中沢弁当で弁当の調達に失敗したため、今晩は自炊することにした。スーパーもくべえに移動し、物色。
味付け肉が安かったし、茄子やキャベツを食べたい気分だったのでフライパンで焼肉をすることを計画。しかし、野菜コーナーで発見したある一品のために、買物籠の中のものを全部キャンセルし、鍋に変更となった。その「ある一品」とは後に紹介します。
宿泊場所にする天狗山第一駐車場は、道の駅みたいに水場が完備された駐車場ではない。だから、できるだけ洗い物は少なくすることが求められた。ティッシュで拭き取って完了、というのが一番。
焼肉だったら、フライパン一つで事足りたのだが、鍋になると鍋本体とお椀の二つになり、ちょっと面倒。もし汁が余ったらどうするの、という問題もあるし。まあいいか。それだけ「ある一品」は魅力的だったということだ。
もくべえで食材調達後、セブンイレブンでビールを購入。相変わらずここは車がいっぱいで、駐車できずに途方に暮れて変なところに立ち往生している車多数。店内では弁当、ドリンク類がかなり売れていた。草津有数の繁盛店じゃあるまいか。ただし、観光客がいない平日は客足がばったり落ちるのだろうけど。アルバイトの確保という観点から、こういう観光地のお店って難しいね。
天狗山第一駐車場に戻ってきました。本日3度目。
さすがに夕方のように車が鈴なりということはなかったが、それなりにまだ駐車車両はあった。これにはちょっと焦った。この時刻(18時40分)に駐車している車ということは、このまま車中泊の可能性が高い。と、考えると、結構混んでいるといえた。やっぱり、泊まるからにはある程度隣との間隔は開けておきたい。自分のなわばりとして半径10mくらいは確保しておきたいところだ。
そんなわけで、駐車場の思いっきり隅っこに陣取る事にした。その過程で、既に荷下ろししたテント類のぎりぎり側まで車を幅寄せさせたのだが、ドアを開けた時にランタンを倒してしまった。ランタンのホヤが大破。ああ。
この後の予定としては、すぐ近くにあるベルツ温泉センターに行って本日の湯巡りを終了させ、その後夕食という段取りだった。だから、まずは温泉に浸かってから、戻ってテント設営でも十分だった。しかし、駐車場の車の多さにびびり、焦ったので「自分はこの辺りを縄張りにしてます」という意思表示のためにも早くテントを設営しておくことにした。
もちろん、テントが風で飛んでしまわないようにテントの中には重たいダッチオーブンを入れ、重しにした。
テント設営が完了した後、ベルツ温泉センターへと歩いて行く。徒歩数分の至近距離だ。
駐車場の階段を登ると、そこもまた駐車場。ここにも車が結構停まっていた。中には、イベントにでも使えるような大きなテントをこしらえて、中で宴会をやっている人がいた。
ここで車中泊する人、全員男性なんだろうか?
見渡しても、トイレらしきものはない。おかでんが根城にしている天狗山第一駐車場だと、西の河原へつながる遊歩道を200mほどいけばトイレに行くことができる。まあ、200m未舗装坂道を歩いてトイレというのは現実的ではないけど。で、この駐車場の場合はそのトイレに行くにしてはちょっと遠すぎる。・・・女性は車中泊、無理だな。
[第18湯 ベルツ温泉センター(万代鉱源泉) 19:10]
草津の町制100周年記念として作られた日帰り温泉施設。ベルツとは、エルヴィン・フォン・ベルツ博士のことで、明治時代に来日したドイツ人医師。草津温泉の効能と、温泉療法を高く評価し西洋に伝えた人として名高い。その名前を冠した、堂々たる温泉センターだ。
草津国際スキー場のゲレンデ正面にあるので、恐らくスキーシーズンになると相当にぎわうのではないか。そのため、めったやたらに広い駐車場を備えている。建物も、日帰り入浴施設にしてはやたらと巨大。
webサイトを探してみたのだが、なぜか公式サイトが存在しない。大滝乃湯、西の河原露天風呂は「草津観光公社」というサイトが公式サイトにあたるのだが、ベルツ温泉センターに関する記述が抜けている。ただ、調べてみるとベルツ温泉センターも観光公社が運営しているようなので、なんとも扱いが雑だ。草津国際スキー場のサイトで詳細な紹介があるから、まあいいか、という判断か。
建物は2001年築なのでまだ新しい。今まで入ってきた共同浴場と全く違う趣で、一瞬たじろぐ。高級感、というかなんというか。
お値段もそれなりに高級。入湯料900円でござい。
