スーパーもくべえ駐車場への駐車はやめにしたので、代替の車置き場探しと相成った。とりあえずここでUターンするのはまずいので、こっちの路地に車を突っ込ませ・・・うわ、車両通行禁止の道路ですかい。時間帯規制がかかっていた。
どうせこのあたりはどこもこんな感じなんだろう。千歳の湯、喜美の湯はすぐそこだが、最短距離での駐車は断念。ちまちまと路駐場所を探して、やましい気持ちで風呂入ってもしゃーないので、思いっきり遠方の街外れに車を移動。そこからてくてく歩く。
まあ、てくてく歩く、ったってたかが知れてる。草津の中心街は広いようで案外狭い。
まず目指したのは千歳の湯。建物背後から迫るかたちになったが、遠くからでもその所在を認識することができるようになった。さりげない建築物であることには変わりないのだが、やっぱり「共同浴場独特」の作りってのがあるのよね。それで、わかる。
千歳の湯の壁には、「お父サン 今日は早く帰ってネ話そうヨ」と書かれた札が打ち付けられてあった。しみじみさせられますな。
草津という場所柄、温泉に関係する第三次産業従事者が多いはずだ。お父サンもそういう仕事をしている比率が高い。それで「早く帰ってネ」というのはなかなか難しいのではないか。
温泉に泊まったり、温泉街を散策していてつくづく感心するのは、「この人達一体いつ休んでいるんだ?」ということだ。宿の場合、朝は朝食の支度から始まりチェックアウト、掃除と続く。それが終われば今度はチェックイン、客の部屋への誘導、夕食の準備、片付け・・・。その合間にも、宿泊予約だとかいろいろやらなくてはならない事がある。一日中働き詰めだ。もちろん、分業制をとっているから一人が朝から晩までフル回転ということはないだろうが、だとしても過酷だ。しかも原則365日営業だしな。
お土産物屋もそうで、朝はチェックアウト後の宿泊客をターゲットに早くから営業しているし、昼は日帰り客相手で当然商売やってるし、夜は場合によっては夕食後温泉街散策に出てきた宿泊客相手に商売している。一体いつ休むんだ。
そういう人たちの努力のおかげでわれわれ観光客は楽しい時間を過ごせるのだ、少々「観光地物価」だからとぼったくられても良いじゃないか。・・・良くない?まあ、あんまり有り難くないけどな。
[第05湯 千歳の湯(湯畑源泉) 16:29]
千歳の湯到着。
これからの予定としては、千歳の湯の後、ご近所の「喜美の湯」に行き、その後「翁の湯」→「白旗の湯」→「凪の湯」とハシゴして本日終了のつもり。
これで一応湯畑から南側はほぼ制覇(地蔵の湯を除く)ということになる。途中、凪の湯や関の湯を通過してしまう事になるが、まあいいや。一筆書きみたいに効率に拘りだしたら、いつまで経っても今日が終わらない。
入口には、「9時~10時30分の間は清掃時間のため入浴禁止」の表示があった。要注意。逆に言うと、夕方でも地元の方と一緒にお湯を頂くことができるということだ。
浴室には常時3名以上の人がお湯に浸かっていたので、湯船の写真はなし。まあ、16時台にもなれば地元の方々、こぞってお風呂に入りにくるよな。
これなら誰にも迷惑がかからない、という天井写真。天井マニアでもなんでもないんだけどな。
見ると、木材がとても新しい。浴室内や脱衣場の壁に使われている板は新しいわけではないので、屋根だけ最近やりかえたものと思われる。
おや。
脱衣所内にあるお手洗いのドアに、赤字の張り紙があった。
「千歳の湯改修工事のため、入浴できません」という主旨。日時を見ると、平成20年9月8日から10月10日まで、となっている。10月10日・・・って昨日か。ということは、今日が新装開店初日だったというわけだな。それは大変ラッキーだ。
改修対象として記載されていたのは、「浴室内の梁、間仕切り壁の付け替え、浴槽及び洗い場床の塗替え」とされている。部分改修とはいえ、結構大がかりだ。
やっぱり強酸性の湯ということで、あちこちの痛みが激しいんだな。今まで入ってきた4湯、いずれも「比較的建物が新しいな・・・」という感想を持ったが、建物に味が出る前に劣化してしまい、頻繁に補修しないといけないのだろう。共同浴場の維持=掃除の手間などで大変、というイメージがあったが、ここ草津においてはそれに加えて建物の補修という莫大なコストがかかるわけだ。良い泉質、豊富な湯量が故の苦しみだ。
