15:00
最後、温泉に入ってから帰宅することにした。
特にアテがあったわけではないけれど、往路の途中で日帰り温泉の看板を見かけたので、そこに立ち寄ってみよう。
名前を「剣山木綿麻温泉」という。
「木綿麻」と書いて「ゆうま」と読むそうだが、どうやったらそう読めるのか、さっぱりわからない。昔の故事を引用しているのだろうか?
これから男児ご出産予定の皆様。生まれてくるお子さんに「木綿麻」と名付けるのはいかがでしょうか。もちろんふりがなは「ゆうま」です。「こんなん、読めねぇよ!」というキラキラネームではなく、ちゃんと実績のある名前です。
こんな先に日帰り温泉があるのか?と若干心配になりながら、車を進める。
帰りはずっと兄貴がハンドルを握っているので、こっちは助手席でお気楽だ。あー、登山終わりで誰か別の人が車を運転してくれるのは、楽だなー。
あった。崖の上に、「剣山ゆうま温泉」と書かれた横断幕がある。
さすがに「木綿麻」と漢字で書いてもちゃんと読まれない自覚があるのだろう。ひらがな書きになっている。
あとついでに言うと、ここは剣山とは全然関係のない場所だ。ずいぶん、下界に下りてきている。
「下界」といっても侮ってはいけない。とにかくこの国道438号線沿いの山深いことといったら、ない。「四国のチロル」といわんばかりに、急斜面の崖にへばりつくように小集落があちこちにある。それがずいぶんと高い頭上にチラチラ見える。
どうしてあんなところに民家が?何のお仕事をされている方だろう?と見ていて不思議になる。
時間があれば、敢えてああいう山の上集落にも行ってみたいところだが。。。でも、よそ者が来ても迷惑か。
15:03
これが「剣山木綿麻温泉」。こじんまりとしてはいるけど、立派な入浴施設だ。
なんで「木綿麻」なんて名前なのかというと、この辺りは昔、麻と木綿の生産が盛んだったかららしい。
入浴券は400円。「中学生以上」というカッコ書きがあるので、たぶん小学生以下は無料なのだろう。大盤振る舞いだ。
ただし、浴室にはボディーソープはあるけれど、シャンプーとリンスはない、と書いてある。なので、必要な人は券売機で買って欲しい、となっていた。お値段200円。
僕なんか、「ボディーソープで髪の毛を洗ったらあ!」と平気なのだけど、「そんなことしたらアカン!」と思っている人は200円を握りしめておこう。
温泉成分表を見ると、「ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物冷鉱泉」となっていた。
一応「一般適応症」の欄を見てみると、当たり前だけど「自宅のお風呂に浸かるのと何が違うんだ?」ということしか書いていない。
こういうのを法整備化するのはお門違いなんだけど、業界団体か何かで表示方法を規制できないものだろうか?
なにせ、見ている方が面倒臭い。「自宅水道水の入浴と比べて、明らかに違う効果が期待できる」というものだけ書くというルールにしてもらえないだろうか。
この温泉の源泉は弘法大師が発見したと言い伝えられているのだそうだ。
そして、皮膚病に効果ある、と謳っている。
そうそう、こういうのを知りたかったんだよ。
この伝説が本当かどうかはともかくとして。
さすがは四国だ、温泉の由来にお大師様が出てくるというのが、いかにもだ。
多いのが、「傷ついた鹿が温泉で癒やしていた」みたいなエピソードで、いい加減見飽きたのでこういう話は楽しい。
とはいえ、なにやらアップルミントのハーブ湯を提供しているらしい。お湯に自信があるんじゃなかったのか?
壁に、「剣山に行こう!」というポスターが貼ってあった。
おう、行ってきたぞ!
胸を張ってそう答えたいのだけど、なんだか写真に写っているのは見たことがない景色ばっかりだ。いいなー、晴れているとこうだったのか。
右下の写真は、リフトから見た山頂方面のものなのだろう。そうか、リフトに乗っている時点で、本来は剣山山頂がくっきりと見えるものなのだな。もしこういう光景なら、俄然盛り上がっていたのに。惜しい。
なんとなく今回は、「登ったという実績だけができた」という登山だった気がする。それはそれで楽しかったけど、あまりに視界が悪すぎた。
雨が降らなかっただけラッキー、と思うことにしよう。
15:54
吉野川が流れる、貞光エリアにやってきた。つるぎ町の中心街ということあって民家が多い。
このあたりは古い建物も残っているようで、うだつがある家が多く、ちょっとした見応えがあった。
15:56
で、吉野川に到着。
うわあ・・・ここから今度は、正面のあの山々を乗り越えていかないといけないのか。そして瀬戸大橋を渡って、本州へ。長い。とっても長い。
剣山。登山そのものは簡単だけど、山に行くにはそれなりの気合いが必要な場所だ。
(この項おわり)
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