うわ、高い。
西の河原露天風呂が500円、大滝乃湯が800円なので、観光公社御三家の中では一番お値段が高い。
入るのを、ためらってしまった。このまま帰っちゃおうかと思った。お湯そのものは万代鉱泉なので、他の共同浴場で体験済みだ。高いお金を払って入る価値があるとは思えない。新しい建物だし、大人数収用を前提に作られているので風情は全くないし。
でもここまで来て引き下がるわけにはいかんよなあ。今回の企画は「草津二十番勝負」というタイトルにしようとひらめいちゃったので、ここで勝負を落とすわけにはいかなかった。しぶしぶお金を払う。
共同浴場巡りをしていると、「たかが数百円」が「されど数百円」に価値が変わるんだな、とつくづく思う。
だから、草津としては共同浴場を一般開放するということは、「カネを落とさないでゴミだけ落としていく観光客を量産する」事である。共同浴場を身内だけのものにするべきだ、という議論はこれまで散々あっただろうし、これからも続くだろう。
ちなみにおかでんは今回2泊3日の滞在で、全ての飲食物は草津で購入し、日帰り入浴施設3湯+時間湯でお金を落とした。ゴミは全部東京に持ち帰り。少しはこれで許してもらえんかのぅ。宿には泊まってないけど。
まずは持ってきたペットボトルに水を汲む。水を確保しておかないと、今晩の鍋の調理ができない。
その後、二階にある浴室へと向かう。男湯の暖簾に「GENTS」と書いてあるのが印象的。多分、ドイツ語で男、っていう意味だ。
施設はとてもよく整備されているし、設備が整っている。鍵付きロッカーが完備されているので安心して風呂に入ることができる。こういうところが無料施設とは違う。まあ、当然だが。
そして、施設が巨大なだけあって、湯船も巨大。巨大な湯船に掛け流しでお湯が供給され、オーバーフローしている様はなかなか壮観。
しかし、入浴して思ったのは「なんだかピンぼけしたお湯だな」というものだった。ぬるめにチューニングされているせいもあるのだが、バシッとした緊迫感漂う強酸性ならではのインパクトがない。なぜかはわからん。これまで、熱めのお湯を中心に巡ってきたので、ぬるいと物足りなく感じる体質になってしまったのだろうか。
おかでんなりの結論としては「ここに行くくらいだったら大滝乃湯に行くなあ」というものだった。泉質は大滝乃湯の方が良いと思う。値段が安いし、合わせ湯という必殺技の湯船があるし。
ただ、草津白根山へのルート沿いにあるという車での好立地、なおかつ施設前に広がる巨大な駐車場、そしてスキー場に隣接、という事を考えれば、ここを選んでも良いだろう。大滝乃湯に行こうとすると、温泉街に車を突っ込むことになって、駐車場に難儀する。大滝乃湯にも駐車場はあるけど、すぐにいっぱいになるからだ。
ベルツ温泉センターから戻ってきたら、早速夕食の準備開始だ。今日のテーマは「山菜鍋」で決まり。
というのも、スーパーもくべえで「香味山菜・山の味」といういろんなもん詰め込みましたパックが売られていたからだ。「せっかく草津という山あいの地に来たんだから、山の味を楽しまないと」と思い、購入に踏み切った。1kgもあるパックで、ずっしり重い。値段は800円弱したと思うから、結構高い。ベルツ温泉センターであれだけ入浴料900円を渋った割には、食い物に関しては財布のヒモが妙に緩いな。
この「山に来たから山の幸を」というステレオタイプ的発想は、非常に無意味であるということは自分でもよく分かっている。例えば、滝を見物しに行ったとき、その道中で岩魚の塩焼きを売る屋台があったら、「せっかく清流を訪れたんだから」とついつい買ってしまう。売られている岩魚なんて養殖に決まっていて、滝とは何の関連性がないことが分かっていても、つい。
そんなわけで、昨日は昼に花いんげん釜飯を食べ、夜には舞茸弁当と山菜弁当を購入するという徹底的な「山シフト」を敷いていた。もっとも、花いんげんは本当に草津界隈の名産だが。さらに言うと、舞茸は草津町ではなく、隣の六合村や上野村で栽培されていると思うんだが・・・。だめ押しでもう一言言うと、山菜弁当の山菜なんて一体いつ・どこで採れたもんだかさっぱりわからん。
そんな一連の流れの中で、まだ飽きたらずに夕食に持ち込んだ「山の味」。内容は、わらび、えのき茸、竹の子、なめこ、きくらげ、菜の花、いもずる。なかなかバラエティに富んでいてヨロシイのではないかと。
