草津山麓オウム鳴く【草津温泉ふるさと納税】

飯島館

15:11
頃合いを見計らって、宿に向かう。15時のチェックイン可能時間をちょっと過ぎたタイミング。

こういうのは、15時ちょうどに行くとがっついているようで格好が悪い。「あ、この人、がっついてる!」と思われてしまう。紳士たるもの、15時ちょっと過ぎに微笑みとともに到着するのが麗しい。

これが18時の夕食時間ギリギリのチェックインだと、むしろ「たまの旅行で、立ち寄り地をあちこち詰め込んでがっついてるなぁ」と思われてしまう。それも残念なので、15時過ぎ、というのが紳士のたしなむチェックイン時間だ。

「この人は時間に余裕があるんだな」と思わせることができる、それが15時10分過ぎのチェックイン。

もちろん冗談だぞ、この話。真に受けるなよ。

飯島館

草津の温泉街は、山の中にあるのでアップダウンが激しい。

ここに住むお年寄りは大変だと思う。酸性を含んだ水で歯が傷みやすいし、足腰には負担がかかるし。でも、温泉に浸かって、日々体を動かして、むしろ健康なのかもしれない。

そんな土地に旅館をこしらえているので、トリッキーな形をした建物がとても多い(気がする)。

飯島館

今日の宿、「飯島館」。

この宿は、楽天トラベルなどの大手ネット旅行代理店に掲載されている旅館の中では、かなり安い。

草津というのは、全体的に泊まるのも食事を採るのも高くつく場所だ。場所柄仕方がないのだけど、特に宿泊に関しては「あれっ?」と思うくらい、高いことが多い。

その点、この宿は良心的な価格だった。というか、他を圧倒する価格だった。問答無用で、ここを選んだ。

正直言って、館内施設は凝っていなくていい。なにしろ、外に出れば共同浴場がたくさんあるのだし、土産物店も豊富にある。

最近は、草津温泉も素泊まり宿または朝食のみの宿が増えてきた。昔では「一泊二食付き」が当たり前だったのだけど、少しでも安く泊まりたい、というニーズに応えた結果だろう。また、夕食を楽しめるお店も、昔と比べて増えた。

「草津二十番勝負」をやっていた頃は、まだそんなに飲食店がなかった。どちらかといえば「別荘族向けの店」または「宿メシを食ったあとの、小腹満たしのための店」といった感じだった。

飯島館フロント

飯島館の中。

柱のタイル状の模様、赤い絨毯、ソファ・・・全てが「微妙なるレトロ」で、味わい深い。籐の家具なんてのも、昭和的だ。

明らかに今風ではないけれど、ある時期はこれが「今風」だったこともあるのだろうか。旅館も、時代とともにはやりのインテリアが変わっていく。宿を営む側は大変だ。

オウムがお出迎え

って、うわあ!

フロントの風情を愛でていたら、視線の片隅にカラフルなものが見えた。

思わず二度見したら、そこにいたのはインコだった。なんだ君。ここのペットなのか。

足をロープで縛られているわけでもなく、自由に行き来できるようになっていた。ひょっとして、先ほど我々を出迎えてくれた女性は女将さんではなく、本当のラスボス女将はこっちなのかもしれない。

このインコはおとなしく、人間の女将さんにつかまれ、手でぎゅっとされても「ぐげー」と軽く鳴くだけで逃げようとはしなかった。さすがにバタバタ飛び回っていたら、保健所から指導が入るか。よくなついているものだな。

僕らはこの鳥を「オウム」だと思っていたけど、あとで調べたらインコだった。インコとオウムは同じ種類の鳥だけど、オウムは「頭にぴょこん、と飛び出た毛がある」という特徴があるという。この鳥はそれがないので、インコ。僕はてっきり、「カラフルなやつはオウム」だと思いこんでいた。そのため、この連載のタイトルも「オウム」という表現になっているけど、今更ながらこの鳥はインコです。インコ。

ちなみに「ぴょこんと飛び出た頭の毛」ってどんなの?というと、オカメインコがまさにそれ。実はオカメインコ、名前は「インコ」だけど実際はオウム。ああややこしい。

飯島館

旅館の二階。

謎の広い空間があったり、妙に狭い廊下があったり、階段が結構急だったり、唐突に本棚があったり、この写真1枚だけでも「古くからある温泉旅館」の味わいを感じ取ることができると思う。

