同時に3つの料理を食べたので、「どれが辛い」というのは正直よくわからない。学校給食で仕込まれた「三角食べ」の習慣がこういうところでも使われているのだが、
辛い→辛い→辛い
で三角食べの意味がない。それに、
赤い→赤い→赤い
でもある。なんのこっちゃ。
辛さ、というのは食べているうちに蓄積されていくものだ。最初は「まあまあ辛いな?」という程度の認識であっても、それを食べ進めるうちにだんだん痛くなってきて、しまいには食べられなくなる。まるで「コップに水を貯めているうちに、ある瞬間から水が溢れる」というのと一緒だ。
で、いったんギャー!痛い!となると、しばらくはそれが解消されない。冷水なんて飲んじゃ駄目だということはわかっていても、ついつい冷たいお茶を飲んでしまうのでますます痛い。
なので、今この「痛くてたまらない」状況というのは3つの料理すべての積み重ねの結果だ。しかし、「赤い壺」のペンネ、お前だ、お前が最狂最悪だということは明らかだった。
唐辛子をざくっと丸ごと入れてるだけのペンネでしょ?安直だよ、ダイレクトすぎるじゃないか!と思っていたが、いやーこれが一番ダイレクトに痛いんだわ。しゃれにならん。顔が青ざめる辛さ。
最初は、火を通して黒くなっている唐辛子を香ばしく、おいしくいただくことができた。でもその蜜月関係はほんの数秒程度で、あとはもうひたすら拷問。
「はぁぁぁぁ」
大の大人が、切ない声を出して悶絶する。周りに人がいなくてよかった。
さすがの僕でも全部食べるのは無理だった。全部食べる気力が一気に消し飛んだからだ。辛いもの好きを公言し、これまでもあれこれ辛いものを食べてきた自負があってもこの有様。早速ジップロック様の登場と相成った。おかしいな、これは「自宅お土産用」として買った料理を詰めるためのものだ。「辛くて切なくて食べ切れなかったものを逃がす」ためのものではなかったのだけど。
なんかもう、既に意欲が減衰しつつある。長居は無用だ、もう家に帰ろう。
お土産として3品買う。
カリカリ豚ロースの麻婆炒めニンニク風味 小辛@京華樓
激辛餃子(6個) 中辛@宇都宮餃子館
ヤンニョムチキン 激辛@プングム TAK CAFE
カリカリ豚ロースの麻婆炒めニンニク風味 小辛@京華樓。
これまでは、「激辛」や「超辛」が選べるメニューを中心に食べてきた。しかし、今年においては、早速さきほどのペンネでやられてしまったために気持ちが萎えた。痛い思いはイヤだ、もっとうま辛いのがいい。
軟弱者!と思いつつ選んだのが、これだった。辛さは選択ができず、「小辛」のみ。でも美味そうじゃないか。メニュー名からして食欲をそそる。
カリカリした食感なら、辛さが誤魔化せそうな気がするんだ。
あっ、「誤魔化す」とか言ってる。趣旨がズレてきているぞ。
いわゆる、「辣子鶏(ラーズーチー)」の豚肉版だ。これはビール飲みにはたまらんな。でも、酒を飲まない僕にとては、どうやってコイツと対峙すればいいのやら。ご飯のオカズとはちょっと違う気がする。
激辛餃子(6個) 600円 中辛@宇都宮餃子館。
「激辛」なのに「中辛」という謎のメニュー。これも辛さの選択はできない。餃子が辛い、というのはありそうでない気がしたので、チョイスした。辛くするにしても、たれの方を辛くしたほうが手っ取り早い。なのに餃子本体を辛くしちゃいましたという代物。
生地からして真っ赤、ということはなく、生地は白い。ロシアンルーレット餃子向けだ。
ヤンニョムチキン 激辛@プングム TAK CAFE。
この日・この時間帯においてはもっとも行列ができていたお店。
この「激辛グルメ祭り」は、行列が長い=繁盛店・おいしいお店とは限らない。手間がかかる料理を提供していたり、単に店員さんの手際が悪かったり。慣れない厨房環境なのでこれはしかたがない。
並ぶのが嫌いな僕でさえも、選びたくなったのがこのヤンニョムチキン。うまそうだ。やっぱり辛い料理というのは肉と相性がいいよな。
料理が揃い次第、そそくさとジップロックに詰める。持ち帰りなので、汁物であったり、グチャグチャになったら料理として見苦しくなるものは選んでいない。
会場を巡回しているスタッフに見つかったら怒られるんじゃないか、とも思ったが、ここはフードコートと一緒だ。各屋台で料理を受け取った時点で「テイクアウト」と同じなのだから、それを袋詰めして持ち帰ろうが問題はないはずだ。もっとも、衛生管理がいい加減で食中毒にでもなったら、それは自己責任で。
先ほど食べのこしたペンネも合流し、合計4つの袋からなる「激辛おみやげセット」が完成。さて、今晩はもうこれ以上自宅で激辛を食べる気はないので、明日以降ちびちびと食べていくことにしよう。2,3日はもちそうだ。
辛さに悶絶しても、僕には無限の時間がある。料理が傷むまで、というタイムリミットはあるけど。ちびちび食べて、「ひゃー、辛い!」と口から火を吹いて、休んで、また食べるを繰り返そうと思う。
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