どうでもよいことだが、男性脱衣場から隣の民宿の二階窓が丸見え。いや、表現が逆だ、民宿の二階窓から千歳の湯のおっさんの裸見放題。
いかに男性の裸に商品価値がないか、というのがこの構造からも伺える。女性脱衣所がこのような状態だったら大問題だ。
まあ、かのように男性の裸体に商品価値がないが故に、「女性用と比べて男性用の露天風呂の方が開放感が合って眺めが良い」というメリットを享受できているわけだ。
裸体といえば、「地元民かそれ以外か」を識別する簡単な方法がある。それは、タオルを腰にまいたり、股間を手で隠したりしている人は100%地元民ではない、というものだ。やたらと股間を隠したがる人がいるが、あれは一体なんなんだろう。誰に対して隠しているのだろう。多分、公衆浴場慣れしていないんだと思う。
確かに、おかでんも「隠すか、隠さないか」で葛藤の時期があったな。社会人になって、会社の寮に入ったのだが、そこは共同トイレに共同浴場、賄い付きという場所だった。で、寮はちょうど自分たちの代から女子寮から男子寮に変更となっており、入居者全員が新入社員の同期だった。夕方、風呂に入るとき、さあどうしたもんかと悩んだなあ。最初は確かにタオルを腰に巻いた。他の人も同じだった。しかし、半月もしないうちに面倒になり、結局堂々と浴室を闊歩するようになった。要は、慣れだ。
宿のアメニティとして入手したものと思われる安タオルの場合、経費削減のあおりで丈が短いものが多い。腰に巻こうとすると、ウェストをひとまわりさせることができず、足りない部分を手で押さえながら浴室にやってくる。そういう光景が何とも微笑ましい。あと、タオルが落ちそうになって慌ててしまい、床に足を滑らせるとか。ナイスファイトだ。
千歳の湯のすぐ近くにスーパーがもう一軒あった。
長野原草津口から草津バスターミナルへと向かう道の途中、右手。スーパーもくべえしかないのかと思っていたので、新たなる発見。覚えておこう。
特にwebに掲載するような内容じゃないけど、備忘録として。
千歳の湯から喜美の湯へはすぐなのだが、まだ千歳の湯の余韻が残っている。連続でのお湯はきつい。いったんバスターミナルに行って見学し、そのあと喜美の湯に行くことにした。
道中、昔ながらの豆腐店を発見。ちょっとうれしくなった。
きっと、この豆腐店、毎朝4時くらいに草津白根山にあるホテルに豆腐を届けるため、ハチロクを疾走させているのだろう。・・・いやまて、草津白根山にはホテルは無いぞ。
花いんげん甘納豆のお店があった。こちらもレトロな作りの店構え。
花いんげん、ではなく「花いんげん甘納豆」なのね。花いんげんを甘納豆にするとは。
しらなかったのだが、このお店「清月堂」って花いんげん甘納豆では有名らしい。
でも、惜しいかな、甘納豆そのものを食べる習慣が関東地方にはあまり無いのよね。もともとマイナーな存在だが、それに加えて「花いんげん」というよりマイナーな食べ物を組み合わせているので、とっても微妙。草津名物ということなので、もっと大々的にPRしても良いと思う。なんだか、草津といえば温泉饅頭、のイメージがとても強い。
おー、草津バスターミナルだー。
草津を公共交通機関で訪れている人にとっては、何ら珍しくない光景。しかし、車でしか訪れたことのないおかでんにとっては、この「草津の玄関口」が珍しくてしょうがない。なんだかうれしくなってしまい、この後写真を撮りまくった。観光名所でもなんでもないのに。観光名所への「入口」なのに。
面白かったのが、一番手前に停車していたワインレッドの目立つ車。よく見ると漢字だけど、日本語じゃない。さては中国だな。「縦横遊」と書かれている。なんともストレートでガッツリした名前だ。縦横無尽に遊んでやるぜーイエーイ、って感じがとてもよろしい。サイトのURLには、.com.hkで締めくくられているので香港の旅行会社であることがわかる。香港、やるなあ。成田から草津まで何時間かかるのよ。よくぞここまでやってきたな。香港の消費力の強さに驚く。
車の横っ腹には、「専業的日本」というマークと、スキーをしている熊?犬?のイラスト。香港人からすると、日本=北の国=雪国、というイメージがあるのかもしれない。
