全然、禅じゃなくても【伊豆半島】

記事の掲載順番が前後していて、時系列としては随分ややここしいことになっている。

この話は、奥塩原に温泉療養に行ったつもりが、ついつい俗と欲に惹かれて観光をしてしまった「うっかり、観光」の後に続く温泉療養話となる。

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「毎月1回は、どこか温泉に行ってガチャガチャした気持ちをリセットさせたい」

ということから、この時期はよく温泉に出かけていた。奥塩原が2015年4月で、今回が6月。5月が抜けてしまったのは、この間に僕は眼瞼下垂の手術をしていたからだ。

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今回は手術から一か月が経過し、完治したということで「病み上がり記念」という意味合いも兼ねている。というか、勝手にそういうことにした。

昔っからあっちこっち旅行している僕だけど、未だにやっぱり後ろめたさはある。「遊んでお金を使ってばかりでなく、もっと貯金して読書でもして静かに暮らしたらどうか」みたいなのは、ある。親兄弟がそういうクソ真面目な性格の中、育ってきたからだ。

だから、「療養!」だの「ナントカ記念!」という名目をつけた方が、自分自身の気が楽だ。

今回は、伊豆半島に行ってくるつもりだ。

前回同様、「極力観光はしないでゆっくり過ごすつもりだけど、往路・復路の途中に何か施設があったら、そりゃあ寄っちゃいますよねぇ。それはしょうがないですよねぇ」というスタンスでいる。

宿は、河津大滝の近くにある「禅の湯」というところだ。名前からして、一風変わっている。どんな宿なのだろう?「値段が手頃な、でもちゃんとした温泉宿」をネットで探していて、見つけた宿の一つだ。

2015年06月26日(金) 1日目

海岸線の有料道路を走る

あまり天気が優れない中、車を走らせる。

小田原厚木道路を経由して、真鶴道路、熱海海岸自動車道と有料道路を経由しつつ熱海を目指す。

それにしても意欲的なものだな、崖にへばりつくように、しかも崖から突き出るように、ホテルが建っている。このオーシャンビューの絶景、ゲットォォォォォ!と言わんばかりだ。

・・・だけど、ああ!これは廃墟っぽい。そうか、もう営業していない建物なのか。

一体どうしちゃったんだろうな、日本って。少子高齢化は以前からの傾向だけど、人口減少が始まったのはつい最近のことだ。団体旅行をしなくなったから大型ホテルは厳しい、というのはよく聞く話だけど、それ以上に日本人って「泊まりの観光旅行」をしなくなったのだろうか?

せめて僕なんかが、泊まり旅行をして観光業界を活性化させなくちゃ。・・・そんな鼻息が荒い僕であったが、相変わらず立ち塞がるのは「一人客は相手にしていませんよ」というつれない宿の態度。悲しいすれ違いだ。

まず最初に訪れたのは、「熱海秘宝館」だった。昔は結構あちこちに「秘宝館」は存在したものだが、今はほとんどなくなってしまった。公序良俗に厳しくなったご時世、「エロ施設」の肩身は狭いだろう。失礼ながら、熱海秘宝館もいつなくなってもおかしくない。なので、拝めるうちに拝んでおいたほうが・・・と思ったのがここを訪れた動機の一つだ。

熱海秘宝館

おっぱいをプリプリさせた人魚がお出迎えの秘宝館。

入館料を見てびっくりした。1,700円。おう、かなり高いな。・・・冗談のつもりで、ニヤニヤしながら鑑賞するつもりのものに1,700円(この日同伴者がいたので、二人で3,400円)を払うのはためらわれた。結局、入り口のところでUターンして、入場は諦めた。

僕らと同じように、入り口のところで諦める客は他にもいた。「そこまでして見たいもの」ではない、ということだ。世界的名画が展示されている美術館ならともかく、ここは「ハンドルをぐるぐる回すと風が吹いて、目の前にいるマリリン・モンロー人形のスカートがまくれ上がる」なんていう展示だから。