パッケージの裏に、ご丁寧に「原料原産地名」の記載があった。ご時世ですな。それによると、
日本(えのき)、中国(わらび、竹の子、なめこ、きくらげ、菜の花、いもずる)
だ、そうで。おおおぃ、ほとんどが中国産じゃないか。山といっても、海を越えた先の山が原産地だったか。まあ、半分想像はついていたので、今更驚く事はなく、ただ苦笑いするだけだったが。
それにしてもすごいぞえのき。これだけ中国産が圧倒している中、孤軍奮闘しているではないか。中国産と比べて価格競争力があるのか、中国からは安定供給できない理由があるのか、何なのだろう。しかしそのえのきだって、工場のような栽培プラントによって生育されるものであって、「山の味」とは若干ズレ気味。頑張れ、日本の山の幸。
豚肉。
今回は、「山の味」と豚肉のみを鍋の具とする。「のみ」といっても、既に「山の味」が重量1kgと相当あるので、これ以上はいらんのだが。
豚肉は群馬県産。これはれっきとした地産地消で。
味付けは味噌味。
ただ、普通の味噌にするだけじゃ面白くないので、「ピリッカラ」と記された「からしみそ」なるものを購入してみた。辛口味噌鍋、想像しただけで体が温まりそうだ。どうせ今晩も昨夜同様相当に冷え込むはず。鍋で暖をとって眠りにつきたいところだ。
その割には、体を冷やすビールを買い込んでいるのが非常に矛盾しているが、まあ、趣味嗜好ってそういうもんよ。
雪平鍋に、山の味1kgと豚肉を投入したらもういっぱいいっぱいになってしまった。想像以上のボリュームだ。油断していた。ベルツ温泉センターから持ち帰った水を入れる余地すらない。なぜなら、「山の味」パッケージに入っていた水分で十分鍋がいっぱいになってしまったから。
本当はこの水分、いったんざるで漉してから使うべきなんだよなあ。でも、ざるを洗うのは面倒なので、そのまま袋の中身を鍋にどさー。まあ、体をこわす事はあるまい。
そして、だめ押しとばかりに上に「からしみそ」を載っける。このからしみそ、豆板醤みたいなものを想像していた。ダシが含まれておらず、それだけをお湯に溶いても辛いだけでうまくねぇよ、という流れになると思っていた。それでもまあいいや、話のネタにはなるし、だしの材料を買わなくて済むし、とこの点はあっけなく妥協。
しかし、ご丁寧にこのからしみそ、しょうゆやにんにく、調味料などで既に調製されており、単体使用で全く問題無かった。有り難かった。
「今晩は焼き肉だ」と思っていた時の名残として買い物かごに残されていた、しし唐。これを炒めて塩かけるだけで、十分なビールのつまみになる。お手軽。鍋に料理変更されたため、焼肉系の肉と野菜は全て売り場に戻されたのだが、しし唐だけはなんだか未練があり、生き残った次第。
ただ、鍋にぎっしりと詰め込まれた状態の「山の味鍋」を目の当たりにすると、とてもじゃないけどこいつを今晩食べるのは無理、ということに気がついた。スーパーの時点で気づけよ、自分。
結局、このしし唐は「草津土産」として東京に持ち帰りにされ、自家消費した。ちなみにこのしし唐の産地は新潟。新潟→群馬→東京と、日本列島横断だな。
山の味鍋が煮えるまでしばし待つ。待つといっても、大した時間はかからない。アウトドア用ガスストーブといっても火力は相当なもので、自分が住んでいるマンションのへなちょこ電熱コンロの数倍は役に立つ。ただし騒音も相当なもので、「ゴー」という、腹に響くたくましい音を出し続ける。
狭いテントの中で、ランタンとガスストーブを同時に使っている。テント入口を大きく開けて、換気には非常に気を遣った。一歩間違えると、自動車の中で練炭自殺するのと同じ事になってしまう。
既に外は寒くなってきており、できるだけ熱を外に逃がしたくない心境。とはいっても、「死ぬのと寒いのどっちを選ぶ?」と言われたら「そりゃ死にたくないッス」と答えるしかあるまい。できるだけ換気はしっかりと。
あと、ランタンのホヤを壊してしまったので、非常に危険。ホヤはガラス製なので、割れたところは鋭く尖っているし、1/3ほど失ってしまったホヤの隙間からは、直火が迫る。間違ってランタンを倒してしまったりしたら、ぼや騒ぎだ。うっかり火傷するかもしれないし、ホヤで指を切るかもしれない。
なんてデンジェラスな空間なんだ、このテントの中は。そこで夕飯を食うどころか、酒まで飲んでやろうとしているのだから俺ってなんてワイルドなんだ。
