2020年9月／コロナ時代の静岡にひっそり帰省する

富士山静岡空港の構内案内図。

空港にかぎらず、こういう地図を見るのは昔からずっと好きだ。そのため、無意味に写真を撮ってしまう。

これと同じ情報は、おそらく空港のwebサイトに行けば見ることができるはずなんだけど。

でも、公式サイトはどんどん最新情報にアップデートされていく。写真を撮ると、撮影した当時の記録として情報が固定されるので、それはそれで意味はある。

空港なんて、大抵「1階に到着ロビー、2階に出発ロビー、3階は展望デッキ」というのが相場だ。それでもガチガチっと形が決まっているわけじゃないのが面白い。

空港なんて、駅前雑居ビルじゃないんだから自由に建物が設計できる。予算の都合があるとはいえ、無理やり狭いところに設備を押し込める必要はない。だって、周囲何千メートルも空き地があるところに作るものだから。

それでも形がいびつになっていたりするので、「これは一体どういう理由なのだろう」とあれこれ推理するのが楽しい。

この空港の場合、1階の手荷物受取所が国内線は1レーン、国際線が2レーンとなっている。国際線旅客のほうが手荷物預けが多くなるのは当然としても、倍のレーンを確保しているのは面白い。

1階、2階が真四角の形をしているのに、3階になるといきなり変な形になる。

えっ、と目を疑うが、たぶん2階の出発ロビーが吹き抜けになっているのだろう。

空港の場合、業務用スペースであり一般公開していないエリアが複雑に存在するのでややこしい。テトリスみたいになっている。

この地図を見ると、ボーディングブリッジが2階に3基、そして3階に1基あるようだ。3階のものはとってつけた感があるので、後から増設したのだろう。商売繁盛しているようでなにより。

バス乗り場。

藤枝駅行きが1番乗り場として表示され、「所要時間約40分」と書かれているのでびびる。

そして2番乗り場が河口湖／御殿場行き、または渋谷マークシティ行きというのもびびる。渋谷に行く便があるのか！だれが乗るんだ？

ちなみに県庁所在地・静岡市へは54分。これは厳しい、さっき「あんまり良くない例」として広島空港を挙げたが、あれだって広島駅まで50分だぞ。それよりも時間がかかるのか。(これを目糞鼻糞という)

あー。

国内線、今日これからの出発便は全部欠航になっていた。厳しいなぁ。コロナ流行開始から半年、これが2020年9月の現実。

国際線も、この後出発する唯一の便が欠航になっていた。

1階のチェックインカウンター。

定期便を持つANAとFDAが常設カウンターを設けていたが、こんな状況じゃ開店休業状態だ。何しろ、出発も到着もないのだから。

だったら電気を消して閉店しちゃえよ、と思うが、チェックインカウンターはチケット売り場でもある。「ネットでチケットを買うのは難しい。近くに旅行代理店がない」という方はここまでやってきて飛行機のチケットを買うかもしれないので、閉店できないのだろう。

暇だろうなぁ。「暇だからラク」ということはたぶんなく、暇だからこそこれまでと全然違うタスクが割り振られたり、または失業するかもしれない恐怖と戦わないといけない。スタッフの方々は大変だ。

ANAのカウンター前に置いてあったホワイトボード。欠航情報が張り出されていた。

ずらずらと書いてあるが、結局一言でいうと「9月19日と22日の札幌千歳⇒静岡⇒沖縄⇒静岡⇒札幌千歳便だけ運行するわ。あとは全部欠航」ということだ。

これだと、「欠航情報」じゃなくてもはや「運行情報」だ。

とはいえ、たぶん便の増減というのは航空会社が勝手にできるものではなく、路線バスや鉄道のように国交省や自治体の承認が必要なのだろう。一度設定した便を「止めます」とは簡単に言えないので、表現としては「便は存在します。でも運休します」ということになるのだろう。

飛行機の離発着としては機能していない空港だけど、売店はしっかり営業していた。

えらく奥行きがない売り場だけど、空港利用者の数を考えればこの程度の広さでちょうどよいのかもしれない。

出発口の前にテーブル付きの椅子が設置されているのは珍しい。

なんでこんなところにテーブルが？と思ったら、奥にカフェがあるからだった。カフェで買った飲食物をここで食べるための場所。

出発口なんて混雑が予想される場所だけど、そこに机と椅子というのは大胆だ。

で、出発口は手荷物検査のための行列待機所があるのだけど、少しでも心の癒やしになるよう願ってか、植栽が用意されているフレンドリーさ。

(つづく)