以前1度、ここを訪れたことがある。まだ新卒で入社して間もない頃だ。

社員旅行で熱海に一泊し、コンパニオンを呼んで宴会をし、翌日はみんなで秘宝館に訪れたっけ。いかにも20世紀な出来事だ。今は僕の周りの職場で、こんなことをやっている組織はどこもなくなった。

そのときに、「うわ、入場料が高いなぁ」とぼやいた記憶が残っていない。どうしてだろう?と思ったら、山の上にある熱海秘宝館に通じるロープウェーの往復運賃とセットで、1,800円だったからだ。ロープウェー代込みで1,800円なら、別に高いという印象はない。

つまり、車で直接秘宝館にやってきた人は、かなり割高な料金を払っていることになる。駐車場代、という名目なのかもしれない。

熱海城からの眺め

熱海秘宝館近くからの眺め。眼下に熱海の町が見下ろせる。

こうやって見ると、ホテル、旅館、保養所、別荘がびっしり埋め尽くしている町だ。新幹線停車駅でもあり、とても賑わっているように見える。しかし廃墟がまだまだあちこちに残っていて、本当にもったいないことだ。

熱海は新幹線停車駅なので、新幹線通勤で都心に勤務することだって可能な場所だ。帰宅したら温泉にザブン・・・なんていうのはさぞや気持ち良いだろう。

しかし、東海道新幹線の残酷なところは、「のぞみ」号ばっかりが走り、「ひかり」「こだま」がすっかり虐げられていることだ。熱海駅は当然通過されまくりで、実際は平日昼間は1時間に2本程度しか便がない。こうやって考えると、「都心への通勤」だけで考えると「ローカル路線駅」と何ら変わりはない。

ならばいっそのこと、ということで、新幹線通勤族はさらに一駅東京から遠くなる「三島駅」界隈に住んでいる人もいる。こっちの方が土地があるし、水が綺麗で自然豊か、というイメージがある。どうせお互いこだま号しか停車しないので、東京への所要時間には大差がない。

景色を楽しんだあと、車に戻る。

伊東に行くなら・・・

11:47
熱海から伊東に向けて、伊豆半島の東岸を走る。

このあたりを走っている時は、気持ちは遙か先に行っている。伊豆高原とか、稲取とか・・・。伊豆半島中南部を目指すなら、まだまだ先が長い。そのため、網代とか宇佐美といったエリアはほとんど関心をもたれないまま素通りしてしまっている。

でも案外こういうところのメシ屋とか、宿もええモンがあるかもしれない。機会をあらためてこういう「伊豆半島の近場」も研究してみたい。ついつい、「伊豆半島旅行!」ってなると身構えちゃって、どんどん奥の方に行きたくなっちゃうんだよな。

そんな僕でさえ、伊東の市街地手前になると、シャンとした気持ちになる。というのも・・・

ハトヤ

サンハトヤだー!

「伊東に行くならハ・ト・ヤ」のCMでおなじみの、ハトヤ。幼少期、サブリミナルとも言えるくらいにあのCMを覚えてしまい、未だにハトヤの前を通ると「ハトヤだー!」と叫んでしまう。単に、昔からあるホテルに過ぎないんだけど。

「子供には良い教育と体験を与えたい」と親が思うのは本当に正解。人間って、子供の頃に覚えたものを死ぬまで忘れない。

ちなみに遙か昔、僕が初めて伊豆半島をドライブ旅行した時・・・23歳の頃だったか・・・サンハトヤを見てあまりに嬉しかった僕は、そのまま伊東市街地の山側にある本家の「ハトヤホテル」にも突撃したっけ。

「おお、これがハトヤなのか!」と車内で盛り上がったのだけど、車はそのままホテル玄関前の車寄せにたどり着いてしまい、ドアボーイが我々を客と思ってお出迎えにやってきた。「ああ!すいません違うんですこれは違うんです」と言いつつ、あわててアクセルを踏んで逃げた記憶がある。

なお、そんな「憧れのホテル」ではあるけれど、今まで一度も泊まったことがないし、中に入ったこともない。いい加減一泊くらいしてみようよ・・・と思って、今宿代を調べてみた。案外高いな、ここ。さすがCMでやっているように、ケレン味たっぷりな演出がある宿だけある。

