来日したら標高3,003メートル【立山・黒部アルペンルート】

トンネルを歩く

気が付いたら扇沢行きのトロリーバス、最終便が出る時間が迫っていた。

おかしいなあ、本来ならもっと余裕をもってアルペンルートを楽しむはずだったのに。どこで時間が狂ったのか。

計算してみたら、雄山登山に要した時間が想定よりも1時間以上遅かった。普段山に登らない人たちなので、標準コースタイムよりも余裕を持たせるべきだった。これは作戦失敗。しかし、この誤差を吸収するためには朝6時すぎに朝食をとらないといけなかった。ちょっとそれをお願いするには酷なので、今回このタイムスケジュールでちょうど良かったのだと思いたい。

教訓。雄山登山をすると、それだけで半日費やしてしまう。そのあとにあれこれ移動やイベントを入れると、時間に収まりきらずパンクするので要注意。

トロリーバス乗り場

トロリーバス乗り場は、黒部ダムから長いトンネルの中を歩いていった先にある。もっと手前に乗り場を作ればいいのに、と思うが、水脈が邪魔しているとか何か理由があるのかもしれない。このトンネルがやたら長いので、トロリーバス出発時刻ぎりぎりになってからトンネルの中に入ったら、確実に乗り遅れる。時間に余裕をもたないと危険。

トロリーバスのチケット

黒部ダムから扇沢までのチケット。乗車時刻「17:35」が印刷されており、時刻指定。

なぜか立山黒部アルペンルートは「通し券」が存在しない。立山→黒部湖で一枚、黒部ダム→扇沢で一枚の合計二枚になる。経営母体が違うからだろう。立山から黒部湖までのケーブルカー、ロープウェー、トロリーバスは「立山黒部貫光株式会社」で、黒部ダムから扇沢までのトロリーバスは「関西電力」。

トロリーバス

トロリーバスに乗り込む。灰色の車体は重たい印象を与え、まるで装甲車のようだ。

空きになっているトロリーバス乗り場

乗り場には最大8両のトロリーバスが並べるようになっているが、この日の最終便は6号車までだった。混雑状況に応じて車両の数を増やしたり減らしたりできるらしい。

トンネル移動中

バスによる移動中、車内アナウンスで「高熱隧道」の逸話が紹介され、破砕帯の説明もあった。

アナウンスが流れる→おかでんがその話をかみ砕いてFishに説明する→Fishが家族に中国語で説明する

とバケツリレーをやったのだが、途中で追いつかなくなってしまい失敗。やはり同時通訳は難しい。

トンネルを過ぎて地上に出る

バスは扇沢駅手前で地上に出て走る。バスなんだか鉄道なんだか、ますますよくわからない乗り物であることを再認識し、少し混乱する。

トロリーバスの架線

トロリーバスを降り、架線を眺める。路面電車の架線みたいになっているのが特徴的。これを見ればなるほどトロリーバスだ。

もしハンドルをぐいっと明後日の方向に切って暴走させたらどうなるんだろう。パンタグラフと架線が離れた瞬間に電気供給がストップされるので車も停止するのだろうか。

アルペンルート最後の売店、だそうだ

「おつかれさまでした。アルペンルート『最後の売店』・お立ち寄りください。」

だって。ああ、立山黒部アルペンルートはこれにて終わりか。

最後の売店

台湾勢3名をお土産物屋に残し、おかでんは回送された車を受け取りにでかけた。

扇沢の駐車場

扇沢の駐車場を見下ろす。段々畑のような形で駐車場が広がっている。これだけでも結構なキャパシティだが、昼時にはここがいっぱいになり、相当離れたところに車を停めないといけないらしい。

この駐車場の一角にマイカー回送業者が陣取っており、そこで車を受け取り。立山から自走でここまで運ばれてきたので、ガソリンがずいぶんと減っている。どこかで給油しなきゃ。

