
17:08
山の中にある草津温泉は、日没が特に早い。17時にもなると、すっかり真っ暗になってしまった。
西の河原露天風呂をあとにし、宿に戻りながら草津温泉をうろうろしてみる。
「散策」とか「そぞろ歩き」とかきれいな言葉よりも、「うろうろする」という下品な言葉の方が、なんだか楽しいよな。温泉街の探検なんて、仏様のような微笑みを浮かべつつ歩くよりも、キョロキョロしながら「おっ、なんだあれ!なんかスゲエぞ!おいちょっと!」なんてやっている方が楽しい。
(ただし、そういう他人を見るのは楽しくない。自分たちだけで、ひっそりとやりたいものだ)
探検しがいのある温泉街、というのを有している温泉地というのは、案外少ないものだ。ある程度ぎゅっとお店や宿が密集していて、でもある程度の広さがないとおもしろくない。そして、表通りだけでなく、路地にひょいと入ってもまだお店がある、という構造になっていてこその探検だ。
そして、お店は多種多様であるほうがおもしろい。お土産物屋さんだけでなく、いろいろなジャンルのお店があるほうがワクワクしっぱなしだ。理想を言えば、地形を活かしたアップダウンがあると、より秘密の探検っぽくて、いい。
そういうのを全て満たしているのが、草津だ。僕はこれ以上の楽しい温泉街を、知らない。
規模が大きな温泉地というのは他にもいっぱいあるけれど、規模が大きすぎてお店が密集していないということもよくある。なかなか、「僕にとって心地よいサイズ感」の温泉街、というのはないものだ。

温泉街が栄えるのは、巨大ホテルの勢いが衰えたから、ということもあるかもしれない。
日帰り客や素泊まり客が多いからこそ、温泉街が栄える。
都心からは、するすると草津まで車でやってくることができる。しかし気がついたら片道4時間近くかかる場所なので、日帰りといっても一日がかりになる。「じゃあ、折角だからご飯を食べていくか」「これだけ苦労したんだし、何かお土産でも買っていくか」という気持ちにさせられる、ちょうど良い距離感だ。

「こんなお店、以前はなかったよなあ?」というお店がじゃんじゃん草津には誕生している気がする。
新陳代謝が働いて、新しいアイディアのお店と商品が草津に並ぶというのは、とても良いことだ。観光客としても、行く度に「おっ?」という驚きがある。

ごま専門店、なんてものがある。

狭い道路。
ときどきこういうところに、よそからやってきた観光客の車が紛れ込み、途方に暮れているのを見かける。昼間は特に、歩いている観光客が多い道なので、立ち往生になってしまうのだった。
湯畑の近くには、はっきりとした行き先と駐車場を把握していない限りは近づかない方が良い。
草津温泉に行く際、カーナビを湯畑にセットしてしまう人がいるけど、それがそもそもヤバい。一旦、温泉街に入る手前までにナビをとどめておき、そこから目的地は改めて現地の状況を確認した方が良いと思う。

夜の湯畑はライトアップされているぞー。
頻繁にあちこちで、チカチカッ!とフラッシュが焚かれていて、空間が光り輝く。
しかし、ここでの撮影はなかなか難しい。なにせ背後に湯気がある。

射的場もある。

スマートボール場も発見。
ちょっと奥まっていて、浴衣姿で町歩きついでにふらっと立ち寄る、という雰囲気ではないのが惜しい。
スマートボール20球で1,000円なのだそうだ。そういえばスマートボールってやったことがないので、1球あたり50円、というのが高いのかどうなのかよくわからない。

なぜこの居酒屋の写真を撮影したのか、当時の心境を覚えていない。
17時過ぎでも、お客さんで賑わっていた。ここで飲んでいる人は、今晩は泊まりなのだろうか、それとも日帰りなのだろうか?泊まるとすると、素泊まりかな。
「18時からの宿メシまで待ってらんねぇよ!宿メシ前に一杯やろうぜ!」
という理由で飲んでいるのだとすると、ものすごく豪快だと思う。でも、そんな人、いるか?
最近じゃ見かけなくなったけど、温泉宿に行くと、朝からお酒を飲んでいる団体さんを見かけたものだ。おっちゃんたちが、「朝から飲む酒はうまいねえ」なんていいながら、早速顔を赤くしていらっしゃる。そういうのを見て、「すげえ!」と思った青年おかでん。結局、僕は「宿で朝酒」を飲んだことは人生で一度もないまま、断酒してしまった。なんだかちょっぴり、惜しい気もする。
朝酒って、体力がいると思うんだ。家で朝酒だったら、そのまま朝寝をすればいい。でも、旅先で朝酒って、そのあとに移動やら観光やらのイベントをこなさないといけないわけで。どんなに豪快なんだ、と思う。

湯畑からバスターミナルに向かう途中の道。
僕が連れに、「今見えているこの風景の中に、実は共同浴場があります。さてどこでしょう」とクイズを出した。
連れは「えっ」と驚きながらも周囲をキョロキョロしたけど、結局見つけられれず。
ブブー、正解はこれです。
よく見ると、「瑠璃乃湯」と書かれた看板が掲げられている。しかし暗いし、地味な建物なのでその存在は気付きにくい。
「えー、これが共同浴場!」
小さいけれど地味だけど、ちゃんと湯気抜きの屋根がついている。

17:37
草津温泉バスターミナルにやってきた。
さすがにこの時間になると、ひっきりなしにやってくるバス・・・という風情はなく、ターミナル内はがらんとしていた。

あーそうだ、「草津二十番勝負」のときに、バスターミナルのお店でお持ち帰り用の弁当を買ったんだった。おなつかしゅうございます。まだ「舞茸弁当」とか「山菜弁当」といった、当時食べたメニューは健在。
(つづく)
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