来日したら標高3,003メートル【立山・黒部アルペンルート】

お車回送

立山駅へ。途中、車を預けるため、駅手前にある「三渓社」というところへ。

「お車回送」という看板が目印。

われわれはこれから立山黒部アルペンルートで山脈を二つ貫通して長野の扇沢へと向かう。その際、富山側に車を置いてけぼりにしてしまうので、そこで「車の回送サービス」を使う事になる。そうすれば、途中から折り返して元来た場所(立山駅)まで戻ってくる必要がない。行きっぱなしOK。

もちろん決してお安いサービスではない。いくつか同様の業者がいる中で一番安かったのが三渓社だったので選んだのだが、JAF割引込みで21,000円。

立山から扇沢までは自力走行で車は回送される。そのため、道中のガソリンは当然自腹ということになる。21,000円、手間を考えると安いと言えるが、とはいえなかなかぜいたくな利用だ。

車の受け取りを扇沢、翌日夕刻に指定して手続きを進める。

クレジットカード払いOKなのだが、おかでんが持っていたカードはエンボスレスだったため、一悶着。ここはカードを即時照会するための通信回線が引けいていないため、昔ながらのカーボン紙をガシャンコと転写する仕組みだった。

お店の人にあれこれ調べて貰った結果、なんとかエンボスレスカードでも決済はしてもらえた。危ないところだった、山に入る前に現金を失ってしまうところだった。山にはATMなどないので、現金は貴重。

立山駅

「立山駅」は、富山電鉄の終着駅であり、美女平に向かうケーブルカーの駅でもある。

「立山黒部アルペンルート制覇」を目指すなら、富山駅から富山電鉄で立山駅にやってくるところから始め、終わりは信濃大町までバスに乗って行くと完璧。その点われわれは、立山駅から扇沢駅まで、とやや端折っている。ただ、核心部はずずずいと通っており、折り返しもしていないのでカッチョいいプランには仕上がっている。まあ、そのためのお車回送なわけで。

富山電鉄の改札
ケーブルカー改札

おかでんが車の預け入れをしている間、Fishにはダッシュで発券窓口に行ってもらい、時間指定をしてもらった。これは、立山-美女平のケーブルカーがよくボトルネックになり、繁忙期にはここが詰まるせいで先に進めなくなる事が多発しているからだ。

立山駅周辺地図

幸い、チケットはこちらの予定通り12時20分のものをゲットできたので良かった。

室堂は雨

なんでこんなにあっけなかったの、と思ったら、あらら!室堂、雨じゃないか。

気温13度は想定の内だったが、雨が降るとはなんともはや。

道理で上を目指す人が少ない訳だ。天気予報見ていた人は、今日室堂に行こうとは思わないだろう。うわちゃー。

「視界:100m」だそうだ。わざわざ視界が書いてあるあたり、パノラマビューが売りの観光地だけある。室堂まで行って、半径100メートルでガスっていたらそりゃもう泣きたくなりますわ。

でも、われわれは今晩の宿を室堂に確保しているので行かなければならん。

やべー。Fish一家が来日日程を検討する際、おかでんから「日本は7月末からお盆くらいまでが天気が安定していてお勧めだよ」ってアドバイスしたんだけど、助言と裏腹な天気ではないか。立場ないなあ。

しかも、今晩の宿は室堂駅から大自然の中、徒歩で30分くらいは歩かないといけない場所にある。足下ぬかるむやらずぶ濡れになるやら何も見えないやら、さんざんな目に遭いそう。すまん!山の天気だけは予測のしようがないんだわ。

駅構内の売店

本格的な雨具の用意がなかったFish妹とFish母は、Fish指導のもとレインウェアを購入していた。Fishは以前おかでんの薫陶を受け、ゴアテックスのレインウェアを高値で購入済なので問題はなかった。

お昼ご飯調達

運よく一番早い時間のケーブルカーが確保できたので、その結果お昼ご飯を食べそこなってしまった。次の美女平駅には売店あれど食堂なし。食糧調達はここでやっておかないといけない。

幸い、店頭で「おやき」が売られていたので、全員お好みのおやきを購入。

おやきって長野県の名物だが、富山でも売られているとは。アルペンルートでつながっているので、こういう名物交流が行われている様子。

なお、売店に行くと雷鳥グッズがたくさん売られていた。雷鳥が描かれたお菓子の箱多数。一応立山の一押しとしては、国の天然記念物でもある「雷鳥」ということになるらしい。そういえば、北陸本線を走る特急電車の名前が「雷鳥」「サンダーバード」だったっけ。

「雪の大谷」ジオラマ

ケーブルカー改札近くに、「雪の大谷」ジオラマが飾ってあった。Fish一家は興味深げにしげしげと眺めていた。

雪の大谷とは、室堂にGW前後に出現する雪の壁。冬の間完全に雪に埋もれてしまう室堂を、道路のところだけ除雪した状態で一般公開される。10m近くもの壁面は圧巻で、これを目当てにGW期間中は大変にアルペンルートは混みあう。

