15:57
広沢寺温泉手前にある、大きな駐車場。
主にロッククライミングをする人のためのものだろう。狭い道路に路駐されたら、車の往来に支障が出る。ここで車を停めてから岩に向かってくれ、というわけだ。
15:58
駐車場入口の脇に、「下向き地蔵」と「豆腐地蔵」という石碑が立っていた。
全国各地に、いろいろなお地蔵様がいるものだな。
15:59
広沢寺温泉に向かう。
ここから、砂利道。
正面に見えるのが、七沢温泉郷の一つ・広沢寺温泉唯一の宿「玉翠楼」だろう。
おっと、見落とすところだった。バス停がひっそりと右側にあることに気がついた。
下山ルートをここに設定したのは、温泉が目当てだったこともあるけれど、ちょうどバス停があったからだ。
バス停を逆方向から。非常にさりげなく、存在を知っている人でないと気が付かない。
まあ、ここから先大山に向けて民家は一軒もないわけだし、「存在を知らず通り過ぎる」人なんているわけがないのだけれど。
16:00
ダイヤは絶望的なものだった。
平日は1日2便、土日祝日は1日4便。
そりゃそうですよねー、こういう、山あいの温泉一軒宿だもの。わざわざここを始発としてバスがバンバン出ているとは到底思えない。砂利道の時点で、お察しだ。バスのたまり場となる場所もないし。
土日祝日のほうが便が多い、というのは、クライマー向けだからだろう。
ええと、今日は月曜日。
今からお風呂に入ったとして、ちょうど17時の便(最終便)に間に合う。
そういうのも全部見越して、ここにやってきたんだ。
16:01
広沢寺。曹洞宗のお寺らしい。
今回は17時までにお風呂に入りたいので、お参りは後回し。
で、玉翠楼ですよ。
自転車が駐輪できるように、玄関前に自転車用のバーが設置されている。
月曜日ということもあって、人の気配がない。ええと、だいじょうぶかな。休業していて誰もいなかった、というのは困るな。
「御来館のお知らせはブザー又は玄関内右カウンターの電話を御利用下さいませ」
と書いてあるので、ブザーを押してみる。
・・・反応がない。
もう一度ブザーを押してみる。やっぱり反応がない。
何度かやってみたけど応答がないので、中に入ってみて「すいませーん」と声をかけるが、やっぱり誰も出てこない。今日は宿泊客がいないのかもしれない。
電話で呼び出しをかけてみたら、しばらくしてようやく宿の人が出てきたが、なんだかウェルカムな対応ではないっぽい。あれ?と思ったら、「日帰り入浴は16時までです」とのこと。
しまったぁぁぁぁ、それは把握していなかった。バス停の写真とか呑気に撮っている間に、今は16:05になっていた。5分オーバーか。
それくらいいいじゃんケチ!なんて言ってはいけない。ここの温泉は源泉温度が25度で、加温している。客がいなけりゃボイラーを切るし、いれば燃料代を使ってお湯をこしらえる。ギリギリに行くならば、事前に電話をかけておいたほうがよさそうだ。でも、いずれにせよ「16時までです」というルールなんだから、5分オーバーはアウトだけれど。
そうかー、♨マークにひかれてここまで遠路歩いてきたんだけどなー、残念だなぁ。
PHが10というアルカリ温泉らしい。なので、ヌルヌルしたお湯が楽しめただろう。
16:22
このままお風呂に入らないまま、バスがやってくる17時までぼんやり過ごすのは勿体ない。
せっかく「七沢温泉郷」なのだから、近隣の温泉宿に行けば日帰り入浴ができる場所もあるだろう。
ちょっと歩いた先にある、「七沢荘」が日帰りを受け入れてくれているようなので、そこに行ってみることにした。
バスは、七沢荘からさらに先、県道64号線(伊勢原津久井線)に出れば結構便数がありそうだった。風呂から上がったら、適当にバス停に向かえばバスに乗れそうだ。
ただし、ガチャみたいな要素で、伊勢原駅行きと本厚木行きのどちらかになる。
16:24
「大丈夫か?この道で」
と不安になるような狭い道を歩く。登山道よりもよっぽど狭い道を、今こうやって下界に降りて、温泉を目指している途中で通ることになるとは。
(つづく)
16:25
七沢温泉にやってきた。
温泉街、と呼ぶにはお土産物屋さんや飲食店がないけれど、宿が点在している。
「七沢温泉郷」と呼ばれているのは、ここの温泉旅館数軒と、先程の広沢寺温泉、そしてさらにちょっと北に行った「かぶと湯温泉」の3か所だった。
「厚木市の奥座敷」などと呼ばれているようだが、こちら方面に馴染みがない僕にとっては初耳だ。
七沢荘。
どどーんとした建物だけど、のぼりのフォントがなにやらユルい感じがする。なんだこの脱力した感じは?と思っていたら、この宿には「公式萌えキャラ」の女の子の絵があったのでびっくりした。
「和泉ななみ」なんだって。へー。
昔、テレビのクイズ番組の景品にこの宿の宿泊券を提供していたり、メディア対策は昔から意識していたようだ。
それにしても、僕の不勉強だとは思うが、温泉旅館に萌えキャラがいるというのは初めて見た。
風呂場に通じる廊下で、温泉水をごくごく飲めるウォーターサーバーが設置されていた。地味にこれはありがたい。僕みたいに、「お金を払って入浴するからには、のぼせるまで風呂だ風呂!」と思っている人間にとって、冷水というのは命に直結する恵みの存在だ。
なぞの石積み。
サウナで熱気が湧き上がってくるところ、みたいだ。
そういえばこの宿、「宇宙と地球から元気をもらう宿」というサブタイトルがついていたっけ。これが「地球から元気が放出されている場所」なのかもしれない。
なにやら、敷地はすごく広い。
なにしろ、男湯と女湯がこれだけ入り口が離れているし、その間にはバーベキュー場ですかここは?という屋外席が優雅に設けられている。
さて、地球から元気を貰おう。
露天風呂は2か所に分かれていて、1か所は屋根付き、もう一か所は屋根なしだ。
こっちは屋根付き。
これは屋根なしの方。
加水なし、加温あり、循環あり、消毒あり。
しかし、塩素混入はしておらず、オゾンや紫外線を使っていてお湯を大事に扱っているのがわかる。
アルカリ性単純温泉、源泉温度26.1度。
pHは9.8。広沢寺温泉同様、結構なアルカリ性の温泉となる。
効能としてずらずらと書かれているのは、「自宅のお風呂でも一緒だよね?」というものばかりだ。特にヌルヌルした温泉だからといって、肌のトラブルが良くなるということはないようだ。
「泉質別適応症」のところには、
自律神経不安定症、不眠症、うつ状態
という記載があった。へえ、「アルカリ性単純温泉」だと特にこの3つに効果があるのか。全部メンタル系じゃないか。
予想以上の長丁場となったトレッキングとなったので、お風呂が気持ちいい。3月ということもあって殆ど汗はかいていないけれど。
おっと、バス停の自酷評を発見。
伊勢原駅行、愛甲石田駅行、本厚木バスセンター行の3系統が走っているようだが、圧倒敵に本厚木バスセンター行きが多そうだ。むしろ願ったりで、都心に近い駅に行ってくれたほうが助かる。
(小田急線の駅は、新宿方面から順番に本厚木、愛甲石田、伊勢原・・・と並んでいる)
(つづく)
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