薬師の湯

扇沢から車を発進させてしばらくすると、雨が降ってきはじめた。なんというナイスタイミング。われわれの本日の行程を邪魔せず、車に乗り込んでからの雨とは。

雨の中、われわれは大町温泉郷の日帰り入浴施設、「薬師の湯」へ。ここで1時間ほど入浴。

その後、「日本では、風呂上りに瓶の牛乳をぐいっと飲むという文化がある」ということで、全員、牛乳およびコーヒー牛乳で乾杯。

「どうだ、旨いだろう?」
「おいしいねえ」

風呂上り牛乳文化はどこの国でも通用するらしい。

ワイパーが意味をなさないくらいの豪雨

ただ、雨はどんどん酷くなってきていた。

再び車上の人となり、高速道路のインターチェンジを目指している間も雨脚は強まる一方。しまいにはワイパーが追い付かなくなり、前がほとんど見えなくなってしまった。

まるで「いままでガマンしてやってたんだ、ここらで一発大雨降らせろ!」と言っているかのようだ。

お好み焼き屋に入る

豊科インターチェンジに入る手前、お好み焼き屋と食堂(まいどおおきに食堂)を発見。ここらで夕食でも、と思っていたわれわれにとって渡りに船。

おかでんはFishに

「食堂の方がいいんじゃないか?好きなものをビュッフェ形式で選べるし、玉子焼きとか和風なものがあるから、喜ばれるんじゃないか」

と水を向けてみたが、Fishは「お好み焼きがいい!」という。はて、台湾にはお好み焼きみたいなものはないのだろうか?お好み焼きは自分で焼く楽しみがあるし、これはこれでよい選択。

もんじゃ
何かの焼き物
鍋

もんじゃ2品にお好み焼き、その他何品か頼む。うっかりして頼みすぎてしまった。なんで煮込みうどんなんて頼んじゃったんだろう。胃袋のキャパシティを前提とした注文ではなく、「せっかくだからアレも食べてもらいたい、コレも食べさせたい」ということで選んでしまっていた。

もんじゃ
台湾人作のお好み焼き

Fish妹にもんじゃの入った器を渡し、「試してみて」と言ったら、最初はおっかなびっくりやっていたのがだんだん大胆な手さばきに。上手にもんじゃをこしらえた。それを見たFish母も「私もやる」ともんじゃを手にし、同じようにちゃんとしたもんじゃ焼きを作った。・・・まあ、もんじゃって誰が作ってもそんなに失敗にはならない食べ物なので、安心して初心者の人にコテを渡すことができる。

そのあとFish妹はお好み焼き制作にも取り組み、最後はソース、マヨネーズ、青のりに鰹節まできれいにトッピングしていた。

お好み焼きの前でポーズを決めて記念撮影するFish妹。

姉のFishに「これからターンするからね、ちゃんと撮影してよ」と依頼し、お好み焼きをターンする瞬間に写真撮影させていた。

水没する諏訪地方

食後、そのまま高速に乗って退却・・・のつもりだったが、なんと諏訪界隈が大雨により通行止めとの警告あり。つい一か月前にも諏訪のあたりは水没したと聞いていたが、悪夢再来。

あわてて国道20号を走ったが、ここも分断されており大渋滞。裏道に逃げたが、誰もが考えることは一緒で、裏道の裏道まですべて渋滞。

時間の経過とともに通行止めの範囲が広がっていき、行き場が狭まってくる。

写真は、裏道を走っている際に通行止めに行き当たったときのもの。道路脇の小川が氾濫してしまっている。

結局諏訪を脱出するまで数時間を要した。ひでぇ目に遭ったが、この大雨と同じ日、台湾では台風のため数百人が亡くなるという大惨事が起きていたのだから各地でたいへんな災害だった。

東京に戻ってきたときは既に時刻が深夜2時に達しており、「せっかくだからレインボーブリッジを通過しよう」とか「東京タワーが見えるところを走ろう」なんてやってもほとんど無駄に終わった。なにせ、深夜なのでライトアップが終わってしまっていたから。深夜3時にようやくFish宅に3人を送り届け、この2泊3日の旅は終わりを告げた。

おかでんの台湾旅行、「おもてなし三昧の日々」と対をなす形で行われた今回の旅行。「おもてなし~」がおかでんが旅行者、それを出迎えるFish母とFish妹という構図だったのに対し、今回はそれが逆転している。さて、今回のあれやこれやでおかでんが台湾に行った際に受けた恩義に報いることはできただろうか?

また今度おかでんが台湾に行く機会があったら、またもやお世話になってしまって貸しを作ってしまう。そしてそれをまた日本で返して、とシーソーゲームになりそうな気配。

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