南紀旅行

ホテル浦島がある半島

熊野の目張り寿司で少し目を覚ました状態で、車は進む。

延々と進んでいるうちに、勝浦が近づいてきた。

「ほら、あれがホテル浦島だ」

しぶちょおが指さす先には、半島が見えた。あの半島のほぼ全部が、ホテル浦島の敷地となる。こちらはホテルからすると「裏側」にあたる場所になるため、一部の施設しか見えていない。半島の反対側に、本館などの施設がある。

勝浦には一度訪れた事があるのだが、湾内からそのホテルの遠景を見て「でけぇ!」と思わず叫んでしまったものだ。本日これから、そのホテルに宿泊できると考えるとわくわくする。

「何しろ、風呂が6つもあるんだぞ。しかもその温泉が素晴らしい」

しぶちょおとひびさんは過去に一度、10年ほど前にさかのぼるが、宿泊した経験があるという。そのとき、(飯を除いて)大変に満足したということで、今回この宿を再度セレクトしたという次第だ。

「風呂を満喫するためにも、できるだけ早くチェックインする必要がある」

そういうわけで、急いで目張り寿司を頬張り、今朝の宿も早めにチェックアウトし、ここまでやってきたというわけだ。

ホテル浦島駐車場

勝浦の市街地に入る随分手前に「ホテル浦島駐車場」という看板を発見した。

「え・・・?ここで車を降りろ、って?まだ随分と距離がある場所なのに・・・」

不安にさせられる。

それにしてもこの駐車場のデカさは一体何なんだ。この写真、駐車場の中央部くらいから片側を撮影したもの。ということは、この倍の広さがあると思って頂きたい。でけぇ。

さすが3,000人収容可能な巨大宿だけある。紀伊半島の先、という交通の便の悪さなんて何のその、なんともスケール感が違う。

ちなみに日本最大の宿は、大分・別府にある杉の井ホテルで、こちらはさらに数百人余計に泊まることができるという。建物一つで自治体ができそうな勢いだ。

送迎バスが待機

まさかここから港までテクテクと歩くんじゃないだろうな、と思ったら、お迎えのマイクロバスがちゃんと待機していてくれてほっとした。

これに乗って、船着き場まで行くのだという。

マイクロバスに乗って、勝浦港へ向かう

マイクロバスに乗って、勝浦港へ向かう。

このホテル浦島、半島という立地条件に建てられた宿であるにもかかわらず、宿泊客は等しく船に乗っていかなければならないという「制約」がある。まあ、風情ってヤツだ。恐らく、「亀に乗って竜宮城へ」という浦島太郎を意識したのだろう。

おとなしく陸続きでホテルに行かせろコノヤロー、と思う節もあるが、3,000人もの宿泊客が乗ってきた車をどこに駐車させればいいんだコノヤロー、という話も当然宿側からはあるわけで、事実上無理というものだ。食材運搬車など、業務用車両に限ってホテル直近まで車が進入できるらしい。

船着き場

勝浦港にある船着き場でわれわれは車を降りた。

下車する前、運転手が「いったん車をUターンさせますので、もうしばらくお待ちください」といって車を船着き場からさらに奥、ターンできる広いところまで先に進めた。

「おいおいおい、どんどん目の前にホテル浦島が迫って来るんでスけど」

目の前に迫り来るホテル浦島の巨大な建物。・・・で、そのあとバスは予定通りUターンして、ホテルを背にしてそのまま船着き場へ。一体何やってるんだ、われわれは。

風情というか、無駄というか、なんとも不思議な面白さがある。

まあ、船に乗って宿に行くなんて、それだけでも十分「旅の思い出」として家に帰ってから親戚家族友人に語ることができる。「効率悪くてヘンだったよ」なんて口が裂けても言っちゃイカン。

ホテル浦島行きの船時刻表

さてそのホテル浦島行きの船なのだが、ちゃんとバスのように時刻表があるのですな。

チェックイン、チェックアウトが集中する時間は随時運行で、それ以外は1時間に2~3本のペース。

夜10時30分まで運行されているのがちょっと珍しい。ヤドメシを嫌って、素泊まりにして、食事は勝浦の良心的なお店で食べてから宿に戻ってくる客も結構後を絶たないという。確かにそれも賢い選択だ。バイキング料理はイヤだ、って人にとっては、そういう泊まり方もありだろう。

ホテル中の島行きの乗り場

船着き場には、ホテル浦島行きの乗り場と並んで、ホテル中の島行きの乗り場もあった。

写真奥に見えるのがホテル中の島。手前の船が、中の島行き連絡船。

こちらは、完全に島になっていて、物資輸送から何から船を利用しなければならない。こちらも巨大旅館であるが故に、食材やら何やら、運搬するのは海路利用でとても大変だと思う。

ホテル浦島

さて、我らがホテル浦島だが。

美しい半島の水面に映えるホテルの光景、と言いたいところだが、ホテルを覆うように防波堤というか埋め立て地が延伸してきて、何だかあまり美しくはない。ホテルの前に漁船がたくさん泊まってる。昔はもうちょっと見栄えが良かっただろうに、惜しい。

まあ、いずれにせよ、正面に見えるやたらとデカい建物がホテル浦島だ。あと、山の上に何やら建物が見えるが、あれもホテル浦島。「山上館」といい、あそこまではエスカレーターで5分かけて登っていく事になる(宿泊客は専用エレベーターがあるので大丈夫)。

また、この半島は縦横無尽にトンネルが掘られていて、この半島の反対側、外海側にある「日昇館」などの建物と繋がっている。まあ、ホンマによーやるわ、と感心する。

何だかヘンな船が来たぞ

建物の中を探検するだけで1時間じゃ済まない、という話を聞いていたので、そういういの大好きなおかでんにとってはワクワクもんだ。

ワクワクしながら渡船を待っていたら、おお、向こうから何だかヘンな船が来たぞ。

亀が迎えに来た

何じゃこりゃー。

お隣の中の島行き船がごく普通の外観なのに対し、こっちは万国旗で飾られているし、そもそも何だこの変なギョロ目は。

・・・ああ、わかった。亀だ!亀だ!