面白そうだったので、この「縦横遊」のサイトを帰宅後にチェックしてみた。外国旅行時に本屋に立ち寄り、日本の観光ガイドを読むのはとても面白い。その国が日本をどう捉えているかがよくわかるからだ。しかしよく考えると、海外の旅行代理店サイトで日本ツアーを調べるのが一番手っ取り早いんだよな。
見ると、いろいろツアーがあるもんだねえ。立山・黒部なんてツアーがあるし、白川郷に行くプランなんてのもある。
白川郷のツアーは相当強引で、
名古屋→郡上八幡(泊)→白川郷→飛騨高山→新穂高温泉郷(泊)→安曇野→軽井沢(泊)→軽井沢アウトレット→新宿(泊)→お台場→銀座→成田
という行程になっている。まさに縦横遊、といえる行程。疲れるなあ。でも、観光する側からすればこれくらいあれこれ詰まっていないとお得感を感じないかもしれない。相当慌ただしいが、それはそれで楽しいかも。
バスターミナルは地形をうまく利用しているために二階建て構造になっている。1階は2軒の飲食店と、待合室。2階はチケット売り場と乗降車口となっている。
飲食店の立地条件としては怖い物無しの最高の場所といえる。何しろ草津の玄関口内だ。場所代はかかるだろうが、少々値段を高く設定しても、料理がおいしくなくても、やっていけるのではないか。・・・というのは甘い考えだろうな、きっと。ここに着いた観光客は、早く温泉に浸かりたいわけであり、さっさと旅館なり湯畑の方に向かってしまう可能性大。立地条件が良すぎても、スルーされることになるわな。
まあ、そういう銭勘定の話はともかくとして、店頭の料理サンプルを見ていて面白いものを発見。「山の幸ラーメン(山菜・きのこ入り)」と「まいたけラーメン(やさい入り)」という一品。山菜は蕎麦が定番だが、ラーメンときたか。ありそうで無い組合せだな、これは。同様に、マイタケがラーメンの具になっているというのも斬新。いや、そもそもきのこ類がラーメンの上に載っていること自体が珍しい。
この店オリジナルかと思って、もう一軒の方のサンプルを覗いてみた。すると、こちらにも同様の料理が存在した。うは、そうですかそうですか。
これは記念に一度食べてみた方が良いのではないかという気がしたが、まだ夕食にはちと早い時間だったのでやめにした。
2階に登ったところにあるバス乗り場。「ターミナル」を名乗るだけあって、ずらりと乗り場が並んでいるのは予想外だった。てっきり、観光バスの一時駐車場程度の位置づけなのかと思っていたから。
草津行きのバスといえば、JR吾妻線の「長野原草津口」駅からの便だけだろうと思っていた。しかし、時刻表を見てみるとそれ以外にもあるもんだ。
軽井沢からの直通便もあるし、軽井沢発草津白根山経由の便もある。そうか、関東以西の人にとって、長野原草津口まで来いというのは無理があるよな。軽井沢接続は合理的だ。
他にも、1日8便新宿発の便が設定されていた。これは都心の人でも便利。乗り換え無しだ。
あと、一日1本と僅かだが、東京駅発のものと上毛高原駅発のものもあった。上毛高原駅発というのは、新潟方面からの来客を想定してのものだろう。
意外と便利いいぞ、草津。新宿発の直通バスがあるんだったら、マイカー使わなくてもいいかもしれない。もっとも、今回の企画はテント泊が前提なので、マイカーを使わないと荷物が運べないのでNGだが。
草津町観光インフォメーション、として草津の地図が表示されていた。草津は地形が入り組んでいるので、地図は重要。まず草津に到着したら、現在地と目的地を地図で確認すべきだ。
しかし、その地図と同じサイズで「焼肉 吾妻」の広告がでているのはどうしたものか。目立つなあ。ナイス宣伝効果。ちなみに焼肉吾妻とは、湯畑すぐそばにある焼肉屋だ。一度食べた事がある。
地図と広告の下には、ボタンがいっぱい並んでいて受話器が置いてある。「ダイレクトコール」ということで、旅館や土産物店、飲食店のボタンが用意されてあった。タクシーの無料呼び出し電話のようなものだな。宿の当てがないまま草津バスターミナルまでやってきた人が、「もしもし、今晩そちらは空いてますか?」とTELするためのものだろう。もしくは、「到着したんですが行き方がわからん」と愚痴るTELか。
バスターミナルを後にし、スーパーもくべえを素通りし、喜美の湯に向かう。もくべえの近くで、草津高原ビールのすぐ脇の路地裏で・・・と絞り込んでいったら、この道しかない、という道を発見。しかし、見渡す限りではそれらしき建造物がない。
