静安寺を出た後、ちょっとだけ町ゆく女性の観察。
「足が皆奇麗ですねえ・・・。。やっぱりこっちの人は、足がすらっとしていて尻が高い位置にあって、美しいです」
とコメントしていたのだが、そのそばから前言撤回、即座に撤収!といった風情の大根足もやってくる。さすが上海、一概に「ここの人はこういう特徴がある」と断言できるほど画一化されちゃいない。漢民族以外にもいろいろな民族がいるだろうし、漢民族といっても出身地によって全然外見は違ってくるだろうし。
ただ、生足率高し。スカートの人は比較的少なく、短パンまたはハーフパンツが多いようだ。色白な人が多いので、特に足元に目が行ってしまうが、決してやらしい意味はない。でも日本でこういう視線を女性に送っていたら、「静安寺前で猥褻な目線で女性を見る男性の事案発生」と防犯ネットなんかに登録されるだろう。今や日本じゃ、夕方に「もう家に帰りなさい」と老人から声をかけられただけで子供の親が通報しちゃうご時世だからな。
本当はコダマ青年の勤務先がある「人民広場」まで歩いて行く気満々だったのだが、青年との待ち合わせ時間に遅れ気味。
地下鉄はつまらないので、南京西路をタクシーで移動することにした。上海を代表する目抜き通りの一つなので、車窓からの風景を楽しめるだろう。
というわけで、タクシーに乗ろうと、まずは道路を横断しようとしたのだが・・・おいちょっと待て、横断歩道は存在するのだが、肝心の信号がないではないか。
これはどうやって横切れば?大都市上海ということもあって、車とバイクはひっきりなしだ。ご丁寧にトロリーバスなんぞも走っているし。こんな中、横断しようなんて正気の沙汰ではない。
・・・あれ?皆さん平気で横断歩道を渡って行ってますな。正気ではないのはむしろおかでんの方か。
見ていると、人々は実に見事に、すいすいと車を避けて横断していくのだった。もちろん、ノンストップで横断なんてのは到底無理なので、途中、車線の白線の上で立ち止まる。その目の前数センチのところを通過していく車やバス。で、通過と同時にまた次の白線まで素早く移動。
まるで、昔のゲームウォッチでありそうなゲーム。車の隙を突いて横断しよう!と。
なんで横断歩道なのに、こんなにちょこまか移動せねばならんのか。あんまり横断歩道の意味、ないじゃん。
と思ったら、その通りで、もうどこもかしこも戦場と化していた。車VS人、というのも熾烈だが、車同士もつばぜり合いをいたるところで展開中。
人が前方にいる→クラクションを鳴らして人を威嚇→人と車のチキンレース→車が負けて、少し車線をずらす→隣のレーンの車からクラクションを鳴らされる→隣の車とチキンレース開始
世紀末状態で、ドライバー全員がモヒカンで「ヒャッハー」とか言ってるんじゃないかというありさま。これでよく事故が起きないものだ。少なくとも、高齢者にはこのチキンレースは絶対に無理。
「よく事故が起きないもんだ」という感想は、おかでんが現実を知らないから。実際はあちこちで事故が起きているようだ。
コダマ青年に
「なんで信号機を設置しないんだ?危険だろ?」
と問うたら、彼は笑いながら
「作ったって誰も守らないものなんて、意味無いだろ」
と言った。すげえ。達観してるな中国。
タクシーは何台も通り過ぎるのだが、そのいずれもがフォルクスワーゲン製なのが不思議な光景。上海市政府から「タクシーはVW製に限る」とでも言われているのか、と勘ぐってしまうくらいだ。
しかも、そのどれもがくすんだカラー(青や赤、黄色)を車体に塗装していて、「タクシーはぴかぴかではいかん」と言われてサンドペーパーで細かいキズでもつけているのか、とこれまた勘ぐってしまう。
