9時52分チェックアウト。
今日は最終目標地点を竜王高原の絶品蕎麦屋「山の実」とし、途中秋山郷にある興味深い温泉、「小赤沢温泉」にて立ち寄り湯することにした。
標高2,037mある鳥甲山。
この山と苗場山(2,145m)に挟まれているところが秋山郷。そりゃ秘境になるわな。
平家の落ち武者伝説があるということだが、落人というのは大変だな。よっぽど源氏の追っ手が怖かったとみえる。
秋山郷は中津川に沿ってぽつぽつと温泉がある温泉郷なわけだが、そのうちの一つ「屋敷温泉」に立ち寄ってみることに急きょ決めた。
ここの旅館にある露天風呂は外から丸見えだという話を聞いたからだ。もちろん、あわよくば女性の裸体を見たい、なんてスケベ根性は全く無い。「露天風呂の限界」をこの目で見てみたいからだ。
これが目的地の秀清館。
一見ごく普通の、こじんまりした温泉旅館だが・・・。
おおう、よしずで仕切られたスペースの中に露天風呂があったぞ。まるで庭の池のようだ。鯉が泳いでいても何ら不思議じゃない。
これ、よしずの高さが足りないんじゃありませんかご主人。だって、この写真、別に高い所から写しているわけでもなんでもなく、普通の目線の高さで撮影したものですぜ。・・・完全に丸見えですやん。
しかもここが宿の出入り口にあたるので、宿に用がある人からは全部見えてしまうのだった。すげー。チャレンジングな露天風呂だ!
これで脱衣所はありません、そこら辺に適当に脱いでね、というのだったら最高に露出狂なわけだが、さすがに脱衣所はあった。コンクリート製の小屋が二つあり、奥が女性、手前が男性用の脱衣場のようだ。すだれが下がっているので、一応服を脱着している間は視線を遮る事ができる。あっ、今気がついたけど、ということはここは混浴ってわけだな。うーむ、女性にはこれ以上ないハードルの高さだと思うが、どうなんだろう。
この旅館には無料で浸かることができる足湯があった。
どれ、露天風呂には入らないとしても、足湯くらいならちょっとお試ししてみてもよかろう・・・と思って近づいてみたら、特に手入れがされていないらしく湯船が汚れていたのでパス。足が汚れてしまいそうだ。
この足湯のあずまやも昨晩泊まった雄川閣同様、尖った屋根をしている。雪が深い証拠なんだろう。
屋敷温泉を後にして、われわれが向かったのは「小赤沢温泉・楽養館」という場所。
国道405号線からちょっと外れたところにぽつんとある、日帰り入浴専用施設だ。
このあたりは苗場山登山の拠点になる場所なので、山登りを趣味としているおかでんにとっては少しだけ詳しい。で、登山紹介本などにこの「楽養館」が掲載されていたので、ぜひ一度訪れてみたいと思っていた。それくらいインパクトがある温泉だ。
入浴時間は09:30~19:00。休館日は毎週水曜日。
10時40分に訪れてみたら、客はわれわれ以外居なかった。寂れているなあ、と思ったが、よく考えれば今日は月曜日なんだった。平日じゃ、客がいなくて当たり前だ。
面白いのが、毎週水曜日が定休日なんだけど、8月と10月は無休になるということだ。8月は夏休みの繁忙期、10月は紅葉シーズンの繁忙期というわけなんだろう。
営業時間が記されている張り紙に、「この温泉は普通療養温泉の倍以上の濃度となっており、足、腰等効能は最高です」と赤字で書かれていた。そうなんだ、期待に違わない温泉のようだ。でも、「効能は最高です」というのは微妙な日本語使ってるなぁ。「効能は抜群です」と謳ったら薬事法違反になるとかかんとか、そういうのがあるのだろうか。
建物は食堂・売店棟と温泉棟に分かれている。写真は食堂と売店がある棟。岩魚の塩焼きやきのこそばなどが食べられる。
こちらが温泉棟。
客が一人も居ないので独占状態。
泉質は「含鉄・ナトリウム・カルシウム塩化物温泉。源泉温度46.2度。
小赤沢温泉の湯。
鉄を含んでいるので、茶色のお湯だ。まるでミルクチョコレートのプールだ。
いいぞいいぞ。期待に違わぬ温泉じゃあないか。
