変わり続ける観光地【倉敷】

12:36
児島制服資料館からほど近くの場所にあるジーンズメーカー、「Betty Smith」にやってきた。

聞いたことがないブランドだけど、それを言い出すと児島のデニムブランドはどれも馴染みがないものばかりだ。

今でこそ「国産デニム!」と華々しくなったけど、それは海外デニムに押されまくった結果、一回りして「実は国産もいいんじゃね?」と気がついた、という逆張りの発想だ。なので、残念ながら今後国産デニムが大復活を遂げて町行くみんなが履いている、ということにはならない。あくまでもニッチな世界で高い評価を受ける存在になるはずだ。

そもそも、児島のデニム産業全体のPRをするためのブランドが未だにふわふわしている。「児島ジーンズ」「倉敷デニム」「岡山デニム」・・・表現が定まっておらず、これだと広く一般に認知が高まらない。

Google検索でひっかかりやすいように、まずは統一ブランドを作って、ブランド横断の公式サイトを作って、そこから情報を発信していくと良いと思う。2018年3月時点ではまだそういう大同団結といった動きは出ていないようだ。

ベティスミス

「ベティスミス」のロゴを初めて見たのだが、赤毛のアフロヘアーのそばかす少女で、かなりクセのあるデザインだった。一度見ると覚えてしまうけど、ジーンズの右ケツのところにあるタグに、このロゴがあったらちょっとイヤかもしれない。

ちなみに「ベティスミス」は、日本初の女性向けジーンズブランドとして誕生したらしい。今では男性向けのものも、もちろん製造している。あと、商品にこの少女のマークがデカデカと表示されていることはないので、その点は大丈夫。

ジーンズミュージアム周辺地図

なぜ数多ある児島ジーンズのブランドの中からここを選んで訪れたのかというと、このベティスミスの工場周辺には「ジーンズミュージアム」があったり、「アウトレット」があるからだ。

工場内

今日は週末ということもあって、縫製工場は電気が消され、職人さんは誰一人いなかった。この写真は窓の外から撮影したもの。

さすがに24時間365日連続操業、なんてことはないか。土日祝日はお休み。

大きなミシンが並んでいるのが見える。

ジーンズミュージアム

こちらの建物は「ジーンズミュージアム1号館」。

ジーンズミュージアム店内

主にオールドアメリカにおけるジーンズの歴史について、紹介してある。まだ児島にジーンズが伝わる前のものだ。

アメリカのゴールドラッシュの際、一番儲けたのは金山で働いた人ではなく、リーバイスだった・・・という逸話がある。そのことからもわかるように、昔は「頑丈な作業着」としてデニムが使われていた。今じゃ、デニム姿でわざわざ作業をする人はあまりいないと思う。重たくて、硬いからだ。あと、水を吸うとさらに重たくなって乾きにくい。作業用ツナギがデニム、というのはあるけれど。

ちなみに、登山の際にもっともしちゃいけない格好が、「デニム」だと僕は思っている。低山にはこの格好の人がゴロゴロいるけれど、高い山に登る際はやめておいた方がいい。もちろん登れないことはないけれど、もっと登山に適したボトムスというのがある。悪天候になったとき、デニム姿だとかなり負担が大きくなる。

ジーンズ作り体験

ジーンズミュージアム1号館の対面に、「ジーンズ作り体験」ができる施設がある。

ジーンズ作り体験素材

ジーンズ作り、といっても生地を自分で染めて、切って、縫って・・・ということを自分でやります、という話ではない。そんなことをやるとなると、一体どれだけ時間がかかるんだ。鉄腕!DASHじゃないんだから。

既にほぼ完成したデニムは準備されている。たくさんの種類とサイズがあるので、その中からお気に入りの一本を選び、その後自分好みのボタンやリベット、ケツに付けるバッヂをセレクトしていく。リベットなんて金色が当たり前だと思っていたけど、ここだと様々な色を選ぶことができる。そのため、ぱっと完成品を見ただけで、「あれっ、普通のデニムじゃないぞ?」ということがわかる。「ええ、国産デニムの自作品なんです」と微笑んだら、さぞや気持ちいいだろう。

とはいってもお高いんでしょう?と思いきや、値段はそこまで高くはない。7,500円から。所要時間は30分から1時間。ボタン選びに悶々としなければ、さっと体験ができる。

実は僕も、よさげなものがあったらやってみようかな、という気持ちはあった。しかし、やらなかった。ちょっと時間が押しているという事情もあったけど、見比べているとお値段が高いデニムの方が明らかに質感が良く、「せっかくならそっちの方がいいなあ・・・」と欲が出たからだ。

男性の場合、プライスには二段階あり、レギュラーが7,500円、セルビッチが13,000円。やっぱりセルビッチは高い。でもいい。いいけど13,000円は即決できなかった。また今度にしよう。

ちなみにここでは、採寸からやるオーダージーンズも受け付けている。その場合、お値段は31,000円から。この場合、縫製する糸から生地のダメージ度合いから、自分の好きなようにセレクトできる。それでこの値段なら、決して高くはないと思う。国産だし。

ジーンズミュージアム2

ジーンズミュージアムの2号館。

もともと工場だった建物を利活用している。

建物入り口

1号館がアメリカのジーンズを紹介していたのに対し、2号館はいよいよ日本のジーンズを紹介している。入り口に若干憎たらしい顔つきをしたベティちゃんが待ち構えている。

藍染めやダメージ用の機械などさまざま

デニム用の洗濯機など、かなりごついものも展示されている。さすが。

しかもその洗濯機の中には石が入っていて、石ごとゴロンゴロンとデニムを洗濯して、それでダメージを自在につけるのだそうだ。

人間をお仕置きとしてこの中に閉じ込めたら、数回転させただけで殺すことができそうだ。かなり危ない機械だ。

年代別ジーンズ

児島のジーンズブランドは、1960年頃から立ち上がっていて、実はまだ半世紀ちょっとの歴史しかない。しかし、その間にいろいろな技術的な進歩があり、その過程を実物とともに学ぶことができるのはとても面白い。

アウトレット店もある

ファクトリーアウトレットが敷地内にある、というのも嬉しい。大きくはないお店だけど、中に入ると規格外となった商品がずらーっと並べて売られている。あまりに品数豊富で、僕は早々に吟味するのを放棄してしまったくらいだ。

でも、「何かよいものがあったら是非買いたい」と思ってここにやってきた人なら、小一時間くらい楽しめそうだ。

(つづく)

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