ただ、日本でも一時大半のタクシーがトヨタのクラウンコンフォート(色は白または黒)だった時代があるわけで、よそ様の事を言える立場ではないが。
初乗りは・・・ええと、11元(約160円)か。中国物価を考えると安くはないのだが、日本物価で考えるとすごく安い。また、上海中心部をうろつく程度であれば、20元以下で大抵は事たりるので、コダマ青年は実際タクシー通勤をすることが多いそうだ。ちなみに静安寺から人民広場まで、12元だった。
乗ってまず驚くのが、運転席を包み込むアクリル板の存在だ。「レカロシートが調子にのりました」というくらい/「チャイルドシートの超巨大版です」とでもいうくらい、運転手を覆うように透明板が据え付けてあるのだった。これ、後部座席の客から暴行や脅迫を受けないようにするための対策なんだろう。
ただ、あまりに運転手をガードしすぎて、お会計時のお金のやりとりだとか、「ここへ行ってくれ」と地図を提示するのでさえ難儀するありさま。そこまでしないとドライバーの安全が保障できないのか?上海。
行き先を運転手に告げ、車がスタートしたところで運転手は料金メーターを倒した。すると、電子ボイスが鳴る。どうやら「料金計算を開始したぞー」という意思表示らしい。同様に、目的地に到着してメーターを停めたときにもなにやら声が出た。ぼったくりトラブル防止のため、ヨーイドンとストップ、両方をはっきりとさせるようにしているのだな。感心する。ただ、そうでもしないと「おいちょっと待て、メーターが動いていないぞ」などのトラブルが起きるのだろう。
人民広場で下車。
人民広場とは、上海のド中心にある広大な公園。
その傍らに上海美術館があった。レトロな建造物だ。レトロ、といっても上海が繁栄しはじめたのはアヘン戦争後、諸外国に開港してからのこと。築数百年の建物、などといった歴史の塊なものは全くない町だ。だから、ここに観光に訪れても、ショッピングとグルメくらいしかやることがないというのは暴論のようだがある意味正解。
コダマ青年と合流。
電話で呼び出そうとしたが、繋がらず、ショートメッセージを送ったら届いた。すげえや最近の携帯は。
コダマ青年勤務先ビルの植え込みのへりに座っていたら、ガードマンがやってきて
「そこに座ってはいかん」
というジェスチャーを面倒くさそうにする。結構このあたりの基準は厳しいらしい。地方から上京してきた家無き人が居座るかもしれないからだろうか。
コダマ青年に荷物を預かってもらう。
キャリーバッグ一つ。中は全てコダマ青年への密輸品。
「バッグは僕のモンだが、バッグの中身はコダマ青年のモンだからな。このバッグ一つ、丸ごと、だぜ?」
「すんませんねえ、わざわざ」
「だから、荷物を預かってくれてありがとう、とは敢えて言わんぞ」
などと軽口を言っておく。
かわりに、コダマ青年から携帯電話を貸してもらった。おかでんが現在持っている携帯でも不都合無く連絡とれるのだが、いったん日本を仲介しての送受信となるため、通信品質が保証できない。そうすると、憐れおかでん、上海の地で一人路頭に迷うことになるのだった。地元のキャリアによる電話があるのは心強い。
どこ製の電話機かわからないが、デザインはださい。いや、ださいというか日本人好みではない。材質もプラスチック感満点で安っちい。しかし、携帯にあれこれ美的センスを要求しまくり、高価格化してしまっているのは日本ならではのお家芸なのだろう。実用性重視という点ではこれで良いのだろう。
上海の中心部近くだというので、日本で言う東京の副都心地区、即ち新宿や池袋、渋谷的な高層ビルの密集を想像していた。しかし実際は、何だか非常にモザイク模様な町になっていて、なんじゃこりゃ、という感じ。