鍋が煮えてくると、かさが膨張してきた。加熱前はまだ鍋に余裕があったのだが、だんだん水位があがり、もはや表面張力で保っている状態に。そして、その後、当然決壊。ああー、テントの中で鍋が噴きこぼれるのはやめて。あわててガスカートリッジの下に新聞を敷き、噴きこぼれ対策とした。
ここで、「噴きこぼれないように汁を少し捨てよう」という根本的改善の発想を全くせず、「とりあえずなんとか誤魔化せればいいや。これ以上噴きこぼれなかったらラッキー」という発想しかしないあたりがおかでんの性格を如実に表している。自分に都合の悪い事実からはできるだけ逃げようとする。
お待たせしました、山の味鍋(原産地:ほとんど中国)の完成。
いざお椀に盛りつけてみたら、結構な迫力だ。みっちりと具が詰まっている。具だくさん、なんて表現は甘い。「具だらけ」と言って良かろう。素晴らしい。良い光景だ。
早速、今日の自分にビールで乾杯した後、山の味鍋を食べる。うむ、予想以上に美味いぞ。食の安全性が担保されているかどうかはわからないが、味はかなりいい。単に、パックの山菜と豚肉を鍋に空け、からしみそを入れただけとは思えない味だ。
このからしみそが今回の功労者。ぴり辛に仕上がっていて、調味料類がいろいろ入っているので味に深みがあった。ダシを取っていないし鍋としては煮込みが足りない状態にも関わらずいい味になっていた。寒い夜にはまさにこれ、最適。
具たくさんかつ辛口なので、ビールにもよくあう。我ながら良い選択をしたと思う。
もしこれが、翻意しないで焼肉路線を突っ走っていたら、恐らくテントの中に煙が充満して目がしょぼしょぼする、なんて事になっていただろう。鍋で正解。
一人で物思いに浸りながら食事、というのも悪くはないのだが、それだと物足りない。文庫本を持ってきていたのでそれを読みつつ夕食をとることにした。
しかしこれがやりづらい。本を持ち、なおかつページを押さえるためには片手が必ず埋まる。そして、お椀を持つと、さあどうやって箸を持つんだおい。それからビールはどの手でやるんだ。両足でやるか?
立食パーティーで、「皿と、グラスを手にしたら、肝心の箸を持つ手が無くて困る」という状態以上に途方に暮れた。
しかも、ランタンの明かりは非常に低い位置にある。手元に文庫本を持っていると、暗くて字が読めない事が判明。本を読むのは諦めた。
そのかわり、昨日の新聞に折り込みで入っていた広告をネタにビールを飲むことにした。これだったら、床に広げることができるので、明るさを確保できるし手が空く。
購読している新聞が日本経済新聞なので、折り込み広告の量は非常に少ないし種類が限られる。せいぜい、地元スーパーの特売と、新築マンションのチラシくらいだ。まあ、日常生活において折り込み広告なんて読む暇はないので、チラシが少ないのはありがたいことではある。
今回はそのチラシを久々にじっくりと吟味することにした。
自分の家からだとちょっと遠くて行けないスーパーが、最寄りのスーパーより牛乳1パックの値段が安いことに憤慨したり、特売でアクエリアス2リットルボトルが138円なのに感心したり。アルコールが入った状態でスーパーの広告見るとなかなか楽しい。「おいもっと企業努力せんか、他店に負けてるぞ」「いや、この価格では特売とは呼ばせない」なんてチラシ相手にぶつぶつ語り続けた。
ふとあぐらをかいていた足の裏を見て、思わず「うわあ」と叫んでしまった。
足の裏の皮が、はがれかかって白くなっている。しかも結構広範囲にわたって、だ。なんだこりゃあ。
あらかじめ言っておくが、おかでんは水虫ではない。そもそも、皮がむけかかっている部分は水虫にならんところだと思う。一体なぜここだけこんなになってしまったのだろう。草津の強いお湯に浸かっているうちに足の裏がふやけて、その結果表皮が剥がれそうになってしまったとしか思えない。
この浮き上がった皮を剥こうかどうしようか、しばらく思案する。もちろん、人間心理として、この手の皮は剥きたいってのが普通(だと思うが、そう考えるのは変態趣味か?)。ほら、日焼けした後の皮を無性にはぎたくなるのと一緒。
とはいっても、この皮の下にじくじくした状態の真皮が現れたらとてもイヤだ。そんな状態で明日も草津の湯に浸かったら、確実に飛び上がるほど痛いぞ。
リスクは背負わないほうが良い。臆病者が最後には生き残る。・・・とはわかっていても、誘惑には勝てなかった。皮、剥いちゃいました。幸い、剥いた皮の下には既に新しい皮ができていて、大事には至らなかった。