道の駅

11:52
サンハトヤの並びに、カラフルな建物が見える。シンガポールのプラナカン建築様式のようだ。なにやら時計台のような塔まである。

これが道の駅。「道の駅伊東マリンタウン」という。昔からあったっけ?こんな建物。記憶にない。

立ち寄ってみることにする。

おすすめトイレ

かなり横幅が長い建物だ。

そんなわけで、館内案内も細かい。「バザール棟」と「スパ棟」「マリーナ棟」があるらしい。

せっかく「山側から見た施設のご案内」と書かれているのに、中央には「海側中央特設ステージ」という、山側からは見えないエリアのご紹介までしてある。一体どこからの視点なんだ。

ちなみに、「オススメトイレはこちらから」なんて「海側中央特設ステージ」には注釈が付けられていた。オススメがあるのか!

館内の様子

うわあ・・・

これは広い。天井が高い。

バザール棟、という建物は広大な空間が広がっていた。

一階は海産物を中心としたお店、二階はレストラン街になっている。

これだったら、道路の反対側に建物を建てた方が良かった気がする。

「さあこれから伊豆半島観光するぞ」という方向の車線沿いにある建物としてはもったいない。旅行の帰り道に立ち寄るには最高。

ばり勝男くん

うひょー、最高!

僕が大好物を公言してやまない数少ない食べもの、かつおぶしスナック「バリ勝男クン」が山積みになっている!

これ、東京じゃ滅多に手に入らないんだよなぁ。そうか、ここは既に静岡県だから潤沢に売られているわけか。

ご丁寧に、手提げ袋スタイルで5袋セットのものも売られている。いいね、是非買って帰ろう。

館内図

道の駅スタンプの場所を示す案内地図もあった。

ああー、道の駅スタンプラリーをやっていると、こういう情報って大事だよな。これだけ巨大な施設だったら、スタンプを探すのが「宝探しゲーム」みたいになる。

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東北道の駅のスタンプラリーを一週間がかりでやって早10年以上。またこういう旅行をしてみたいものだ。

早朝から営業中

この道の駅、意欲的だな。

朝湯+朝定食セット、なんてものがあるのか。併設の入浴施設で朝風呂を浴びて、朝定食を食べて、それで1,000円。かなりお得だと思う。ちゃんと「鰺の干物定食」というのもあるし。

朝湯は朝5時から。ガチすぎる朝湯だ。

これだったら、週末や行楽シーズンの渋滞を避けるために、金曜深夜や土曜早朝に都心を出発し、ここで朝湯+朝食+時間調整をするということは十分に考えられる。

季節によっては、朝風呂を浴びていたらちょうど東の海から日の出、ということもあるかもしれない。いいじゃないか、それ。覚えておこう。

伊豆太郎

お昼ご飯は伊東の市街地で食べる予定があったけど、一応ここでもメニューと値段はチェックしておこう。「伊豆太郎」というお店があった。

マンボウ

ええと、「真イワシ一夜干」と書かれた巨大な・・・いや、これはイワシじゃなくてマンボウだな。

海鮮丼

海鮮のっけ丼、というメニューがある。2,200円。うお、高い。

「人気第1位」ということだけど、みんな伊豆半島にやってきてすっかり財布の紐が緩んだんだな。

猟師めし

伊豆高原ビールと漁師めしの組み合わせを推すポスター。

おそらく、丼の上に載った具をつまみにしてビールを飲んで、ビールを飲み終わったところで「シメ」として丼メシを食べる、ということなのだろう。つまみは丼一杯で完結。でもお酒は一杯で完結しないで、調子に乗って二杯くらいいっちゃうかもしれない。

それだとランチに3,000円以上のお支払いになる。気をつけよう。

今日も一歩前進!

男子トイレには、「今日も一歩前進!」というテプラが張ってあった。

すまん、昨日は一歩前進していなかったわ。

今日は大いに反省して、一歩といわず二歩前進して、用を足した。

(つづく)

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