重力がいざなうのです【奥多摩トレックリング2】

トレックリング店頭で記念撮影

雨が気になるので、全員レインウェアを着こんでからの出陣となった。トレックリングの店頭で記念撮影。合計5名。

山サークルのメンバーなので、全員レインウェアの色が派手だ。遭難しても発見されやすいように、という前提で作られているウェアなので、色が目立つ。いずれ、遭難したらのろしを上げることができるウェアとか、発炎筒が内臓されているウェアとかも発売されるかもしれない。

トレックリングのFacebookに掲載するので、ということで店員さんからも全員集合写真を撮られた。でもこのうち2名は自転車を自己解決してるんスけどね。まあでも、トレックリングあってこその、こうやって奥多摩チャリンコ小旅行。トレックリングさまさまだ。

いざ奥多摩湖へ

天気が冴えない中、奥多摩湖を目指す。ダウンヒルが存分に楽しめるサイクリングだよ!と煽って参加者を募集していたのに、いきなり最初はクライムヒルをさせるのだから鬼だ。いやでも待って欲しい、高度を稼げば稼いだだけ、その後の下りで楽しめる量が増えるってことだ。単純な話だ。

中学1年の青年には、良い物理の勉強になったと思う。・・・と勝手に決め付ける。あ、でも中学1年じゃ、まだ位置エネルギーとか習ってないか。「うひょー!二次元方程式わけわかんねーッ!」っていうレベルだもんな。

青梅街道を一列に並んで走る。

スリップ注意

むかしみちへの分岐があったけど、通れないなら仕方がない。この年2月にあった記録的大雪2連発のせいだ。復旧まで半年以上かかるというのだからかなり大ごとになったらしい。「うまくいけば、ちょこちょこっと通れちゃうんじゃネーノ?」なんていう甘い考えは捨てたほうがよさそうだ。

その大雪の余韻はまだこのあたりに残っているようだ。電光掲示板には、「周遊道路(奥多摩湖のまわりを回る道) 雪解水あり スリップ注意」という表示が出ていた。いくら山とはいえここは東京都、標高だって1,000メートル以下だ。4月でまだこの状態なのだから春はようやく訪れたといった風情。

トンネル通過中

現在の青梅街道は、トンネルをいくつも掘り、通行しやすく改良が加えられている。それはそれでドライバーからしたら大変に結構なのだが、自転車漕ぎとしてはちょっと困る。もともと自転車が通るなんてことを想定してトンネルは掘られていないので、路肩が狭い。フラフラしていたら、通りすがりの車に引っ掛けられて事故りそうだ。なので、そうでなくても、横を車が通り過ぎると風圧がけっこう強い。ちょっとナーバスになる場所だった。

悪い冗談としか思えない

トンネルをいくつか通過しつつ、奥多摩湖がある小河内ダムを目指す。

途中、こんな看板が路肩に出ていた。

通勤圏内の貸地 新宿迄約2時間

いや、通勤に2時間だなんてちょっと悪夢みたいなんですけど。往復じゃないぞ?片道だからな。往復なら4時間。一日の通勤で一冊ずつ本が読めそうだ。読書好きにはたまらない立地かもしれん。それでも勘弁して欲しい。

ちなみに僕の会社は新宿より遙かに東にあるので、2時間じゃきかない。3時間かかりそうな勢いだ。うわあ。

別荘として売りだそうとしないところが強気というかなんというか。

まあ、夢にまで見たマイホーム、お値段次第でしょう・・・と思ったら、「1坪あたり月100円前後」で賃貸なんだという。微妙だなモウ。確かに、土地を買い取っても、今後人口減の日本じゃ邪魔になるだけだ。こういう山奥だったら土地を借りるという考え方もスマートかもしれん。でも月100円か。100平米(33坪程度)借りたとしたら、毎月土地代レンタルとして3,300円。うーん、これを安いとみるか、高いとみるかはよくわからんなー。

とかなんとかいう前に、果てしない通勤時間という時点でダメだわ。自営業とか、この界隈に職場がある人でないと。

小河内ダム

そんな看板が出ているすぐ近くに、小河内ダム。

雪解け水で水量豊か、というわけでもなく、淡々と水が流れていた。

ダム!と聞くと、どうしても巨大なアーチ型のコンクリート壁がそそり立ち、どひゃーと放水しているようなものを期待してしまう。そう、黒四ダムのようなカッチョイイやつだ。しかし実際はああいう華やかなものというのはそれほど多くなく、この小河内ダムなんかを見ると「お、おう・・・」となんだか盛り上がりに欠ける。「ダムだぜ、ヒュー!」とテンション上がる姿形ではない。

でもまだこれはいい方で、ロックフィルダムのようなものだと放水すらされておらず、どうやってテンションを上げていけばいいのか、気持ちの持っていきかたがとても難しい。かといって、デカいロックフィルダムを目の当たりにすると、なんかそれはそれですごいわけであり、でも素直に喜べなかったりして、心がザワザワする。

渓谷

なだらかな山からなるのっぺりした景色のような印象があるが、ふと足元の川を見ると結構な渓谷だったりする。あ、さすがにダムを造るところはそれなりの場所だわ、と気がつく。

ゴールまであの標高差

正面にダムが見える、ということは、今からこのダムの突堤の上まで標高を稼がないとゴールできませんよということでもある。

アウトドアシーズンに入ったばかりということもあり、まだ身体がなまっている参加者もいた。この時点で既に隊列から遅れ気味であり、「いやあきついっす」といいながらダムを恨めしそうに見上げていた。

お疲れ少年

中学1年の青年はダムを見て何を思う。

「奥多摩から青梅まで、ずっと下り坂だよ!楽しいよ!」

と父親から誘惑されて着いてきたんだと思う。でも実際はこうやって登り一辺倒なわけであり、「やられた!ダマされた!」と今頃は思っているはずだ。

僕だって、子供のころは山登りとか大っ嫌いだった。何でこんな疲れることを、無駄な事をやるんだと憤慨したものだ。家族で登山に行ったときは、泣いて駄々をこねて途中で引き返したこともある。そりゃそうだ、山のてっぺんを目指す疲労になんら合理性がないんだから。

この青年はどうなんだろう。でも、このあと長大なダウンヒルが待っているということは知っているので、実は標高を稼ぎつつもワクワクしているかもしれない。今この疲労感が、このあと倍返しで楽しくさせてくれるぜ、ということは中学1年なら十分に理解できているはずだ。