あっれえ、おかしいなあと思って、歩みを鈍らせながら周囲を探索していたら、おっと、目の前からタオルを持ったおっちゃんが出てきたぞ。そして、今度はタオルをもったおっちゃんが車を路駐させて路地裏に入っていく。ははーん、ここだな。
ぱっと見は喫茶店。何で路地裏の喫茶店がこんなに繁盛しているんだろう、しかもタオル持って・・・と思ったが、喫茶店脇にはさらに狭い路地があった。ちょっと進めばすぐに行き止まりになるような路地だ。
この奥にどうやら目指す場所はありそうだ。
[第06湯 喜美の湯(湯畑源泉) 17:14]
あった。こじんまりしたお堂のような形をした共同浴場、喜美の湯。路地裏に隠れるようにして位置している。意図して「共同浴場巡り」を遂行している人で無い限り、部外者でこの場所を見つけることは無理だ。
地元民パラダイスになっている可能性大なので、「おじゃまさせていただく」という気持ちをより強く持ち、そろりと入場。
間口が狭い分、奥行きが広い建物だった。
玄関で靴を脱いだあと、脱衣場までなぜか数メートルの廊下がある。
脱衣所、浴室内は人でいっぱい。ちょうど夕食前の時間ということもあって、地元の方々があふれかえっていた。とてもじゃないが、浴槽はおろか天井すら写真を撮影できる状態にあらず。
地元民の専らの話題は、「千歳の湯が今日から再開したそうだねえ」というものだった。「これでこっちも少しは空くな」なんて話しているところをみると、千歳の湯難民となった人たちは喜美の湯に流れ込んでいたのだろう。
ここは珍しく湯船の縁が木でできていた。やっぱり木は良い。湯に浸かり、頭を載せた時の塩梅がとても良いからだ。
これまでの共同浴場は、壁に突き刺さったバルブからジャーっとお湯がほとばしっていたが、ここは一回小さい湯船(というか、湯貯まり)にお湯が貯まり、そこからオーバーフローしたものが大きな湯船に注がれるようになっていた。温度を下げるための工夫だろうか。湯貯まりのお湯の温度は確認していないので、その違いはよくわからない。
せっかくなので、喜美の湯近くにある「草津高原ビール」のお店に行ってみることにした。ただいま、今晩ビールを飲もうかどうしようか思案中。せっかく湯治(?)に訪れているんだから、健康で有り続けるためにもビールは控えた方が良いのではないか、という気がするし、何いってやがる、こういう時こそビールが美味いんじゃないかという気もする。
草津高原ビールって知らなかったな、そんな地ビールがあったのか。
軽井沢高原ビール、というのはまだ知名度があって、軽井沢界隈にいけば結構気軽に買うことができる。ただし値段が相当に高い。もともと地ビールは大量生産でコストを下げているメジャーブランドのビールに値段で勝てるわけがないのだが、それに加えてこのビール、料金の一部は軽井沢高原の植林費用に充てられますという主旨。その志たるや大いに良しだが、量を飲むにはあまり向かないビールだと思った。
草津高原ビールに行ってみたら、真っ暗。閉店していた。残務処理をする人の気配すらない。
閉店、はええええ。まだ17時43分、閉店するにゃ早すぎる時間じゃございませんか。
頭を抱えてうずくまるおかでん。
「草津の温泉に浸かりまくったその日の夜は、テントの中で草津高原ビールを」というプランはもろくも崩れ去った。
[第07湯 翁の湯(湯畑源泉) 18:23]
気を取り直して、翁の湯を目指す。いよいよ温泉街中心部へと突入だ。今まで草津を訪れる際は、必ず湯畑界隈をうろついていたが、ここまで中心街への侵入をじらしたのは初めてだ。
もっとも、中心街といっても翁の湯はちょっと外れた場所にある。場所としては離れていないのだが、ほぼ全ての観光客が通過するであろう「西の河原通り」から一本外れた道になるので、人通りがまばら。そのせいでか、街頭も暗い。
暗い中歩いていると、翁の湯があった。ちょうどこの時間はラッキータイムといえる。温泉街で、18時台といえば投宿している人のほとんどが宿で夕食に舌鼓をうっている時間帯。共同浴場は空いているはずだ。
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