コダマ青年勤務ビルは近代的な高層ビルなのだが、その裏側には3階建ての低層マンションが軒を連ねている。そのくせ、はるか遠くにはやたらとでかいマンションが建っていたり、都市計画に一貫性がない。
中国の急速な経済発展を象徴しているのだろう。恐らく今が過渡期で、中心部の低層建造物は今後どんどん地上げにあって消えていくはずだ。このぐちゃぐちゃなチャンポン状態の町構造が楽しめるのは、今のうちだけだな、多分。
本日仕事中のコダマ青年の身柄が釈放されるのは夕方。「一日中、仕事机の前で仕事をしている振りをしながら鼻毛を抜いているだけ」のコダマ青年だが、一応定時までは机にいて、勤労意欲は見せないといけないのだった。
あ、ごめんなさいうそです。ちゃんと彼は仕事してます。恩人に対してなんてことを言うんだ。
というわけで、夕方までおかでんはフリータイム。どうしようか思案していたのだが、この近くにある上海博物館に行ってくる事にした。
今晩以降、上海から脱出するまでの間はコダマ青年がアテンドしてくれる。だったら、コダマ青年があまり乗り気ではない/既に行った事があって今更興味無い、というところに今のうちに一人で行っておくのがよかろう。博物館が、まさにそれ。
コダマ青年は「博物館ねえ・・・行ったことがないからよくわからんけど」と積極的にお勧めはしていなかった。おや、せっかく上海赴任しているのに、博物館行ってないんですか。ガイドブックに大きく取り上げられている観光スポットなのに。
彼とこのあといろいろ話してみると、彼は観光スポットと言われているところには案外行っていない事が分かった。多分、「短時間であれこれ見るぞ!」と鼻息荒い観光客と、「これからここで生活しなくちゃいかん」という駐在員では、意気込みも視点も違うのだろう。駐在員からしたら、観光地に詳しくなる前に、スーパーやコンビニの場所とか、病院とか、そういう場所を知っていないといかんからな。
身軽になったことだし、人民広場を回り込みながら上海博物館へと徒歩で向かう。
通りには、自転車がたくさん走っていて「おおお、これぞ中国だ!」と軽く感動した。最近じゃ自動車やスクーターに押され気味とはいえ、まだまだ市内を無数のチャリンコがうごめいている。いわゆるママチャリなのだが、運転しているのはオッチャンだらけなので「パパチャリ」状態。
二輪車専用レーンが大きな道路には用意されている。そして、その道路が信号付き交差点とぶつかった場合、ご丁寧に自動車道と二輪車道の間にフェンスが設置されているのだった。
信号待ちの二輪車が、自動車用レーンにはみ出さないようにするための工夫だ。面白い事をかんがえるものだ。
待機しているスクーターを見ると、日本の50ccクラスのものではなく100cc~150ccはありそうな面構えだ。そんな排気量のバイクはいらんだろうに、と思うが、交通法規の関係なのだろう。ほとんどの車が、フロントカウル部分になんらかの装飾を加えていて、誇らしげだ。ヘルメットを被っている人は少なく、みんなハゲ頭などをさらけ出している。事故には気をつけてくださいませ。
道路は、ひたすらうるさい。車のクラクションはひっきりなしだし、メンテ不良のバイクがブレーキを踏んだらキーっと音がするし、警察が「こらこらこらっ」とピピーと笛を頻繁に吹いているし。車のクラクションの音はどの車種においても軽薄で安っぽく、多分頻繁にプープー鳴らす中国仕様、ということなんだろう。この音だったら、二三回鳴らされたくらいではムカッとこない。
道中見かけたホテル。
形がすごい。こういう形状だと、相当デッドスペースができると思うし、部屋の形状がいびつになってしまうと思うんだが、中はどうなっているんだろう?