23時頃に就寝。
2008年10月13日(月) 3日目
3日目は朝7時25分に起床。やっぱり寒くて、途中目が覚めた。そして、夜明けとともにテント内が暑くなり、やっぱりそれで目が覚めた。おはようございます。
んー、首肩の調子は相変わらず。ただ、きつい温泉に入りまくってガツーンと体を疲弊させていたので、「サウナの後のすっきり感」に近い、少しだけ良い寝起きだったような気はする。
今日の予定は、朝9時からオープンする「大滝乃湯」に行き、その後11時に千代の湯で時間湯を体験、そして退却という流れ。
9時までまだ時間が結構あるが、テントなどの撤収があるので昨日より早めの起床となった。
片付ける事自体はそれほど時間を要さない。ただ、テント類は夜露でぐっしょり濡れており、それを乾かすのに時間がかかる。
テントから抜け出たら、トイレに行くよりもなによりもまず、テントを分解して、天日干しだ。
テントの他にも、寝袋も当然湿気る。だから、アジの開きのように大きく開いて、これも天日干しだ。カビが生えたテントはまだかろうじて我慢できるが、カビが生えた寝袋に寝るのだけはイヤだ。
車周辺にテント類を広げた後、朝食。もちろんここで登場するのは、初日夜の生き残りである山菜弁当。結果的にあの日、3つ買っておいて正解だったな。ちょうど上手い具合に食べることができた。
この山菜も中国産なのかねえ、と思いつつ食べる。昨晩も山菜、今朝も山菜。
後日談だが、帰京後トイレで大きい方の用を足した時、便の色が見事に緑だったのには相当にぶったまげた。漫画「はだしのゲン」で、畑の肥料用に便所から排泄物を汲み取るシーンがあるのだが、そこでの会話で「みんな便の色は緑だ、野菜しか食べていないからだ」といった記述がなされていた。当時それを読んだときは「それは大げさな」と思ったもんだが、実物を目の当たりにすると驚くやら感心するやら、自分の無知を恥じるやら。
駐車場の一角にずらりと並ぶキャンピングカー。仲良く並んでいるので、キャンピングカー仲間の集いなんだろう。ただ、だからといって屋外に椅子や机を出して、飲食しながら歓談といった光景は一切みられなかった。基本的に自分の車の中で自己完結。スタンドアロンだ。並列化されていない。
せっかくみんな集まったんだから、交流すりゃーいいのにと思うが、アウトドアになっちゃうとキャンピングカーの価値が下がるよな。やっぱり、車の中で居住してこそナンボの車なわけで、そのために多額の投資をしているわけで、どうしても車の中で完結してしまうのは良く理解できる。
おかげで助かった事がある。このキャンピングカー軍団の中には小さい子供も含まれていたのだが、夜騒いだりすることが全く無かった。車の中という密閉空間に居るので、どんなに騒いでも大丈夫。おお、素晴らしい。
逆に、全く人の気配が感じられないキャンピングカーの列は、夜においてはちょっと不思議な光景だった。何しろ、トイレもキッチンも食卓もベッドも全部車の中で完結してしまっているので、中の人が外に出る事は全くないからだ。
この軍団は筋金入りのキャンピングカー野郎らしく、牽引型のものを全員持ち込んでいた。即ち、タウンエースなどの1BOXカーを改造した「自走式」ではなく、車の後ろにキャンピングカー(自走することはできない)を接続して運搬する「トレーラー型」だ。
「トレーラー型」(勝手におかでんが命名)の良いところは、日常生活では車だけを使い、週末はキャンピングカーを連結するという使い分けができるという事と、広い居住空間が確保できるということだ。ただ反面、通常の自動車免許とは別にけん引免許が必要なことと、駐車スペースがもう1台分余計に必要になるという課題もある。道路交通法によれば、750kg以下のものをけん引する場合は免許不要だが、さすがにキャンピングカーが750kgで収まっているとは思えない。わざわざけん引免許をとって、相当高いであろうキャンピングカーを買って、そして非常に燃費悪い状態で日本全国を行脚しているというわけだ。よっぽどの趣味人だと思う。あと、貧乏人にはできない芸当だな。
ちなみにこのキャンピングカー、車との接合のために長い鉄棒が前面に突き出ている。夜になるとそれに気付かずに人や車が激突する恐れがあるので、ご丁寧に夜の間はチカチカ赤く点滅する夜間照明が設置されていた。
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