奥多摩湖畔から見た、小河内ダム。単なる堤防って感じで、「人間ってすげえ!」感は薄い。
たとえば取水口が堤防の手前にぽっかりと穴を開けていて、無限の深さがあるかのようなその穴に湖の水が吸い込まれていく・・・なんてのを見たら、恐怖のあまりおしっこちびりそうだ。でもそんな恐ろしい光景はどこにもなく、いたって平和だ。
※ダムの取水口恐怖症、という人は実際に存在する。
これが渇水期だったら、湖面がぐーっと下がっていて、東京都の水がめはこれで大丈夫なのか?乾きで東京都民死んじゃうんじゃないか?と心配したかもしれないが、雪解け水が豊富にあるこの季節なのでそんな心配もない。とにかく、平穏無事だ。
しかし、この先ダムの中に展望台のようなものがあるということが看板に書いてあった。
ダムまで折角やってきて、飯食って帰るってのもつまらないので、行ってみることにした。
ダムの堤防の上から、放水口を見下ろしたところ。
「蓋していないで、景気良く開けちゃおうぜこのゲート」
「ゲートを開けるスイッチはどこだ、押しちゃえ押しちゃえ」
とか無責任なことをみんなで言い合う。やっぱりダムの醍醐味ってのは、どばーっと放水しているシーンだからだ。でも、それじゃあ発電とか取水とかできず、無駄なわけであり、そうやすやすとはやってくれない。ここのゲートが開くのは、ダムが決壊しそうっすやばいっす、という時なんだろう。ちぇっ。
いや、ちぇっ、じゃねーよ、ゲートが開いていない平和な今という時間を喜べ。
ダム突堤の上から、自転車を駐輪しているあたりを振り返る。山の斜面には桜があちこちに咲いていた。写真はちょっと写りが悪いので、桜ではなく白い雪をかぶっているように見えてしまうが、これ桜ですから!断じて桜ですから!
「春だねえ」
「そうですねえ」
今更のように、思い出したようにお互いこの光景を眺める。今日は4月20日、下界では半月以上も前に桜は満開となり散っていったが、この奥多摩湖周辺ではまだまだ咲いているのでお得感満載だ。同じ東京でもこうも違う。
「東京の外れ、奥多摩でこれなら、この先奥にある山梨県なんて桜の開花は5月くらいじゃないか?」
と思ったけど、そんな冗談を言ったら山梨県の皆様に「ばかにすんな」と怒られるだろうから言うのはやめておいた。
小河内ダムと奥多摩湖。
桜が満開な木も中にはある。こういうのが見られてお得感がある一方で、桜が散った頃に
「今年ももう桜は終わりだねえ」
「そうだねえ、今年もまた暑くなるのかねえ」
と仲間内で話していたのがなんだったのか、という気になってくる。
話はずれるが、僕の母親は以前「お父さんが定年退職したら、春は南からずっと桜前線にあわせて北上しながら旅をしていきたい。秋は紅葉にあわせて南下していくの」とうっとりした顔で語っていたっけ。で、実際に既に親父は隠居生活になっているわけだが、実際にそんな「季節を追いかける旅」をしたという話は聞いていない。冷静に考えてみて、桜ばっかり毎日みてもつまらないのかもしれん。
なんでわざわざこんな写真まで撮影しているのか、今となっては謎。社会科の勉強かよ。
多分、汗をかいてここまで登ってきたうれしさから、ここでいろいろ写真を撮影して記録と記念にしておきたかったんだと思う。大した記念になっていない、というのが実情だけど。
それにしてもダムってイメージと実態は違うよな。イメージとしては、突堤部分から水がブシャーっとあふれて、そのあふれた水がタービンを回して発電してるぜ!だ。しかし実際の取水口は突堤とはずれた別の場所にあって、さりげなく水を吸って、さりげなく下流に放水してる。突堤ってのはあくまでも水をせき止めて、ダム湖を作るためのものだという。ちえーっ、なんかつまんなーい。黒四ダムの観光放水みたいに、ドバーっと、豪快にやってくれよモウ。
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