2023年秋 家族で世界グルメ旅は妥協と妥当の産物だった【外語祭2023】

東京外語大学の大学祭、「外語祭」が今年も開催された。

僕は2005年からこの地に足を運び、外語祭で登場する世界各国の料理屋台に舌鼓を打ってきた。2023年の今でも、未だにこの外語祭のように全世界の料理をちょっとずつ、手頃に食べ歩くことができる場所やイベントは世の中に見当たらない。だから、とっても貴重なイベントだ。

2023年はCOVID-19の流行が一段落したこともあって、過去数年の自粛から一転、ようやく本格的な大学祭が開催できる事となった。こんな喜ばしいことはないので、僕は妻子を伴ってこの大学のキャンパスに再び足を踏み入れることにした。

一応、オフ会の形をとり、このサイト上で参加者を募った。しかし、予想していた通り、誰も参加者がいなかったので、僕ら家族3人で現地に向かうことになった。

COVID-19流行の間に、世の中は変わった。このサイトも様変わりした。それまで、「羊肉の会」や「激辛グルメ祭り」といったオフ会をしょっちゅう開催していたけれど、COVID-19流行をきっかけにすっかり停滞してしまった。その間に、僕がオフ会を主催するという思いつきと実行力が失われてしまったし、このサイトの読者もオフ会に参加するという機運がすっかりしぼんでしまった。そもそも、2023年現在、個人ブログサイトというのが絶滅危惧種であるし、ましてやそのサイトのオフ会ともなれば、参加する人がいるほうが奇特だ。

今後もオフ会はときどき僕から発案することがあるだろう。でも、「誰も参加しないであろうこと」を前提に企画をするつもりだ。参加者がいなければ、僕の家族が参加者として企画を決行する。

話を戻す。

今年の外語祭は、30もの国・地域の料理を売る模擬店が軒を連ねることになっている。僕がこの外語祭に初めて参加したときは24か国だった。それが年々増えていき、今では30か国と地域にまで規模が膨らんでいる。さすが「東京外国語大学」という名前を冠する大学だけある。

昔は、鼻息荒く「ここで全店舗の料理を食べれば、これって事実上の世界制覇と一緒だよね?」などと言っていたものだ。だから当然、出店しているお店全部を食べるのが当然、という発想だった。しかし今年は違う。何しろ、一緒に今回食べ歩きをする仲間が家族だからだ。しかもそのうち1名は、2歳児だ。

もちろん「気がついたら30か国の料理を食べちゃった」という状態になるのは構わないのだが、積極的にそれを狙いにいかないつもりだ。日頃一緒にいる家族とだと、どうも「無茶してナンボ」という学生ノリが抑制される。

2023年11月26日(日)

電車による長旅に飽きてきた2歳の息子をなだめながら、東京外国語大学の最寄り駅に到着。多磨駅。

びっくりしたのが、駅舎もホームも新しく作り直されていたことだ。

西武多摩川線は単線の、いわゆる盲腸路線だ。東京都内を走る電車とはいえ、のどかなローカル線だ。にもかかわらず、こんなガラス張りの橋上駅舎ができていることに相当びっくりした。

じゃあ駅前はさぞやお店が増えて栄えているのでしょう?というと、駅前の光景はほとんど変わっていなかった。

東京外国語大学のキャンパスに入る。多磨駅から歩いてすぐ。

この辺りは大学があって、その向こうは広大なグラウンド、そして飛行場がある。ほかにもゴルフ場や多磨霊園、味の素スタジアムといった施設が周辺数キロに渡って点在していることから、東京とは思えないほど空が広い。

空が広い、ということは風が通り抜けるということでもある。毎回、11月下旬にここを訪れると寒さとの戦いになる。今回は「全世界料理を食べるぞ」と意気込む屈強な猛者ではなく、「面白そうだから行きます」という妻、なんだかわからないけど「行きたーい」と言う2歳児が同伴だ。この妻子が途中で寒さに負けてしまわないよう、予め「最大限の防寒装備をしておくように」と伝えておいた。着込みすぎて暑いくらいがちょうど良い。暑ければ途中で脱げばよいのだから。

実際、この日は午後になって寒くなった。長い行列に並んでじっとしていると、じわーっと寒さが体に染み込んでくる。やっぱり防寒は大事。予めお腹をペコペコにしておくことよりも、よっぽど防寒のほうが大切だ。

