マグマがおとなしいうちに登れ【浅間山(前掛山)】

13:25
軽井沢行きしなの鉄道の出発時刻までまだ余裕がある。

じっくりとキャベツを吟味していてもよいのだが、そこまで僕はキャベツの違いがわかる男ではない。

どうしようか?と思っていたら、「清野商店」という名前の立ち食い蕎麦屋があった。

お腹は十分満ち足りているんだが、立ち食い蕎麦ならぱぱっと食べられそうだ。食べてみよう。

なんか唐突な場所にあるお店だな、と思ったが、以前は改札内にお店があったそうだ。で、駅の改修時に蕎麦店が廃業してしまったのだけど、その後を継ぐ形で今度は改札外に別経営のお店ができたのだという。

値段は安い。かけそば350円。一番高いメニューが天玉そばで、500円。

営業時間は特殊で、朝7時からやっているかわりに15時に閉店だ。夕ご飯としては使えないお店だ。

せっかくだから、と天ぷらそば450円を購入。

黒いつゆ、そして黒っぽい麺。こういうのをズズズッとすすると、「ああ、いいなあ」と思う。東京に住んでいると、まだ都内のあちこちの駅で立ち食いそば屋は残っている。でも、小綺麗になりすぎたというか、ワイルドさがあんまり感じられず、食指が動かない。「値段が安くない割に、いまいち」という印象が強い。

味がまずくてもいいので、立ち食いそば屋にはワイルドさが欲しい。

駅にこんなポスターが貼ってあった。

バスタ新宿行きのバスが毎日運行していますよ、というものだ。片道3時間。

「チョッと新宿まで!」と書いてあって、「お、おう、片道3時間がチョッとなのか」とびびる。

でも、佐久平まで行って新幹線に乗換えて、という手間とコストを考えれば、バスで行った方が楽ちんではある。電車と比べて身体の自由度に乏しく、僕はあまり好きではないけれど。

だいたい1日4便程度、運行しているようだ。運行会社はJRバス関東。同じJRグループとして、駅構内にバスの広告を掲載することに対して問題は起きないのだろう。あ、そうか、この駅はしなの鉄道が運営しているから大丈夫か。

それにしてもこのポスター、何だ?

「チョッと」というカタカナを使うところが昭和風というか、ネットでいっとき嘲笑の対象となっていた「おじさん構文」だ。引っかかるキャッチコピーだな?と思っていたら、さらにこんな文章も載っていた。

「信州ってナンかイイトコみたい?小諸・佐久へ出かけてみようかナ。」

相当キモい文章だ。これをキモいとわかっていてワザと使っているのだろうか。カタカナをひらがなに直せばキモくなくなるかというとそうではなく、こういう曖昧な文章自体が、時代遅れで相当にすごい。

ひょっとして、相当古いポスターをレトロとして貼り出しているのか?と真剣に疑ったが、ポスターには「バスタ新宿」と行き先が書いてある。ということは、2016年以降に作られたポスターであり、まだ6年しか経っていない。

久々にすごいものを見た。背中がゾクゾクするレベルのものを見た。

13:32
軽井沢行きの電車に乗るため、改札の中に入る。

軽井沢行き。小諸始発。

ワンマンにしては長い編成。

・・・と思ったら、あれ、これって115系だ。僕が生まれ育った岡山・広島ではお馴染みの国鉄車両だ。

広島駅界隈は、「広島シティネットワーク」と称し、10分間隔で山陽本線が走るし、快速の運行もあった。その割には国鉄車両の115系がしぶとく走り続けていたので、「國鐵廣嶋」などと旧字を使って自虐するネタがネットであったくらいだ(主に2ちゃんねるの口が悪い連中)。

しかも、昔はツートンカラーだったのに、塗装費用の削減のためか、真っ黄色に外装を塗ったため、これまた口が悪いネット民は「末期色」と揶揄したものだ。

今の広島は227系RedWingという、超イケてるステンレス車両の電車が疾走している。広島は、駅ビル・駅周辺の魔改造もすごいし、電車もすごい。

で、しなの鉄道の115系だが、もちろん末期色ではなくずいぶんスタイリッシュでキレイな外装だ。これが國鐵時代から動いているものだとは到底思えないほどで、むしろかっこいい。塗装は大事だな。