効率重視、消防法やら建築基準法やらでがんじがらめの日本ではこういうビルってまず作らないだろう。だからこそ、見ていて楽しい。また、上海の成金的なところがかいま見えて、うらやましい反面大丈夫かよ、おい、という気もする。
人民広場の中にあった、変な形のビル。
東京ビッグサイトと「姉妹ビル」提携しても良いくらいの形。
上に載っている、お椀みたいな部分、地震が起きたらグラグラしてそのまま人民広場に落ちるんじゃなかろうか?上海城市ナントカ展示館、というらしい。ナントカ部分は難しい漢字なので、書かない。テナントとしてフランス料理の名店、「マキシムドパリ」が入っていたのにはびっくり。
町中をてくてく歩くと、いろいろなものが見えてくるので楽しい。
観光旅行、特に海外旅行ともなると、慌ただしく車や電車で移動しがちだが、歩くって良いもんだ。万歩計持ってくれば良かったな。
緑色の看板で「眞鍋MANABE」という店が見える。あれ?あの色とロゴは日本でおなじみ、珈琲館ではないか?と凝視したら、確かにそのロゴの下に小さく「珈琲館」と書いてある。ほー、珈琲館、上海にもあるのか。これは意外だった。ところで、眞鍋って何。
後で調べたら、珈琲館が台湾でフランチャイズ契約を結んでいるのが、「眞鍋」なんだそうだ。で、その台湾版珈琲館が上海に進出したので、ここでも「眞鍋珈琲館」になっているというわけ。
台湾企業、言葉の障壁が比較的少ないということもあって中国に積極的に進出している。その結果、台湾のことを「チャイワン」と揶揄されるような言葉も最近は出回っているようだが。
上海って、赤信号でも車が右折するのが許されていることを知った。ばんばん曲がってくるので、横断歩道を青信号でのんびり歩いていると不意打ちを食らう。で、「歩行者優先」なんていう概念がないお国柄なので、僅か1メートルくらいの距離でクラクション攻撃を受けるのだった。これには結構びっくりさせられる。「相手を押しのけた方が勝ち」という価値観だからたまらん。となると、こちらも「相手に押しのけられたら負け」とばかりに、車を睨み付けながら堂々と、慌てる気配もなく闊歩するのが礼儀というもんだ。
道を走る車はフォルクスワーゲン、フォード、ヒュンダイあたりが比較的あって、トヨタがほんの少し。ホンダは希少価値あり、日産に至っては見かけない。そんな感じ。VWの多さが突出していて、それ以外は国籍もメーカーも混沌としている状態。ただいまバトルロイヤル中、というわけだ。あと10年もすれば、ある程度趨勢ははっきりしてくると思う。
通りのあちこちに警察がいる。街中警察だらけ。警察国家なのか、この国は。あまりに多いので、中国の警察維持運営費だけでどこかの中堅国家の年間予算くらい行くのではないか、と心配になるくらいだ。
道路のあちこちにSUVタイプのごついパトカーが停まっているし、交差点のあちこちには交番がある。交番、と呼ぶよりも「ポリボックス」と呼んだ方がよさそうな、簡単な建物。質より量で勝負だ、という感じ。
急速な人口増加で治安悪化やトラブルが発生するのを、警察力で必死に食い止めているのだろう。大変なこっちゃ。
町には若い人が多い。
高齢化が進んでいる日本とは、明らかに年齢層が違う町だ。平日昼間ということで、隠居生活中のお年寄りや有閑マダムが町を闊歩していそうなものだが、いやいや、若い人が多い。
特に女性が多い気がする。男性は一体どこへ行ったんだ?
女性は、ピチTシャツを着ている人が多い。しかも、胸元が結構大きくくりぬいてあり、世の殿方の目線がどうしても女性の胸に行ってしまいがちで大変に怪しからん。また、ロングヘアーかつ黒髪の女性が多く、それがすらっとした体型と相まって、とってもスマートに見える。日本の女性は髪を染めている人が多いので、あらためて黒髪の美しさを知った。
いろいろな発見をしながら歩いていると、雑誌を売るスタンドが道ばたにあった。
壁面には、最新号の雑誌が飾られている。なんか、日本の出版業界の影響を強く受けたなーというのがはっきりと分かるデザイン。しかしちょっと待て、この左の写真、明らかに萌えておる絵があるのですが。これは誰?
