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ロープウェーにブンブン手を振って、ひとまず満足した。山を下ろう。これ以上先に行ったら、登山になってしまう。
ロープウェー乗り場からやや下ったところに、広い駐車場がある。このあたりを「大丸園地」と呼ぶらしい。ちょっと脇に入ったところに、大丸温泉という一軒宿があるからだ。
その一軒宿の門前町みたいな感じで、ドライブインというかレストハウスというか、そういう建物が何軒も並ぶ。ただし、廃業して久しいと思われる建物も中には含まれている。
大丸温泉、と書いて「おおまる温泉」と読む。
毎回、どっちだったかわからなくなるんだよな。「だいまる、と思わせてじつはおおまるなんだよな。・・・と思わせて、やっぱりだいまるなんだったっけ?」と裏の裏をかく発想をしてしまい、混乱する。
このエリアには、「おおまる温泉」があるほかに、「弁天温泉」という温泉もある。そして、休暇村那須もある。スキー場もある。そんなわけで、山のかなり高い場所なんだけど、建物が密集しているわけだ。
レトロ感ある、建物。日帰り温泉とレストランらしい。
これはさすがに営業していないだろう・・・と思ったが、うかつな事は書かないほうがいい、実際には営業をしているかもしれないし。
使われているフォントで、時代を感じることができる。ざっくりと言って、昭和だ。なにがどう昭和フォントなのか、具体的には説明ができないのだが、まあ、今じゃ使わないフォントってことだ。
ということは、平成の今使っているフォントは、10年後20年後だと「クソダサいフォント」認定されるのだろうか。「MSPゴシック!うひょう、時代を感じますねえ」とか。
どうでもいいけど、WindowsOSを使っていると「游ゴシック」というのに出くわすけど、あれってイマイチ気に入らないのは僕の個人的感想だろうか?
こういう温泉地をあてもなくウロウロし、油断しきっているこの時間帯の建物に侵入してロビーあたりでくつろいでみるとか、やってみたい気分だった。しかし、休暇村も弁天温泉も大丸温泉も、通り沿いにあるわけではなくちょっとだけ奥まったところにある。日帰り入浴するわけでもない部外者がどうだどうだと侵入するにはちょっと申し訳ないので、やめておいた。
このあたりの温泉宿に泊まってみたい、という気持ちはある。あるのだけど、未だに果たせていない。那須といえば、湯本止まりだ。それ以上標高を稼げていない。というのも、このあたりの宿は、湯本界隈よりも宿泊料金が高くなるからだ。
下界から物資を運び上げなくちゃいけないし、従業員だってここまで上がってきてもらわないといけない。そりゃあ、コスト高になる。
そんなわけで、高級宿というわけではないけれど、若干お高いのがこのエリア。いずれ泊まってみたい場所ではある。那須湯本以上になにもない場所なので、滞在中は本当にひたすらグダグダするしかないけれど。
そんな大丸温泉の近くに、「駒止の滝」という場所があるので行ってみることにした。
「駐車場から徒歩30分」などと言われたら行きたくないけど、歩いてすぐのところに滝があるなら、見ない方がどうかしてる。
駒止の滝の近くにある駐車場に駐車する。
すると、「日帰り入浴やってます」の看板が出ていた。ああそうだ、この先しばらく進んだところに、「北温泉」という一軒宿があるんだっけ。
北温泉に通じる道。一般車両は通行禁止だ。
ここからは、宿の姿はいっさい見えなかった。冬の間は、ここを歩いて行くのはちょっと大変そうだ。
大丸温泉はともかく、北温泉には本気で泊まってみたいと思っている。山奥の一軒宿でまさに秘湯感があるし、なによりも浴室にはでかい天狗のお面が掲げられている。その圧倒的ビジュアルを写真で見ると、「こいつァ一度行かないと!」という気持ちにさせられる。
建物は古い。安政時代のもの、明治のもの、昭和のものの3つに分かれている。歴史がある建物の方が「古い」ということでお値段が安くなっている。むしろ僕なんて、積極的に安政時代の部屋を使いたい。安くて味のある部屋が使えるのだから、最高じゃないか。
安政時代の部屋の場合、一泊二食付で7,700円。明治で8,700円、昭和で9,700円。どれにしても、安い。山奥にしてはとんでもなく良心的だと思う。おそらく、食事は質素なのだと思うけど、こんなところで贅沢な宴会料理が食べたいわけじゃない。
いずれ泊まりたい、と思いつつ未だ果たせていないのは、ここまで公共交通機関でやってくるのはちょっと大変だからだ。ロープウェー乗り場行きのバスは、便数が多くない。
駒止の滝の、観瀑台。
鳥人間コンテストの出発地点みたいに、立派な建造物だった。わざわざ、滝を見る専用にこんなのを作ったのだな。
観瀑台から見た、駒止の滝。ちょっと距離はある。迫力という点ではすごくはないのだけど、やっぱり滝を見るとお得感を感じるよな。
カメラをズームにして、なんとか若干迫力を出してみた。
うん、満足。青い水面がとても美しい。
(つづく)
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