遍路はつづくよどこまでも【倉敷八十八カ所礼状巡り】

現在地点の確認のため、地図を参照しつつ読み進むと一層味わい深くなります。

城壁のような場所
大原美術館

遍路終盤戦というのに、西林寺のディープさに圧倒されてしまったおかでんは細道をそのまま進み、普通の路地に脱出。

○進行方向西へ、右折大きな木造のお堂

[67番札所:小松尾寺(大興寺)] 17:38

あらら。周りは普通の民家なんぞが建っているところに、何の変哲もない建物が札所になっていましたよと。美観地区すぐ裏手に、石堂じゃなくてこんな立派なお堂があるとは思わなかった。

○西へ出て元町線へ出る。信号渡り、中央派出所の横の道をさらに西へ50m右手 石の新しいお堂

元町線なるものがなんだかよくわからないが、地下鉄であったりバス路線のたぐいではないことは間違いなかろう。こうなったら地図が頼りだ、この道をこう曲がって・・・ほいよっと。

このあたりは土地勘があるので間違えることはない。

右手に大原美術館の壁を眺めつつ歩く。

倉敷観光といえば大原美術館は外せない。そんな観光名所を尻目に、こちらは飲まず食わずの状態で足をひきずりながら遍路。いいなあこのギャップ。

・・・すまん、誇張表現した。「足をひきずりながら」ではないな。幸い体にはどこにも異変なしだ。仏様のご加護かしらん。

現在地点の確認のため、地図を参照しつつ読み進むと一層味わい深くなります。

これが最後の地図。

ということは・・・ええと、残り5カ所!5カ所で結願となるのか!ええと、まだ心の準備ができてないや。本当だったらラスト10くらいからカウントダウンしたかったんだけど。

札所の順番、バラバラだもんなあ。今一体どれだけ進んだのかさっぱりわからん。それ以前に、「奥の院」という番外編の巡礼地があったりして、88番巡れば終わりというわけではないし。

駐車場

駅前から伸びる大通りを渡ると、地図上では「バスターミナル」と記されている所に出た。

別にここを起点に路線バスが行き来しているわけではなく、観光ツアー用のバスの乗降口兼駐車場になっているわけだ。お昼時になると、旗を持った添乗員さんが先導してたくさんのツアー観光客がぞろぞろ歩いている。

美観地区までほど近くて便利。

奥の建物は私立自然史博物館と図書館になっているが、昔は市役所だった。市役所が郊外に移転したかわりに、その駐車場は観光客用のものになったということだ。なかなかナイスな選択だったと思う。ただ、市民にとっては市役所が郊外に移ってしまったので不便だとは思うが。

道

車が通れるんだから立派な道だ。

ついさっきまでは車すら通れない、一般人さえ躊躇するような狭い道を歩いてきたからな。

住宅街の道

思わず道の中央をのっしのっしと、肩で風を切りながら歩く。

神恵院

[68番札所:神恵院] 17:45

おぉ、再興された札所ということだが、立派な敷地を誇っているな。

門まで構えていて、無理すりゃ一軒家を建てることができるくらいの敷地がある(相当狭い家になるけど)。この敷地を寄進した人は素晴らしく大盤振る舞いだ。いるんだねえ、こういう篤志家が。

○さらにその道を西へ。黒住教を左に折れて、パーマ屋の三叉路左の方へ入ると八百屋の前、和霊社のお堂の隣

道を真っ直ぐ進むと、突き当たりに黒住教倉敷大教会所なる建物があった。なるほど、今まで巡礼してきた石堂などと比べるとはるかに「大」だ。

黒住教はあまりなじみがないかもしれないが、「日本三大新宗教」の一つ。岡山県が発祥の地。

とはいっても、当然倉敷遍路の巡礼地ではないので華麗にスルー。

「パーマ屋の三叉路」なるものがよくわからなかったのだが、ふと見上げると「美容室 みまつ」という建物が。これか!

「ヘアー&着付」「カット&パーマ」と書かれている。

これを「パーマ屋」と呼称するのはどうかと思うが、まあ言わんとしていることは理解できたので良しとしよう。

それにしてもこのみまつ、自社ビル・・・という言い方はおかしいが、自前で建物を構えているんスね。立派だ。

[69番札所:観音寺] 17:50

「パーマ屋」から歩いてすぐのところに観音寺発見。

大変紛らわしいが、立派なお堂のほうは「和霊社」なるものであり、札所ではない。二回りほど小さなお堂のほうが観音寺。間違えて違った方を拝まないように。いや、拝んでも構わないけど。

○もとの道にかえり西へ、数えて【用水の道を入れて】三つ目の筋を左折(南へ)駐車場内、一番手前の木の堂

三つ目の筋を左折かぁ。慎重に数えていかないと、とんでもない間違いをやらかすかもしれないぞ。気をつけないと。このあたりは居住区なので、山岳ステージと違って道が多く、町全体の情報量が多いので惑わされやすい。

ええと、用水を越えて、これで一つ目、と。二つ、三つ・・・ここで左折だな。さて、駐車場は果たしてあるのだろうか。

イエス!