本のタイトルは「Comic station」だって。多分、この絵を描いたのは日本人漫画家だと思うが、こういう絵柄は国境を越えて中国でも受けるのか。オタ文化に国境はない。素晴らしいことだ。ただ、繰り返すけどこれ、誰?漫画にはとんと疎いので、知らん。
この「ほっぺたに×印がついているおにゃのこ」の絵の横に、「夏目友人帳」と書いてあったので、ひょっとしたらこれはニャンコ先生?と思ったが、さすがにそれは飛躍しすぎだ。「うぐぅ」の人?と思ったが、違う違う。
こちらはファッション誌のようだ。何かの実験に失敗したのか、頭が爆発しかかっている。モデルさんが茶髪なので、これから上海でも黒髪女性は減少していくんであろう。
博物館の近くには、軽食を扱うお店が数軒並んでいた。
なぜか二軒鴨料理の店が並んでいる。鴨好きなのだろうか?見ると、いわゆる「滷味(醤油煮込み)」料理がいっぱい。ほい、おなじみ鴨の舌なんぞも串に刺されて売られいますよ。鴨の頭もある。どうやって食べるんだ、これ。
値段表を見ると、意味不明のものが多い中「米飯」は理解できた。お値段、1元(約14.5円)。やっすぅ。観光地物価でもこのお値段。
鴨肉料理二連ちゃんの隣は、これまた不思議な事に「台湾」を銘打ったお店が二軒並んでいた。台湾と中国の関係って微妙だと思うのだが、台湾料理、というのには中国人は特に抵抗感がないらしい。むしろ、「台湾の!」と銘打つ事が一種のブランドになっているようで、この上海滞在中に見かけた屋台では、「台湾料理だよ」と出自をPRしたメニューというのがいくつもあった。
写真は台湾を代表するB級グルメの葱餅(葱抓餅)。つい懐かしくなって食べようと思ったが、よくかんがえると上海に来てなんで台湾料理を食べるんだアンタ、ということに気がついて止めた。
こっちは台湾茶飲店、となっている。店名は・・・わからん。なんだこの漢字。
お茶そのものは中国本土の方がむしろ本場なのに、敢えて台湾を銘打つところが面白い。
お品書きを見ると、中国茶を出す店ではなく、コーヒーやココアを出す店だった。さすがにこういうファストフード的な店では、中国茶は流行らないか。
一番安い「高山紅茶」が4元(約58円)。一番高いドリンクで9元程度なので、安い・・・のだが、中国物価からかんがえると結構高い部類だと思う。でも上海は物価が高いし、それに伴って給料も高い。だから4元くらいなら屁でもないと思われる。
台湾の人が「北海道」と聞くと発情するように、上海でも「北海道」という地名は良いイメージがあるようだ。メニューには「北海道珈琲」「北海道奶茶(ミルクティのこと)」などがあった。当の北海道もびっくりだろう。北海道からわざわざ牛乳を空輸しているのだろうか?
