激辛グルメ駅伝2017

冷菜

老虎菜のあまりの辛さに、完全に全員肩で息をする状態になってしまった。本当に辛い料理を食べた人というのは、むしろテンションが下がるものだ。バラエティ番組の芸能人のような、大げさなアクションはしない。あれは、完全にやらせだ。

考えてみるといい。自分が、思いっきり足の小指をタンスの角でぶつけた時のことを。あまりの痛さに、しばらくの間声がでないだろうし、うずくまっているしかない。激辛も、それと同じだ。強烈な傷みを感じたときは、人間は身を守るので精一杯だ。「うわー」とか「きゃー」とか言ってる暇はない。

何が言いたいのかというと、大の大人三人が黙り込んでしまった、ということだ。「うーむ」なんて言いながら、チビチビ手元のドリンクを飲んだり、汗を拭ったり。

傍から見ると、到底「楽しそうな会食」シーンではない。実際は、かなり楽しいのに。

身を震わせながら辛さをやり過ごそうとする一同の前に、次の料理がやってきた。「牛ハチノスの怪味ソース和え」800円。

良かった、調子に乗って、「今日も激辛縛りで料理を注文しよう!」なんて最初に取り決めていなくて。もしそうしていたら、遭難していた。

これは辛くない。

「これは怪しい、怪しすぎる」

などと適当な事をいいつつ食べる。「怪味ソース」というのは僕にとって多分初めての遭遇だ。複雑な味、という意味で、芝麻醤や豆板醤がブレンドされた複合調味料らしい。

辛くないのだけど、グミグミするハチノスをモフモフと噛んでいたら、また辛さが蘇ってきた。いかんな、当分の間口のあたりに刺激を与えたくない。まだ老虎菜の余韻が残っている。

シュウマイ

これなら大丈夫、シュウマイ。食感もやらわかだし、辛いものではないので安心してお召し上がりください。

って、イテー!

蒸したてのアッツアツが届けられたので、それを口に入れたら、また辛さがぶり返した。厳しい!これは厳しい!

何を食べても痛い目に遭わされている。「これぞ激辛グルメ駅伝のフィナーレに相応しい会!」と強がってみるが、最後の最後で苦行になるとは思ってもいなかった。

これが汁なし火鍋

そんな事をやっているうちに、何やら目がシバシバしてきた。チクチクしてきて、無意識のうちに目をパチパチをしてしまう。喉や鼻の粘膜も、なんとなくイガイガする。

どうやら厨房からこの刺激はやってきているらしい。気のせいではない。中には咳き込んでいるお客さんもいるし、店員さんでさえ顔をしかめている有様だ。

「火鍋、辛いのを作っているところですよ」

のっちょさんが教えてくれる。鍋、といっても「汁なし」なので、鍋を使った炒め物のような料理だ。なので、調理は厨房で行われる。それは周囲のお客さんが頼んだ火鍋を見ていればわかったのだが、その調理過程で強烈な辛さ成分が店内に充満してしまうらしい。

「換気扇があるはずなのに、なんでこの辛さだけは店内を巡るんだ?」

不思議だ。換気が不十分で、店内が臭いとか煙いということはまったくない。ちゃんと換気は行われているはずだ。でも、空気中に飛散した辛味成分だけは、通常の匂いや煙とは違う広がり方をするらしい。

「隠れ家レストラン」とはいえ、1フロアぶち抜きの店内は結構広い。その店内じゅうが辛い、ってどういうことだ?

こりゃあ凄いのが来そうだ、と身構えていたら、店員さんが「そろそろ鍋を用意しますね」と告げに来た。あ、我々の鍋はこれからなのか。

しばらくすると、やはり先ほど同様の辛い空気が感じられた。軽薄な咳をケホケホしてしまう。ああ、これって昔、「スパイシーナイツオフ」で新橋の「味覚」を訪れたときと一緒だ、と思い出した。その時は石鍋麻婆豆腐を頼んだのだけど、石鍋から立ち上る煙のせいで我々も店員さんも咳き込みまくったっけ。

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我々は「一番辛いの!」って注文してしまったけど、その結果店内の皆様にご迷惑をおかけしてしまった。申し訳ない。

で、届けられたのが写真のとおり。うわー。

見たことがない料理だ。なんだこれ?

早く言えば、鍋に入った野菜炒めだ。20種類近くの野菜がだーっとたくさん入っていて、とても色とりどりだ。しかし、なにやら茶色い、というか赤黒いものがたくさんある。

酢豚の豚肉?と思ってしまうが、恐るべし、これ全て唐辛子。見たことあるような唐辛子から、見たことないような唐辛子まで、一体何種類入っているのやら。ドライトマトのような大きなもの、島とうがらし風の小さなものまでたくさん。

大量の唐辛子

店員さんは、鍋と一緒に小さなボウルも持ってきてくれた。

フィンガーボール?水を入れておいて、手を洗うの?といぶかしんだが、店員さんいわく「唐辛子をここに入れろ」という。えー、唐辛子は食べないの?もったいないじゃん。鍋の具で、全体の1/3から1/4くらいはありそうな食材だぞ?