浦島だから、亀が迎えに来たってわけか。

ちょっと待て、ということは、あのホテルは竜宮城ということか。うそーん。竜宮城にしてはやけに・・・いや、これ以上言うまい。

たくさんの人が乗船

本来であれば、亀を助けた浦島太郎一人だけが竜宮城にご案内されたのだが、なぜかこの亀にはわれわれを含めてたくさんの人が乗船。

一体お前ら亀に何をしてくれたんだ、と一人一人問いつめたいが、それを突き詰めるとおかでん自身何もやっていないので、おとなしく船が動くのを待つ。

それにしても船の航路はなんともイマイチ感が強く、結局宿の正面にまでせり出して来ちゃった埋め立て地と防波堤をぐるりと大回りするだけじゃん、という状態。それだったら埋め立て地の先から渡船出せば、ものの1分で到着するじゃん、という身も蓋もないことを言ってはダメだ。

旅情ですよ、旅情。実際、相当楽しんでしまっているワタクシ。

ホテル浦島到着

ホテル浦島到着。みんなぞろぞろと船着き場から宿へと向かっていく。

浮き桟橋のたもとに、「魚釣り」という看板が出ているので、まるでみんな魚釣りに来たかのようだが、それは違う。

ホテル浦島

ホテル浦島。

増改築を繰り返したんだろうが、とにかく複雑な構造になっている。ま、その複雑さは今後おいおい紹介するとして、われわれも建物の中に入ろう。

謹賀新年

ああそうか、まだ幕の内が明けていないんだったな・・・と今頃になって気づく。まだ1月早々なのに、まさかこんな紀伊勝浦の先端で、船にのって温泉宿に来ることになるとは一昨日までは想像すらしていなかった。

チェックインカウンター

チェックインカウンターは大混雑。

そりゃそうだ、一度にたくさんの人が船に乗ってやってくるんだから。アイドル時とピーク時のギャップが相当に激しいはずだ。

中高年の宿泊客が多く、なかなか要領を得ずに何度も従業員に聞き返している人が散見された。どうやら、自分の寝床の場所と現在の位置関係がよく理解できないらしい。

館内のご案内図

まあ、そりゃそうだわな。渡されたのが、これ。「館内のご案内図」。

情報量多すぎて、もう一体何が何だか訳がわからん。まず、6カ所ある温泉はどれ?というのを認識するだけでも一苦労だし、どういうルートを使ってそこに行けば良いのかもぱっと見てわからない。

何しろ、山の上数十メートルの高さにあるはずの「山上館」までもがこの二次元地図上に描かれていて、もう高低差もへったくれもない強引な地図なんである。これ以上正確に分かりやすく描け、というのは無理があるが、いずれにしてもダンジョンだ。増改築を繰り返し、規模を拡大していった温泉宿の宿命だろう。

ホテルの航空写真

マンガ地図じゃ判りにくいと思ったので、壁に貼ってあったホテルの航空写真をば。こちらが表面。

本館が海面に沿ってずーっと伸びている。あと、丘の上に山上館。惜しいのが、ホテルを覆うようにできてしまった埋め立て地。これがなければ随分と見晴らしが良かったのだが。

ホテルの裏側

で、こちらが半島の裏側。トンネルを掘って、岩礁が多い裏手の方にも建物作っちゃいましたー状態。プールがあったり、東側にあるということから名付けられた「日昇館」がある。あと、洞窟風呂として名高い「忘帰洞」「玄武洞」もこちら側だ。

プロジェクトXにも採用できるくらいの、一大土木プロジェクトだったということは想像に難くない。

なお、山の上にある「山上館」はさすがに眺めが良いこともあって、ここは他と一線を画す高級?旅館風になっているらしい。この館宿泊者専用の風呂があるらしいし、専用エレベーターもある。シモジモの宿泊客が紛れ込まないように、浴衣の色が違うという工夫がされているのがミソ。

廊下からして迷路

さあて、そんな宿なもんだから、こちらも「指示された自分の部屋にちゃんといけるかしらん」と気合いを入れなくちゃいかんのである。

フロントの従業員さんから、「赤い線が廊下に描かれていますので、それに沿って進んで頂ければ」ということだった。なるほど、行き先は全部色つきの線で指示されているということか。

確かに、宿の正面玄関入ってすぐのところに、なにやらウニの針のようにあっちこっちに飛び出した色つき矢印があるぞ。赤島館、山上館、なぎさ館、日昇館・・・ええと、僕らはは赤島館だから、赤い線を伝わっていけば良いのね。

赤い線に従って進んでいく

ということで、赤い線に従って進んでいく。

途中、巨大土産物売り場の横を通り過ぎていく。

まあ、宿泊客3,000人相手だったら、土産物売り場も巨大なのができあがるのは想像に難くない。しかし、こんなことやってたら、勝浦の町ってさびれてしまうような気がしてしまう。このホテルで飲食住全てが完結してしまう。

右へ曲がったり左へ曲がったり

何しろ、増改築を繰り返した(はず)の建物だ。道が一筋縄ではない。まっすぐ廊下作れよ、と言いたくなるが、右へ曲がったり左へ曲がったり。足腰が弱ったお年寄りにはとても向かないホテルと言える。移動距離が長いことだし、もしこの宿に泊まりたいと思っている人がいれば、若いうちにぜひどうぞ。

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