お手軽だけど、秘境【徳島・剣山】

リフト乗り場

11:28
登山装備を確認ののち、駐車場の端にあるリフト乗り場に向かう。

よし、登るぞ。

・・・リフトで。

なに、だいたい標高を290メートルほどショートカットするだけだ、誤差の範囲だよ地球規模で考えたら。

と、開き直る。うわあ、スケール大きいヤツだ、オレ!

リフト乗り場

リフト乗り場。

正式名称を「剣山登山リフト」という。ほらー、登山って書いてある。これを使ったからといって、「手抜き登山」とは言わせないぞ。

写真には、兄貴の後ろ姿が写っている。兄貴は、この日僕に同行してここまでやってきた。「登山装備を持ってきていないから」という理由で、山には登らなかった。そのため、この身軽な格好。

「よく整備されている道らしいから、普通のスニーカーでも登れる筈だぞ」と勧めたのだけど、ワンゲル出身で慎重な兄貴は辞退した。雨の予報も出ているからだ。

ただ実際問題、8月のお昼で台風接近中でさえなければ、スニーカー程度でも全く問題なく登れる山だった。登山経験がない人ならアウトだけど、登山のコツを知っている人なら、本当に身軽な装備で登れると思う。

このサイトで「兄貴」が最近全然出てこないのは、妻子がいる兄貴が僕と遠出しなくなったのが理由だ。でもそれとは別に、「もうサイトに出さないで欲しい」と言われたからだ。このサイトに出ると貧乏くじを引いたようなものなのだろうか。

リフト乗り場

今いる場所が「見の越」で標高が1,420メートル。リフトで登ったところが「西島」。ホワイトボードには1,750メートルと書いてあるが、僕が持っている登山地図だと1,710メートルになっている。おっと、実際はリフトで330メートルを稼げるのか。お得な気分になるな。

リフト乗り場

なんと、「剣山にイエス・キリストが来ていた!!」という記事が張り出されていた。マジか。誰だよイエスキリストが来た、というのを客観的に確認したのは。弥生人か?

ソロモンの秘宝がある、とか、モーセの墓がある、とか、ちょっと欲張ってあれこれ盛り込みすぎな気がする。

海を切り開いてまでして「約束の地」を目指したモーセ達だけど、結局約束の地には入れずに・・・日本の徳島県に!?一体どれだけ時間がかかったのだろう、お疲れ様でしたとしかいいようがない。僕なんて、岡山から車で3時間移動するだけでヒーヒー言ってるのに。

で、イエスキリストまで遠路はるばるいらっしゃってるって、一体どんだけすごいんだよ剣山。

遠方までいらっしゃった旅疲れで、そのままお亡くなりになって、青森県の新郷村に墓があるっていうストーリー?壮大すぎる。

そもそも、「ゴルゴダの丘で処刑されたキリストは偽物で、本物は密かに脱出して日本に向かった」という、オカルト好きな人の間で語られるこのストーリーがすごい。もう、新約聖書全否定ですもの。主の復活とかへったくれもないという。敬虔な信者から怒られるぞ、こんなこと平気で喋っていたら。

で、なんでイエス・キリストがここを訪れたことがわかるのかというと、記事によると「臨死体験をした人の談による」という。マジか。そんな浅い根拠で記事にしちゃうのか。せめて何か、もうちょっと物理的な証拠を残してくれよ。手形とか足形とかなんでもいいので。

たぶんこれ、アレだよね、と思いながら記事を読んでいたら、文中に「本誌編集長が基調講演を行い」という文言を発見。やっぱり!アンタ、「ムー」だろ!

リーフレットをもらう

面白い記事を読ませてもらったのち、イエス・キリストも、モーセも、キリストも愛した?という剣山にむかう。

ロープウェイは片道1,030円。ちょいとお高い印象があるけど、楽できるのだから何一つ文句はない。

往復割引もあるのだけど、下りは登山道を歩いてみようと思っている。そもそも、上りだって「リフトだと15分、徒歩で50分」とさほど時間短縮効果がなかったりする。下りなら、徒歩でも35分だ。あまり差がないなら、歩いてしまえホトトギスだ。

剣山浬宇土

リフトに乗って出発。

カメラの角度の問題だけど、僕がいまいる上りのリフトはちゃんと背もたれがあるように見える。そして、下りのリフトは背もたれが全くない、洗面器みたいな形に見える。それを見て、一瞬肝が冷えた。「あれは、後ろにずっこけるぞ」と。

登山道を見下ろす

11:35
途中、下山で使う予定の登山道が見えた。

トンネルになっていて、リフトが通っている地面の下をくぐり抜けていくルート。ちょっと珍しい構造だ。

剣山リフト

11:40
ゆっくりゆっくり、登っていく。

すれ違う人が多ければ、愛想を振りまいたりして暇つぶしができるのだけど、前後左右殆ど人がいない。ぼんやりしながら、過ごす。

この間にスマホでもいじっていよう、とか登山計画書を読み直そう、というわけにもいかない。そこまで手が自由に動かせるほど、優雅な乗り物じゃないから。

剣山リフト

リフトの運営会社は、手間暇をかけて施設維持をしているんだなーと感心させられる。

下草を刈って、さらには「中央分離帯」に相当するところに花を植えている。

花を植えるという一手間だけでもすごいけど、この下草をきっちり刈っているのは、かなりの手間だ。これだけ刈り込まれているということは、頻繁にお手入れをしているのだろう。

ちなみにどうでもいいけど、僕の髪型は、頭の横と後ろが3ミリのバリカンで刈り上げにしてある。短い髪の毛だと快適だけど、3週間に1度は散髪にいかないと、もさもさしてくる。本当にどうでもいい情報だな。書いた後ちょっと後悔した。

剣山リフト

植えてある花はニッコウキスゲだった。わざわざ看板まで用意してくれてありがとう。

剣山リフト

11:41
もうそろそろ飽きてきたよ、という頃になって、前方に終着駅の「西島」が見えてきた。

このリフトは尾根を超えて進んでいくので、乗り始めの時点ではゴールが見えていない。最後になって、ようやく「ああ、あそこで下りるのか」というのがわかる。

剣山山頂は・・・まあ、見えるわけがないよな、この天気だと。

標高1,955メートルの山なので、西島からだと残り標高差195メートル。

(つづく)

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