模擬店が並ぶ、円形広場。

公式webサイトによると、飲食物の販売開始は11時からとなっていた。しかし、僕がこの学祭に参加していた時の記憶だと、11時を待たずに販売開始する店舗が結構あって、そういうお店から順に次々と料理を買っていくのが勝利の方程式だった。

なにしろ、12時~13時頃はどの屋台も長蛇の列となる。このお昼のピークタイム前に、いかに料理を集めていられるかが全世界制覇を狙う上では大事だ。

今年は、何時に現地入りすればよいのか、結構悩んだ。家族3人なので、おそらく全世界制覇はしないだろう。とはいえ、10か国から20か国は食べ歩くはずだ。当日どの程度混雑するのかさっぱり予想がつかないので、結局10時半頃に会場に到着するよう時間調整をした。

会場はまだ人が少ない。それもそのはず、どのお店も律儀に「販売開始:11時」を守っていた。フライングで販売しようという野心がある屋台はなかった。なぜ学祭の運営委員会は販売開始時間を全店舗揃えることにこだわったのだろう?

真面目なお店は、今のうちにとこれから訪れるピークタイムに向けて大量に作り置きをしていた。そのお陰で、昼時でもさほど並ぶ時間が長くならずに済んだお店もある。一方で、11時に営業開始ができればいい、という計算でのんびりしているお店もあり、この時間からすでに各お店の個性が出ていた。

今年もアルコールパスポートが用意されていた。

お酒を飲むたびにスタンプが押され、枠がいっぱいになってしまうとそれ以上お酒を購入できなくなる、というものだ。飲むお酒のアルコール度数に応じて、1回で押されるスタンプの数が異なっている。

「酒は飲んでも飲まれるな」という立て看板が会場内に設置されていた。

COVID-19流行後、久しぶりの本格的な外語祭となる。しかし、COVID-19流行以前のアルコールに対する警戒心というのは継続していた。

昔は世界各国のビールが世界各国の料理とともに楽しめる!ということで僕にとってはとてもウキウキさせられる場所だった。10年以上前の僕は、まだお酒を飲んでいたからだ。その頃はお酒に大しておおらかだったのだけど、今ではすっかり肩身の狭い存在になっていた。

この日の終わりに1日を振り返ってみて、「そういえば各お店でお酒、ほとんど売っていなかったな」と思った。売ってもいないし、飲んでいる人も少なかった気がする。

しかし、自分が撮影した写真を見てみると、メニューにビールやワインを記載しているお店はいくつもあった。単に僕の見落としだった。

とはいえ、昔ほど大々的にお酒を売らなくなったのは事実だと思う。あと、昔はビールがとても安かったが、今は値上がりしてしまいビールを買う魅力が減った。昔は350ml缶で400円前後で買うことができたので、エスニック料理店で飲むよりもはるかに安いのが魅力だったが、今だと700円前後が相場だ。これをぐいぐい飲んでいたら、かなりの出費になる。

ただでさえ、COVID-19のせいでお酒を伴うコンパ文化が学生の間で廃れているはずだし、それに加えてお酒がかなり高いので、これだと主催者側が警戒するまでもなく、あまりお酒が売れないのではないかと心配になる。

お店一覧。ぐるっと円形広場を取り囲むようにお店が並んでいる。

もうこれ以上模擬店を増やすのは、物理的に無理っぽい。

モンゴル語科 Монгол хэлний нэгдүгээр анги

ここからは、円形広場を時計回りに見渡して、順番にお店と料理を紹介していく。僕らが実際に料理を食べた順番ではない。

会場入ってすぐ左手は、モンゴル語。

昔はこの場所はドイツ語が毎年の定位置としていて、ヴルスト(ソーセージのこと)を求めるお客さんが長蛇の列を作っていたものだ。同人誌即売会で言うところので「壁サー」のような存在だった。それが今ではモンゴル語だ。

馬の絵がお出迎え。

「ホーショール」はモンゴルの焼き餃子、「ショルログ」は羊肉の串焼き。ビールは何が用意されているのか、確認し忘れた。

他の店が11時開店なのに対し、このお店は12時開店という張り紙が貼ってあった。資材調達が遅れているのか、それとも人手不足なのか?

(つづく)

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