ここの浴室にはメインの湯船の他に、寝湯(写真上)と打たせ湯(写真下)、圧注浴(同)がある。打たせ湯と圧注浴は温泉ではないので注意。「こっちの(温泉)は透明だ!」なんて最初は喜んでいたのだが、どうもおかしいと思って解説が書かれている札を見てみたら、温泉じゃないって。
いいお湯です。
透明度は非常に低く、10センチも手を沈めたらもう姿が分からなくなる。混浴向け、といえるが、あいにくここは混浴風呂は存在しない。
湯が出ているところにしぶちょおが手をやる。
「出てきた直後のお湯は透明なんだな」
手でお湯をすくってみて、気がつく。お湯に含まれる鉄が酸化して茶色くなるわけだが、湧出口ではまだ透明、ということはお湯が新鮮だということだ。
脱衣場に千社札が貼ってあった。それをはがそうとした気配があるが、全部はうまくはげなかったようだ。
札を見てみると、「TVチャンピオン ●●(名前は敢えて伏せる) 温泉旅行家」と書かれていた。TVチャンピオンの「全国温泉通選手権」で優勝した人だ。
そんな人がここに千社札を貼るって、施設に迷惑かかるんじゃないかな?許可を取って貼ったのだろうか?取っていないとすると、チャンピオンの名前が廃る恥ずべき行為なのでまさかそんなことはないと思うが、第三者からみると非常に汚いのでこういう「千社札を貼る」というのはやめてほしい。
再び車上の人になる。
こんな渓谷もあります、秋山郷。紅葉シーズンになるとさぞやきれいだろう。
その代わり全体的に国道405号線は道が狭いので、田舎とはいえ渋滞になることもあるかもしれない。
津南の町に出ると、なんだかほっとした。
下界におりてきたぞー、という感を強く感じる。秋山郷の山深さといったら結構なもんだ。
少子高齢化の日本、今後秋山郷のような山深い地はどうなっていくのだろう。高齢化が進んで、「山のいで湯」と言える温泉がどんどん消滅していくような気がする。そうなるのは悲しいことだ。秘湯巡り、なんてできるのは今のうちだけかもしれない。
竜王高原の蕎麦屋「山の実」に向かう途中に道の駅があったので立ち寄る。
道の駅はその地元の野菜や特産品が置かれていて、楽しい。小学校の社会科見学が道の駅でもいいくらいだ。地場産業について学ぶことができる。
このときは、大きな大根が1本100円だったり、キャベツ一玉120円だったりとお買い得商品満載。おかでんは、なめこを購入。おいしそうだったので。
野菜などが取り扱っている一角に、「オヤマボクチ」が売られていた。
オヤマボクチをつなぎにして蕎麦を打つのは北信州独特の蕎麦打ちテクニック。その特徴はグミグミした食感。
名前は聞いたことがあるし、オヤマボクチ入り蕎麦を食べた事もあるのだが、実物を目の当たりにするのは初めて。なんだこれ。こんなくすんだ屑のようなものがあの蕎麦の中に入っているのか。びっくりだ。
「蕎麦打ちするのに買って帰ろうか」
ふと思ったが、おかでんが蕎麦打ちするのは年に一度、大晦日の時だけだ。まだ半年先。多分、今買っても、大晦日までに家の中でロストするのは目に見えるのでやめにした。
山の実に到着し、しぶちょおと蕎麦を食らう。
うん、一昨日食べて驚愕した蕎麦は健在。やっぱり間違いなく美味い。
このときの様子はこちら
山の実で蕎麦を食べ終わり、ご主人と会話をした後お店を後にした。しぶちょおとは長野道小布施PAで解散。お互い別の方角へと去っていった。
今回、ぜいたくにも3泊、うち2泊は平日に絡む泊だったわけだが、おかげで随分とぜいたくな時間を過ごすことができた。やっぱり温泉は平日に限るな、と思ったが、そうと分かっていてもなかなか休みなんて取れるもんじゃない。今回はちょうど運が良かっただけだ。経費は結構かかってしまったが、たまにはこういうのもいいもんだ。
次は自炊棟がある旅館で1週間くらい長逗留してみたい。そこで缶詰になって、風呂入るか飯食ってる時間以外はずっとこのサイトの文章を書き続ける、というのは楽しそうだ。
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