぼせる」以前に、体力が消耗しすぎてダメだわ、こりゃ。

お風呂の写真紹介

その各種お風呂の写真紹介パネル。

といっても、よくわからんな、この写真のサイズだと。

まあ、真ん中上の写真が忘帰洞で、「どうやら洞窟の中に風呂があるっぽいな」程度に理解してもらえば良いかと。

惜しいのは、どうしても男女の仕切りを作らなくちゃいけないので、洞窟風呂の風情が欠けていること。これだけの巨大施設のこと、混浴なんてしようものならしっちゃかめっちゃかになるのは目に見えているのでやるべきではないが、それにしても惜しい。

温泉宿でマッサージを受ける

チェックイン時間が早かったこともあって、「温泉宿でマッサージを受ける」という、今までやったことのないぜいたくをやってみることにした。

この宿の場合、さすが巨大旅館だけあって二カ所にもこんなお店があるんだから驚く。

巨大マッサージ看板

ボディケア50分で4,500円という価格設定。一般的な相場である10分=1,000円よりもやや安くて、ちょっとお得感あり。いったんお風呂に入ってから、三人そろってグリグリしてもらうことに決めた。

それにしても大がかりな店だ。マッサージ用のベッド数だけで一体いくつあるんだ?5つや6つじゃきかないくらい、置いてあるぞ。

スペースウォーカー

さてわれわれは、まず6つの風呂のうち、山の上にある「狼煙の湯(女性の場合は天女の湯)」に行くことにした。明るいうちに行けば、風呂から那智の滝を眺めることができるんだという。

ただ、そこに行くためには、現在海抜ほとんどゼロメートルのところから、山の上まで昇っていかなければならない。

そこででてくるのが、スペースウォーカーなるエスカレーター。大げさな名前だ。スターウォーズのルーク・スカイウォーカーみたいな名前だ。

模型も展示

さすがの自信作なので、模型も展示して「どうだ!」と誇示していた。

傾斜角度30度、階段数428段、所要時間5分45秒。

おい、6分近くもエスカレーターに乗っているのかよ。そりゃすげぇな。退屈になっちゃいそうだ。文庫本でも持ってくれば良かったのでは、という気になる。こりゃ、どんなに狼煙の湯が良い風呂であっても、1回限りだなあ。何回もこのエスカレーターを往復するというわけにはいかない。

ちなみにこのエスカレーター、運行時間が06:30~22:00なんだそうで。

「おい、それ以外の時間帯、山上館に寝泊まりしているひとはどうするんだ。歩いて登れというのか?」

と一瞬あれっ、と思ったが、ご安心を。山上館にお泊まりのお客様には、ちゃんと専用エレベーターがございますので。

なるほど、そのエレベーターをぜひわれわれにも使わせなさい、と思うが、それはそれ、これはこれ。差別化ってやつですな。

ものすごく長いエスカレーター

実物を見ると、さすがにこれはすごいや。

もうちょっとナメた角度で、ちんたらと昇っていくエスカレーターかと思ったのだが、情け容赦無しの角度でぐいぐい昇ってる。

登る健脚、歩く健康

いや、「登る健脚、歩く健康」って言われましても。

ただ、おかでんとしても山登りを趣味としている以上、エスカレーターに頼るのはよくないと思い、登る健脚を試してみましたよ、ええ。

・・・体力的に疲れた、というより途中で飽きた。あと、堅い階段なのでこれ、膝にくるわ。体動かすのが楽しくてしょうがないガキンチョ専用チャレンジコースに認定。

踊り場

途中、踊り場みたいになっていて、そこにはソファがあって休憩できるようになっていた。

エスカレーターで数分立ちっぱなし、というだけでも疲れる人いるだろうしなあ。

エスカレーターが三段階

で、こんな感じで、エスカレーターが三段階に分かれて、ぐいぐいと登っていくわけですよ。

これ、メンテナンスするだけでも相当大変なことだと思う。よく地下鉄の駅なんぞで、頻繁にエスカレーターのメンテナンスをやっているのを見かけるが、ああいうのをここでやろうとしたら一体どれだけの時間がかかるのやら。

山の上に到着

本当にきっちり6分くらいかけて、ようやく山の上に到着。

そこですぐに温泉にザブーンなのかと思ったが、「山上館宿泊の方以外は入るんじゃねーぞ」的な自動ドアの向こうに、さらにエスカレーターが。さすがにこちらは入っちゃいけないっぽいので、「そうですよね、僕らははるか下に宿泊してる者ですもんね」と言いつつ、脇にある外に通じる道に出る。

うう、寒い。

1月なので、とても寒いぞ。

こんなところで山上散歩する羽目になるとは思わなかった。

勝浦港を一望

眺めは大変によろしいです。勝浦港を一望。

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