あと、めざとい人は、謎の「廊下に散乱したスリッパ」も気になることだろう。

こういうのを「味わい」と解釈できる人と、旅行をしたいものだ。「あんまり綺麗に思えない」と言われると、まあそりゃそうなんですけど、残念ではある。

飯島館

見慣れない機械が廊下に設置されていた。冬は乾燥するから、加湿器?と思ったけど、違う。これ、ボイラーだ。

白いボトルに燃料を入れるらしい。燃料の残量が一目でわかる。そして、熱を煙突経由で各部屋に伝える、集中空調方式になっている。二つ設置されているのは、一つでは全部の部屋がまかなえなかったから。右の機械は8部屋、左の部屋は5部屋が割り当てられていた。へー。

こういうのが廊下に無造作に置いてある、というのがまた味わい深い。僕は好きだ。

飯島館

Wi-Fiだってちゃんと通っているんだぞ。

飯島館

廊下と、部屋。

靴は部屋まで持っていくスタイルになっていて、部屋の玄関の外に下駄箱がある。山小屋で時々見かけるパターン。建物玄関に広いスペースを確保できなかったのか、それとも他人の靴と履き間違えて紛失する事件が多発したのか。

飯島館

旅館あらし多発、という張り紙が貼ってある。

幸い僕は旅館あらしに遭ったことがないけれど、その気になれば結構簡単に盗みを働けそうだ。温泉にいるとつい気が緩むけど、気をつけなくちゃ。

飯島館

というわけで、玄関の靴入れ。かなり1段が高い。

冬になると雪が積もる場所なので、長靴やブーツを履く人が多いからだろう。

飯島館

室内。おお、11月中旬なのに、もうこたつが堂々と設置されている。

飯島館

花瓶いっぱいの花と、テレビ。

相対的にテレビがすごく小さく見える。

飯島館

窓際の席、冷蔵庫。

飯島館

流しは、使えないように段ボールが被せてあった。ドンマイ。

飯島館

こういう写真まで撮影しているのは、きっとワクワクが隠しきれないからだと思う。

アメニティの写真を撮るのはまだわかるけど、クローゼットの写真を撮って何がしたかったんだろう。

ワクワクだよ、これがワクワクなんだよ!

飯島館

11月から3月末まで、暖房費500円が一泊一人あたりかかります、という張り紙。

そりゃそうだよな、だってこたつがシーズンインしているんだから。

1月と2月はさらに高くなって750円です、みたいな二段階暖房費設定、というのはこれまでどこの旅館でも見かけたことがない。さすがにそこまで細かく費用を請求する宿は存在しないか。

飯島館

お茶請け。

「銘菓 湯畑の月」だって!

仙台銘菓「萩の月」があって、那須高原には「御用邸の月」があって、草津には「湯畑の月」が。

飯島館

あっ、チェックインは12時だったのか。この宿、べらぼうにチェックインが早いんだな。

なんだよ、「15時10分にチェックインするのがラグジュアリーかつエレガントな紳士のたしなみ」とか言ってたのに。凡人なみのチェックインをしちゃったよ。

なお、大広間にカラオケがあって、そこは一曲200円で歌うことができるそうだ。カラオケが使えるのは10時~14時の間なので、超絶エレガントな紳士は12時にチェクインして、14時までの間に何曲か歌うといい。演歌なんか歌うなよ?フランク・シナトラの「マイウェイ」でも歌うと、シビれるぞ。

飯島館

旅館の間取り図。ご馳走だ。本当におもしろい。

この旅館は特に当たりで、なんでこんな作りになってるんだ?という形になっている。一つたりとも、同じ形とサイズの客室がない。

105号室や、208号室なんて「隙間になんとか一部屋確保ォォォ!」といった感じがあって、とてもいい。一人客の場合はこういう部屋に案内されるのかもしれない。

飯島館

洗面台。部屋にはもちろん、バストイレ洗面台はないので共同。

飯島館

あまりにワクワクしたのか、こういう写真も撮ってる。

飯島館

カラオケがある大広間。

まだ人の余韻が残っている感じの、座椅子の配置。

地元の人たちの寄り合いとして使われたのだろうか。油断しきった感じがする。

(つづく)

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