イエス・キリストのことを指しているんじゃないぞ。「正解!」という意味でのYesだ。

阿知パーキングという駐車場の一角に、お堂がこしらえてあった。

お堂の目の前にはヴィッツが停めてあったが、勢いよく駐車しようとしてバックしたらお堂に激突、お堂崩壊・・・なんてことにならないかちょっと心配。

と、思ったが、ちゃんと車止めが地面には備え付けられてあった。これでお堂が壊れることはない。安心。

[70番札所:本山寺] 17:58

ガイド本には「再興された」という記述がないが、これも新しいお堂。多分老朽化したのでVer.2にアップグレードしたのだろう。

壁がコンクリートブロックで作られているのが特徴的。

はっ、まさか、駐車場でバックに失敗した車がお堂を破壊したので修繕した、とか・・・

それは考えすぎ。

スナックがある

○もとの道もどる川西町へ北上、突き当たり八百屋左折して信号交差点をさらに北上、みやけや旅館隣、大きな大師堂

このあたりは町の中心地でも繁華街でもない裏通りなのだが、やたらとスナックがある。なぜここに集積しているのかよくわからない。

これは推測だが、町の一等地は倉敷市が観光開発のためにこの手の飲食店の出店を制限しているのではないだろうか。いや、ただの思いつきだけど。

地図を見て「あっ」と思ったのだが、次の49番札所の次、80番が結願所になっていた。いつのまにか、ラスト2のカウントダウンになっていた。うわ、気付くの遅い。すごく損した気分。

スターライトプラザ、という建物(お店?)の壁面にはマリリンモンローの似顔絵が。

今までストイックに巡礼してきたというのに、最後の最後になって何なんだこの俗っぽさは。

あるキャバクラ?の看板。

なぜか顔にモザイクがかかっている。未成年犯罪者か。

看板には「写真NGの女の子多数在籍」と書かれてあった。うーん、お店側が言わんとしていることは、「顔出したらイヤン」なウブな女の子たちがわんさといますよ、ということなんだろう。しかし、うがった見方をすれば、「顔をだしたら客が逃げるような不細工な女の子がいっぱい」とも解釈できる。非常に微妙だ。

この看板で果たしてどれだけ集客効果があるのか、興味がある。

だが、アホ面してこの看板の前で、入店者数をカウントするわけにもいくまい。先へ進もう。

えーと、これはたちばな旅館、だな。ガイド本に載っていた目印は「みやけや旅館」なのでこれじゃない。

橘旅館に併設して、「橘湯」というのがあった。旅館併設公衆浴場というのはちょっと珍しいのではないか?

しかも、「ラジュウム温泉」なんて書かれている。驚いた、倉敷で温泉というだけでも意外だが、ラジウム温泉ですかい。

まさか自然湧出しているわけはないだろうし、かといって地下1,000mクラスまで掘削した人工温泉でもなさそうだ。この温泉、謎だな。建物は相当年季が入っており、味わい深い。ディープ銭湯マニア、というのが存在するのだとすれば、きっとこの橘湯は目をつけると思う。

[49番札所:浄土寺] 18:07

おっと、見逃すところだった。みやけや旅館を目印にしていなかったら、素通りしそうな外観。それが浄土寺。

ぱっと見、一軒家に見える。ここでも助けられたよ白のぼり旗。ありがとう。というより、のぼり旗が無かったら札所に見えないぞ。本尊を伺うことすらできないし。

さあ、倉敷遍路の大詰め、最後の札所第80番新町大師堂を目指すぞ。

新町大師堂・・・。名前が結願場所としてはこじんまりしているが、まあいいや。実際四国の遍路だと80番は讃岐国の国分寺に相当する。

○少し北へ行けば東へ流れる用水あり、そこを通って旧阿知町から元町へ 原内科胃腸科の前を通り、ボタン信号の手前左側 大きな大師堂

なんだかよくわからないぞ。「旧阿知町」なんて言われても、地元民でも難しいんじゃないか。

地図を頼りにとりあえず向かおう。まずは「用水」探しだ。

用水はすぐに見つかった。あぶねぇなあ、柵もなにもない。車をよけようとしてどぼん、なんてことは十分にあり得る。しかも、近くにはスナック街があるわけで、酔っ払った人が沈没するなんてことも年に数件くらいは起きているんじゃないか。大丈夫か、これ。

でも、きっとおかでんが思うほどみんなバカじゃないんだろうね、落ちるような事故が無いからこそ、柵は作られないままなんだろう。

倉敷一番街、という名前の商店街に出た。

一番街、といっても倉敷で一番の商店街という意味ではない。単にそういう名前がついているだけだ。倉敷駅から鶴形山の脇をかすめて美観地区に出る商店街の方が規模が大きい。

こちらの商店街はこぢんまりとしている。これはこれで味があって良い。

良い、のだが、目印となる原内科胃腸科はどこ?

しまったー。そのまま気がつかないで一番街散策をしてしまい、倉敷駅前に出てきてしまったぞ。

最後の最後で、痛恨のルート選択ミス。最初で最後のミスだな。

一番街に戻ってもまた道に迷いそうなので、駅前の大通りを通って80番札所に回り込むことにした。この通りなら地理感がある。

しかし、最後の最後になって急に俗っぽさが増したなあ・・・。

と、脇を疾走するたくさんの車を眺めつつ思ったのだった。

本当はしんみりと、終わりたかったんだけどね。

ま、それはともかく、今度こそ間違えんなよ。もう午後6時を回ってるんだ、そろそろ終わりにしないと。

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