14:54
工場見学づいている僕らは、豆腐工場の次はおかき工房を目指した。
どうやら、ほど近いところに「日光おかき工房」なるおせんべいやおかきを製造している工場があるらしい。
聞いたことがないのだけど、手焼きせんべいの体験もできるということなので、観光客はウェルカムなのだろう。
そんな軽い気持ちで到着してみたら、いやあ、でけぇことでけぇこと。
てっきり、職人さんが数名で、せんべいを焼く機械をカチンカチンといわせながら焼いているレベルのものだと思っていたけど、まさに工場だった。しかも、駐車場も広い。
駐車場には観光バスが停まり、自家用車も鈴なりだ。
これにはびっくりしてしまい、連れと思わず顔を見合わせてしまった。
「知ってた?」
「知らない」
隠れた観光名所だったのか、それとも単に僕らが無知だったのか。
なにせ、これだもの。
建物内に入ると、かなり広い面積を誇る売店があり、そこには繁華街かと目を疑うような人だかり。
だって、売っているのはひたすらせんべいやあられやおかきだぞ?そりゃ、美味いとは思うけどさ、だからといってこんなに人が集まらなくても。
なお、工場は2階の窓から一部分を見下ろすことができる。写真撮影禁止なので、工場の写真はなし。
山積みになるせんべい。
さすが工場直売。ひたすら茶色い世界だ。
それにしても種類の多いことよ。広大な売り場面積にふさわしく、多種多様なせんべい類を売っている。
極論すれば「どれも似た味」なんだけど、それでもどれを買おうか目移りしてしまう楽しさがある。
試食だってある。ただし、なにやら厳重にガードされたアクリルボックスに試食用せんべいが格納されていた。食べる際は、トングでつまむ。
おそらく、マナーを知らない外国人団体観光客が、うわーっと食べ散らかした過去があるのだろう。なんなら、袋に詰めてお持ち帰りにしたり。そういうのを防ぐために、随分慎重になっている。「食べて欲しいんだけど、食べ散らかしては欲しくない」という揺れる心が透けて見える。
さすが工場直売、「揚げたて」のおかきを売るコーナーもあった。
「待ち時間30分」と書いてある。大人気だ。
ああなるほど、だから人がたくさんこの建物内に滞留しているんだ。揚げたておかきのできあがりを待って、ソワソワしているのだった。
単に山積みになっているおかきを買って帰るだけだったら、お客さんはこんなにごった返してはいないだろう。
僕らもソワソワする一員になってみる。
揚げたておかきは買わなかったけど、「手焼き体験」をしてみることにした。やったことがあるようで、初めての体験だ。
まず、売店で生のせんべいを買う。火が通っていないせんべいは、お餅のような色をしている。そりゃそうか、米だから。
手焼き体験も当然、繁盛していて長い順番待ちだった。じっと待機して、いざ自分たちの番に。
真っ平らな生地に、まずはしょう油をつけた筆で絵を描いて、それから焼くのだとスタッフのおねえさんに教わった。急に絵を描き給え、と言われても、絵なんて久しく書いていないので困る。ドラえもんかアンパンマンを描くくらいしか、思いつかない。
結局、「アワレみ隊」という文字を書くことにした。
いざやってみたら、かなり難しかった。「隊」という漢字もさることながら、「み」というひらがなも筆で書くのは大変。でも、「何が描かれているかはわかる」程度の仕上がりにはなったので、とりあえず満足。
16:07
おかき工房を後にし、最後にもうひとつ。「鬼怒川お菓子の城」というところに行ってみた。
しかし、工場見学や体験ができるわけではなく、単なるお菓子の売店だった。
タイミングがあえば、実演販売とかお菓子作り体験といったイベントもあるようだけど、さすがに16時だと、そんな雰囲気は残っていなかった。
16:19
そろそろ宿に向かう。
あまり遠くには行っていないので、宿はすぐそこだ。
途中、何やら小さなおうちが道ばたにあるので、何事かと思ったら、ゴミ捨て場だった。
なんという立派なゴミ捨て場だ!瓦葺きになってるぞ。しかもサッシまでついている。
これなら人が住めるんじゃないか、と思ったが、よく見ると屋根のすぐ下は換気のために格子状になっていた。冬は寒くて耐えられないと思うので、ここに人が住むのは無理だ。
(つづく)
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