日本人でもこれだけの雪の壁は信じられないというのに、台湾の人たちからしたらどう見えたことだろう?たぶん、想像できないどころか、「わけがわからん」世界だと思う。

ケーブルカー

指定の時間ちょっと前に改札開始となり、ケーブルカーへと乗り込む。

急斜面をのぼるケーブルカー

ケーブルカーは急な坂にへばりつき登っていく。「材木坂」と呼ばれている場所だそうだが、なるほど木々が材木としてそのまま出荷できるくらいたくさん生えている。

・・・と、Fishたちには解説していたのだが、後で念のために「材木坂」について調べてみたら、「材木石」と呼ばれる奇岩があちこちに立ち並んでいるので「材木坂」なんだそうだ。うわあ、うそ教えちゃったよ。

おやきを食べる

7分という短い乗車時間だが、その間におやきを食べる。

昨日、都心から宇奈月に向かう道中でもおやきを食べたので、Fish一家は「日本人はOYAKIなる料理をよく食べるらしい」と勘違いしたかもしれない。でも決してそんなことはなく、日本人でおやき自体を知らない人だって結構いるくらいだ。お昼はONIGIRIでも買っておけばよかったかな?

美女平

美女平に到着。

外は・・・案の定雨が降っている。あー。

当初プランでは、美女平をしばらく散策する事になっていた。立山杉の原生林の中を歩き、野鳥の鳴き声を愛でる。自然が好きなFish一家にとっては楽しいミニハイキングになるだろう。

どうする?室堂行きのバスはもうスタンバイしてわれわれケーブルカーに乗ってきた客を待ち受けてる。予定を変更して、美女平をスルーするか?

「Fish、どうする?」
「わかんない」

わかんない、かよ。こっちもわかんねーよ。せめて駅の近くにあるという「美女杉」という木の写真だけでも撮影しておきたいが・・・

えーい、居残り決定。

美女平はびしょびしょ

うお。あらためて外を見ると、激しい雨。ケーブルカーたった7分の距離にある立山駅では雨が降っていなかったのにこの仕打ちは何。山の上の方に雨雲が固まっているんだろう。

さすがにこれで原生林散歩としゃれこむのは無理だ。

美女杉

美女平駅の目の前に美女杉はあった。樹齢何年かわからないが、大きな杉が夫婦のように2本、並んで生えている。

とりあえずここでFish以下台湾勢3名の記念撮影。雨がすごいので何がどう記念なんだかさっぱりわからない写真になったが、仕方がない。後日、「あの時は雨がすごかったねえ」という思い出話につながればいいかな、という類のもの。

こういう大雨の中でも三脚立ててセルフタイマー撮影なんてやっているから、1年とデジカメがもたないんだ。

高原バスの改札

傘をさしてもびしょ濡れになりつつ、高原バスの改札に戻ってみた。当然すぎる話だが、バスはすでに出発しており、美女平駅は売店や交通機関の職員さん以外誰もいない状態になってしまった。次の出発まで時間をつぶさなくちゃ。

二階の休憩室に向かう
休憩・展示室

二階に「休憩・展示室」というのがあるようなので、行ってみた。

うむ、多目的スペースとしてこしらえいたようだが、非常にがらんとしている。写真が展示されていたが、それでも空間の空白が非常に大きい場所だった。

美女平のお土産物屋

再び一階に戻り、おみやげ見物。

日本語なのでさっぱり中身はわからなかったと思うが、土産物屋はその国の文化を色濃く映す。きっと楽しんでもらえたはずだ。

高原バス乗車

30分ほど待って、高原バス乗車。

室堂直行便と、途中「弥陀ヶ原」で停車するものとが分かれているらしい。われわれは弥陀ヶ原でいったん降り、軽く散策しようと思っているので弥陀ヶ原立ち寄りバスに乗る。

室堂への道
立山杉

一般車両通行止めの道を走るバス。

立山杉が両脇に数多く生えている。

立山杉の大木

時折樹齢300年とか400年クラスの大木が現れるのでびっくり。

よく見かける植林された杉は樹齢数十年のものなので、桁が違うとさすがにでかい。いったいどこまで大きくなれるのか、気になる。屋久島の縄文杉が2000年以上の樹齢を誇っているので、この立山杉もうまいこといけばそれくらいまで生き延びるのだろうか?

滝見台

滝見台、というところを通過する。

滝見たくてもこの天気じゃ視界が悪くて見えねーよ、ってことで車内では苦笑が起きる。

木がだんだん低くなってきた

バスは台地状のところをゆるゆると進んでいるようだが、実際のところは相当標高を稼いでいるようだ。どんどん植生が変わっていく。先ほどまであった杉の原生林は姿を消し、だんだん低木が増えてきた。

天気が良いと非常に気持ちが良い空間だろう。

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