「我々は激辛鍋を食べに来たのだ!唐辛子も貴重な具だ!」

と最初は唐辛子ごと食べる。面白いもので、老虎菜の鋭い辛さを知ってしまうと、この赤唐辛子なんて風味豊かであまり辛く感じない。むしろ、野菜の甘みさえ感じるくらいだ。

「うん、うまいじゃないか」

なんて言いながら食べ進める。

「ドライトマトみたいな大きな唐辛子は辛くないよ?全然へーきへーき」

なんて余裕だ。

しかし、そうはいっても相手は唐辛子だ。ピーマンやシシトウを食べているわけじゃないので、だんだんと辛さが蓄積してきた。ただでさえ、老虎菜の余韻が残っているので、ピリピリ痛む唇や口の中をいたわりつつの食事だ。唐辛子を食べているうちに、さすがにキツくなってきた。

これ以上唐辛子は無理、と判断し、全会一致で「唐辛子は除去しよう」ということになった。そうしないと、唐辛子はおろか、鍋の具を全部食べきるのができなさそうだし。

うず高く積み上がった唐辛子。まだまだこれでも全部じゃない。

汁なし火鍋

はっきり言って、この汁なし火鍋はとても美味い。これだけたくさんの食材、しかも野菜を中心としたものががごちゃっと混ざっている料理なんてめったに食べられない。辛いからこそ、野菜本来の甘みや食感が大事に思えてきて、愛おしい。これだけの食材を投入するからには、2,200円の値段というのは決して高くないと思う。もちろん、シェアするのが前提だけど。

シェアという点では、3人でもちょっと多いかもしれない。4人前くらいと思えばいい。とはいえ、僕らはあまりの辛さに箸がストップしてしまった人たちなので、あまり基準にはならないけど。辛さが控えめだったら、どんどん箸が進んで、これくらいの量なら3人でも2人でもペロリかもしれない。

「そういえば鍋のシメがあるから、全部具は食べないほうが良いのかな・・・」

いったん、食べる手をストップすることにした。その存在がよくわからない〆のために、具を残しておくことにした。「鶏ガラあっさりスープ」なんていう単なるスープが〆としてメニューに載っているのだから、ひょっとしたらスープを鍋に注いで、具と混ぜて食べたりするのだろうか?

スープ

全員よくわからないまま待っていたら、〆の3品が卓上に届いた。

手前から時計回りに、「海老麺ミニラーメン」「スープチャーハン」「鶏ガラあっさりスープ」だった。小さなお椀に入っている。なるほど、これで350円なら納得だ。

どれも「鶏ガラあっさりスープ」をベースにしているようだ。そこに麺が入っていたり、チャーハンが入っていたり。

「おい、ということは単なるスープが同じ値段って、お得じゃないね」

という声が上がるが、まあ、スープで〆たいという人もいるだろうし、こういうメニュー構成もありだろう。

どうやら、鍋の具を少し残して、それと混ぜる・・・という発想のものではないらしい。「鍋の〆にうどん」という日本文化とは違う。

「鍋の具は関係なかったですね、じゃあ普通に食べよう」

あらためて鍋の具をさらって食べ、それとは別にこの〆料理たちを食べた。一応、1/3等分にしてみんなそれぞれの料理を食べたが、あんまり分ける意味はなかったと思う。どれも同じ味だ。

亀ゼリー

最後、亀ゼリーをデザートとして食べた。香港とかの亀ゼリーのような、「容赦なく苦い」ということはなく、既に甘みがついたものだった。これで健康になれただろうか?デトックスとかなんとか。(デトックスなんて言葉、全然信用していないけど)

というわけで、激辛グルメ駅伝、3週+打ち上げで合計4週に渡って行われた。いろんな人が入れ替わり立ち替わり参加し、固定メンバー+スペシャルメンバーでとても楽しかった。やはり、激辛ってとても場を和ませるスパイスだ。直接五感に訴える辛さは、「インスタ映えする料理」なんかと違って、逼迫感がある。その分、テンションがあがる。野生の感覚をちょっとだけ呼び覚まされるというか。そういうのが、いい。日常生活で忘れがちな感覚だからだ。

来年もまた、同じようなフォーマットで開催しようと思う。

激辛好きのみなさん、また来年お会いしましょう。また、それとは別に、このサイトの定番オフ会シリーズである「スパイシーナイツ」も近日開催しましょう。