ホーム左が軽井沢行き。ホーム右が長野行き。両方とも始発。

長野行きは新しいステンレス車両だった。SR1系、というらしいが、詳しくは知らない。「おっ、行き先表示がLEDだし、フルカラーだぞ!」とびっくりした。

14:04
わずか30分弱で小諸から軽井沢に到着。終点。

線路は行き止まりになっていて、風情がある。どん詰まりの櫛形ホームって僕は大好きだ。

ホームには鐘がある。

改札を出たところ。

そうか、当たり前だけどここは新幹線と、「私鉄」のしなの鉄道の駅なんだな。JR在来線の駅ではないのだった。

おみやげ物屋さんがちょこっとあるので、軽く見る。

14:07
軽井沢駅の北口側を見る。

とはいっても、眼の前のロータリーには木が生えていて、視界が悪い。大して見るものはない。

さあて、どうしようかな。

どうしようかな、と思っているのは、まだ登山後の余韻を楽しみたいな、という気持ちがあるからだ。かといって、軽井沢を徒歩で歩き回るほどの体力はない。そもそも足が痛い。

とっとと新幹線で帰るつもりだったのだが、電光掲示板を見ると次の東京行き新幹線は15時。えっ、まだ50分以上あるの?

こんなに便数が少ないとは思わなかった。だったら新幹線で帰るのも悔しいよねえ。速攻帰宅できるわけでもないし。

新幹線の料金とか見ている時点で、既に自分の中で答えがでているに等しい。

「高い。これだったら新幹線に乗るのをやめよう」という理由付けが欲しいのだろう、きっと。

軽井沢駅の南側には、ご存知西武グループのリゾート施設とアウトレットが広がっている。

アウトレットに行くのも面倒なんだよな。僕、そこまで物欲はないので、靴だとか服だとか、アウトレットに興味がないのよね。

それにしても巨大なアウトレットだ。

冬にこの地を訪れて、同行していた人と険悪な雰囲気になったことがある。とにかくてくてく歩くし、寒いし。大して興味のない、人の買い物に付き合うというのはただでさえいらつくのに、加えて過酷な環境だからだ。

もしここを訪れるなら、「買いたいものが明確」であったり「同行者の趣味嗜好・体力が近似」でないとよくない展開になる場合がある。特に寒いときは、マジで機嫌が悪くなる。

で、僕はというとアウトレットに立ち寄る気にはならず、駅北口のエスカレーターを下りていく。

なぜ軽井沢駅北口なのか、というと、ここからバスに乗って群馬県の横川まで行こう、という決心をしたからだ。

峠の釜めしでお馴染みの横川。長野・北陸新幹線が開業するまでは信越本線の交通の要衝だったけど、今は静かな山あいの駅だ。盲腸線の行き止まりで、利用客も少ない。

その横川までバスで行き、信越本線の始発に乗って高崎まで行こう、というわけだ。

高崎まで行っちゃったら、今更新幹線に乗るのはもったいない。だから、たぶんそのまま湘南新宿ラインか上野東京ラインで東京方面を目指すことになるのだろう。

それにしても、軽井沢駅北口にバス乗り場ってあったっけ?どこだ?と思ったら、駅正面からやや碓氷峠寄りのところにあった。あ、こんなところに。

まるで空港のバス乗り場の雰囲気。

ここの5番乗り場から横川駅行きバスが出発する。おっと、これもJRバス関東だ。

碓氷峠で分断されている鉄道を補完するバスではあるが、便数は少ない。昼間の時間帯で1時間~2時間に1本の割合。

それでも採算に乗っているかどうか、随分怪しい客数。

(つづく)

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 小諸は、2024年11月まで、足かけ3年、年3~4回仕事で通っていた地なのですが、そば七は知りませんでした。行っておくべきだったと激しく後悔。
    自家焙煎珈琲こもろは利用したことがありますが、昨年行ったら閉店していてびっくりしました。
    こうやって記事に残してもらえたお蔭で、記憶や思い出も再構築されてありがたいです!

  • ゆうどんさん>
    おお、自家焙煎珈琲こもろの仲間がいた!
    このお店、2023年に閉店して新潟にある1号店に統合したそうです。意外でした。

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