2023年秋 家族で世界グルメ旅は妥協と妥当の産物だった【外語祭2023】

全30カ国と地域からなる飲食店の紹介はここまで。

我々3人は「並んでは食べ、並んでは食べ」を繰り返しながらこの地で数時間を過ごした。

2歳児の息子がいるので、彼の気力と体力が持続するかどうかが我々のネックだった。そのため、まずは彼に寒い思いをさせないよう、防風対策としてのレインウェア装着、そしてブランケットを身体に巻きつけさせた。

なにせ、この東京外国語大学がある多磨は、周囲に高い建物がない。すぐとなりが調布飛行場だし、広大な多磨霊園が広がっていたりする。そのせいで、11月ともなればとても冷たい風がキャンパスを吹き抜ける。料理を待つために行列に並んでじっとしている人間にとっては、この風が相当こたえる。

この外語祭は、参加するたびに寒さとの戦いになる。今は11月下旬だけど、服装はそれより1ヶ月後、つまり12月下旬くらいの格好をしていないと耐えられない。

僕ら3人とも、できるだけ着ぶくれしてこの日に対応したので、寒さに困ることはなかった。

あと、2歳の弊息子タケは、最後までおとなしく行列に並んでくれた。退屈してキャンパス内を走り回るのではないか?と心配したのだが、次から次へと見たことがない料理が小出しに出てくるので、そっちに気を取られたらしい。

とはいえ、彼がぐずり始める前に退却するほうが家族全員ハッピーだ。「だいたいこれくらいで十分食べたかな」という気分になってきたら、長居はしないで早々に切り上げることにした。

この日は結局、たぶん20か国の料理を食べたと思う。

例年、全店舗制覇を目指す僕だが、今年は子どもがいるということ、そして最終日のせいでか売り切れじまいにするお店が多かったことでコンプリート意欲があまり起きなかった。

13時ちょうどくらいの、会場内の混雑状況。

僕がこれまで外語祭を訪れた過去数回の中では、一番お客さんが少ない回だった。でもそれは来場者が少ないから、というだけでなく、この時点で販売を終了しているお店があったからだ。売り切れてしまったお店には、当然だけどお客さんは並ばない。

円形広場から、学生寮に向けてまっすぐ伸びている歩道沿いには各サークルがお店を出している。

ブラジルの国旗をぶら下げたサークルは、カイピリーニャを5000円で売っていた。「日本中のカシュッサ買い占めてます」「外語祭で一番強い酒出してます。」などと勇ましいことが張り紙に書いてある。このテンション、若者っぽくて僕は大好きだ。

学祭実行委員会がアルコールについて随分警戒感を強めているようだが、ここは「一番強い酒出してます」と言っている。カイピリーニャは25度ほどの度数があるので、その自慢には偽りないだろう。

本当なら、チェコ語科の飲食屋台が度数96度のお酒、スピリタスを売って人々を酔わせる役を担うのだろうが、アルコールのトラブルを防ぐためかその役は降りていた。

キャンパスのはずれにある学生寮、「国際交流会館」。

中に入れるわけではないし、ここまで来たからといって何かあるわけではないのでここで折り返すことになる。

昔、僕の友人がここに住んでいたなあ、と懐かしくこの建物を見上げてみると、4階の壁がすすで黒く汚れていた。どうやら火事があったらしい。

そんな国際交流会館の前に、「PAL国際保育園」というのができていた。インターナショナル保育園らしい。

内覧会的なものをやっていたので中を覗いてみたのだけど、解説してくれる人がいなかったのでよくわからなかった。屋外ではバーベキューグリルでマシュマロを焼いている子どもたちがいて、「ああ、これがインターナショナル保育園なのか」と勝手にそう理解した。

最後。東京外語大の講義棟に行ってみた。

立派な建物だけど、あまりサークル数は多くない印象は昔から変わらず。なので、屋外の飲食店の活気との落差が大きい。でも、学祭というのはこういう建物の構造を見たり、構内の張り紙を見たり、いろいろな要素を愛でる楽しさがある。ぜひ見ておきたいところだ。

本当は外語祭のもう一つの特徴、世界各国の言語を使った誤劇を見るのも楽しいのだが、さすがに弊息子タケが退屈で暴れ出しそうなのでやめておいた。2歳の保育園児なので、基本的に午後イチから昼下がりまではお昼寝の時間だ。小さい子どもがいる家庭なりに、早く帰宅して彼にお昼寝をさせなければ。

そんなわけで、4時間ほどの滞在で、だいたい20か国の料理を食べ、さっさと退却となった。妻も子も、いろいろな文化と料理が次々と出てくるこの狭い空間をとても気に入ったようだ。特に子どもについては、こういう体験を通じていろいろな味覚を受容できるように育っていってほしいものだ。

(この項おわり)

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