あと面白かったのが、「緑茶多多(Green tea with Yakult)」なんてものがあったこと。なんスかこれ。挑戦的な事をやっとるな。
なんか変なビルが建っているんですけどー。
あれも風水の関係なのか、それとも単に「せっかく作るならカッチョエエ奴をここはひとつ」と施工主が頑張っちゃったのか。
左側のビルなんて、何で途中でもっこり膨れあがっちゃったのか、全く意味不明だ。蚊にでも刺されたのだろうか。
あのもっこりスペースの中には何があるのか、建物内部を見てみたい。
これが上海美術館。
後で知ったのだが、故宮博物院などと並ぶ「中国三大美術館」の一つなんだそうで、訪れておいて良かった。
その割にはそれほどデカく感じないのだが、と思う。しかし、回りのビルはデカいし、人民広場もだだっ広いし、周辺スケールが違いすぎて比較にならん。
UFOを思わせる円形の外観をしているのが特徴的な建物。
博物館の入口脇には、「上海博物館商店」というお店があった。いわゆるミュージアムショップなのだが、なにやら外からでもよく見える、巨大な磁器の壺が見える。あれは・・・花瓶、ってのは無理だな。殺めてしまった人を隠す場所、くらいにしか用途が思いつかない。
そんなブラックな話はともかく、美術工芸品を扱っている博物館(美術館)で、やっぱり美術工芸品を売っているというのはちょっと凄いな。イミテーションを売ってるみたいだ。
入館してみると、なにやら黒山の人だかりだ。入場制限がかけられている模様。何事だ。入館者数が多すぎて、一時規制中でもやっているのか。
人混みを避けて、混雑の根源になっているあたりを俯瞰してみたら・・・ああ、検問がある。金属探知ゲートがご丁寧に設置されているのだった。しかもそのゲートが一つしかないので、大行列が形成されているのだった。平日でこのありさまだったら、休みの日は一体どうなるんだ。ゲート増やせよ。というよりまず、ゲートって本当に必要か?そんなにデンジェラスなのか、上海は。博物館テロなんてやりかねない状況なんだろうか。
とはいえ、バーミヤンを爆破しちまったタリバン、なんて物騒なのも世の中にはいるので、油断禁物ということなのか。
こちらは旅行者、デジカメをはじめとして各種金属製品は行商人のごとく持ち歩いている。ゲートチェックは面倒じゃのーと愚痴りながら、行列に並ぶ。おっと、ご丁寧にX線検査もやってるのか。空港の保安検査場並ではないか。なんで博物館の職員に、僕のパンツやら恥ずかしいプライベートグッズが入っているカバンを透視されんといかんのか。
いざ、ゲートをくぐると、面倒くさそうに警備員さんに呼び止められた。なんだ国際問題化させるかこの野郎。
言葉は通じないのだが、身振りや向こうのカタコトの英単語でなんとなくは理解できた。曰く、「ペットボトルの中を飲み干せ」と。
ああ、リュックの脇に刺してあった、飲みかけのペットボトルがNGらしい。ガソリンなどを入れる輩がいちゃ困るからだろう。慌ててその場の飲み干す。
すると今度は、X線画面を見ていた警備員から「お前、この中にパソコン入れてるか?」と聞かれた。ああいけない、パソコン入っていた。空港と同じ基準で検査しているんだとしたら、パソコンはリュックから出しておくべきだったな。面倒くさそうに仕事をしている割には、結構真面目に仕事をしているな。
パソコンを取りだそうとしたら、「もういい。お前あっちいけ」と追い出された。クロークがあるからそこに預けろ、という事らしい。面倒なものは持ち込むんじゃねぇ、と。そりゃごもっともで。
クローク一体どこにあるの、と探すと、確かにロビーの一角にあった。
分かりにくいところに作ったもんだな。しかも説明も案内もなにもなしだ。
クロークに行くと、受付の人が面倒くさそうに対応し、預けるリュックを手にすると、予想以上に重いものだから舌打ちをし、より一層面倒そうに荷物を引き取った。
うわ、すげえ。チャイナクオリティ炸裂。
観光客として、こういう「日本にはない対応」をされると、それはそれで楽しい。「態度が悪い」なんて怒ったり、けなしたりしたって何もならない。中国とはこういう国だ、と思ってそれも「観光資源」として楽しまないと。彼らだって、悪気があってやってるわけじゃないんだから。
荷物と引き替えに、番号札をもらう。腕に付ける事ができるようにゴムひも付きで、チープっちゃあチープだ。
ふと思った。クロークに預けた荷物が爆発したらどうするんだろう、と。クロークも館内にあるので、手荷物検査なしで預かってくれるクロークって完全に盲点だと思うんだが・・・。
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