変わり続ける観光地【倉敷】

びすとろ

夕食は、ホテル近くのレストランを利用した。

新しいお店だ。

店舗看板

「びすとろ 美作☆西粟倉村食堂」という店名。

倉敷といえば、瀬戸内海に面した場所ということもあり、海産物をイメージしやすい。「ままかり」という地域色の強い魚料理が存在するし、瀬戸大橋のたもとにある下津井漁港で水揚げされた魚は、味が良い。

しかし、魚じゃなくて別のものを、と思って山方面に目を向けた時、「ジビエ」というキーワードがきらりと光ったのがこのお店だった。

美作(みまさか)とは、岡山県の東北地方のことで、その中でも西粟倉村ともなれば東北の最果て、という場所になる。兵庫県と鳥取県に面していて、多分ド田舎だ。智頭急行線が走っているとはいえ、僕は一度もこの界隈に足を踏み入れたことがない。びっくりするくらい、縁が無い場所だ。

そんな美作であっても、「ジビエ」と言われたらがぜん興味がわく。この店は「千屋牛」や「美星豚」なるブランド肉も推しているようだけど、今日日この手のご当地牛とか豚は全国に数が多すぎて、今更感が強い。それよりも、「ジビエ」と言われた方ががぜん心に響く。

ジビエはまだまだ消費者側の立場からすれば、発展の可能性がたくさんある食べ物だと思う。もちろん、ハンターの高齢化や減少で供給量が少ないとか、精肉のための施設がないとか、いろいろ問題があるのでそう簡単には流通しないのだろうけど。

わたせせいぞうの絵

店内にはわたせせいぞうの絵が飾ってあった。

おすすめは千屋牛サーロインステーキ

「当店のおすすめ」は岡山県特選の「千屋牛サーロインステーキ」だそうだ。岡山県の山間部で飼育されている牛のブランドだけど、まだ知名度は全国区というほどではなさそうだ。

100グラムで3,800円なので、さすがブランド牛。

最近、ステーキを食べるといえば「いきなり!ステーキ」で300gとか450gというサイズなので、100gだと全然物足りなく感じる。いや、300gのステーキを食べる、という方が感覚としておかしいのだけど。やばい、「100gじゃ足りないので、150gを2つ」とか頼んでしまったら、一万円以上になる。

さすがにそれは選べないのだけど、もう一つのおすすめが「欲ばりプレートスペシャル」で、1,980円。こちらなら手が出せるお値段だ。

中身は、千屋牛メンチカツ、鹿カツレツ、猪ソーセージ。おう、いいじゃないか。ジビエが2種類も入っていて最高だ。むしろこういうのが食べたかったんだ。即決で、これに決定。

メニュー

千屋牛を手軽に食べたければ、「すきやき風牛鍋ごはん」1,580円などがあった。

逆にジビエをステーキで食べたい!と思った時は、猪と鹿のステーキセットがあって、これが1,980円。

猪と鹿はジビエ料理の定番だけど、鳩とか雉といった鳥肉はないのだろうか。ハンティングが難しいので、日本だとあまり出回らないのあろうか。

サラダとスープ

セットメニューなので、サラダとスープが出る。

ソワソワしながら、ジビエの到着を待つ。

ジビエいろいろ

これが「欲ばりプレートスペシャル」。

鹿カツ、猪のソーセージという風変わりな料理が入っていて、楽しい。

味は、「うわあジビエだ!やっぱり普通の肉と違うな!」という驚きや興奮はなかったけども。

やっぱり加工してしまうと、「単に高いお肉」になってしまう。「ジビエだぞー」という主張をバシバシ客に感じさせるためには、シンプルに肉の色形がわかる調理法の方が良さそうだ。

猪肉を使った「ぼたん鍋」なんてまさにそういう食べ物だよな。あの肉の盛り付けを見ただけで、「あっ、豚肉のようで豚肉じゃないぞこれは!」というのがわかる。それでこそ、お高いお値段を払った価値があるというものだ。

鹿のシチュー

一方こちらは、「美作鹿のシチュー」。セットで1,780円。

これもうまいっちゃあうまいんだけど、それはシチューが美味いのであって、鹿肉がうまいかどうかは別だ。

とはいえ、「ジビエを食べた」という事実だけでちょっと嬉しい気持ちになれるので、これはこれで良かったと思う。

以前僕はジビエ料理を食べるオフ会をやったことがあるが、そのときも結構強めの味付けで、元の肉感がわかりにくい物が多かったと記憶している。

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なお、この企画の第二弾でカラスを食べたが、あれはクセが強すぎる食材だった。一生モンの記念になる食事だったけど、もう一度食べたいとは思わない。

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肉の臭みがあったりするし、大自然の中の生き物なので肉質の個体差が大きい。どうしても安定した味でお店が提供しようとすると、味付けを強めにしないといけない。でもそうなると、肉の個性が失われてしまうので難しいものだ。

そこで、猪と豚の良いとこ取りの「イノブタ」ですよ・・・と思ったのだが、イノブタもまた全然流通していない。むしろ、猪よりも食べる機会が少ない。難しいものだな、この手の食材は。

シャーベット

しめのシャーベットで涼やかに。

夜鳴きそば

さて、これで終わりではない。

ドーミーインに泊まる、ということは、もちろんこれを忘れちゃいけない。「夜鳴きそば」。

全国のドーミーインどこでも振る舞われている、夜のわずかな時間だけ無料提供のラーメン。

一体どんなものなのだろう?無料なのだから量は本当に小さいのだろうか、それともしっかり食べられるのだろうか?写真を見るだけではサイズ感まではわからない。

今晩、ぜひその正体を突き止めないと。

夜鳴きそば

ちなみにこれ、おかわりしてもよいんですかね。

多分駄目ですよね。

ダイニング

フロント脇のダイニング。翌朝はここが朝食会場になる。

夜鳴きそば

これが夜鳴きそば。

水が入ったグラスのサイズと比較してもわかるとおり、しっかりした丼に入っている。

味はあっさりめの醤油味で、縮れ麺。

するするっと食べることができて、まさに「お夜食」感覚。これだけを夕食にするというのは物足りないけど、夜食にすると嬉しい量と内容だ。

でも、仕事の関係などでドーミーインに連泊するような人は確実に太るな。夕食を食べて、さらにこの夜鳴きそばを食べる日々になるから。

念願の夜鳴きそばを食べたことだし、今日はもう寝ることにする。

明日は車で下津井漁港、鷲羽山、児島と巡り、岡山空港に戻る予定だ。

(つづく)

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