ふるさと納税の使い道を考えていた。
巷じゃ、やれカニを貰っただの、ブランド牛肉を貰っただのと盛り上がっている。確かに僕も、いろいろ試してみたことがある。返礼品に釣られて寄付を申し込んだというのは事実だけど、聞いたこともない自治体に対して「それって、どこにあるの?」と地図やWikipediaで調べるきっかけができた。
返礼品を使った料理を食卓に並べ、楽しむというのは良いひとときだ。しかし、「これで本当に良いのだろうか?」という気持ちがしているのも事実だ。地産品を頂いているということで、地域経済の活性化には少しだけ役立っているだろう。でも、僕はその土地のことを殆ど知らない。そして、寄付されたお金がどう活用されているのかも、よくわからない。ぶっちゃけ、興味すらない。それって、どうなんだろう?
そんなわけで、実際に現地に行って、お金を直接使うというスタイルのふるさと納税に関心が移ってきている。2015年は、群馬県草津町に寄付を行い、その返礼品をもとに草津温泉に一泊旅行をしてきた。

そして2016年。今度は栃木県那須町に寄付をしてみた。
どれくらいの金額を寄付したかは忘れたけど、町が指定する宿に一泊二食付きで泊まれる、というものだった。
那須町といえば、那須湯本温泉があることで有名だ。僕も絶大の信頼を寄せており、精神的に参っていたときは真っ先に療養先として選んだくらいの場所だ。

前回療養時は、「できるだけ身体の自由と選択肢を自分に与えないために」という理由で、公共交通機関を使って現地入りした。しかし今回は、レンタカーを使って宿泊の前後は自由に動き回ってみることにした。連れもいることだし、温泉宿の往復だけで終わり、というわけにはいかない。
那須高原にはポツポツといろんな施設が点在している。そういうところを、だらっと回ってみる旅にしよう。
なお今回の旅行記は、「おおるり」や「日進館」といった面白い宿の話などは一切ない。


淡々とした旅行記なので、その点はあらかじめご了承願いたい。できるだけ完結に話を進めるので、お付き合いいただければ幸いだ。
2016年04月23日(土) 1日目

10:37
まず最初に訪れたのは、「那須 森のビール園」という施設だった。こんなのがあるとは、知らなかった。(この後、2019年11月に閉園)
場所は、那須高原のメイン道路ともいえる那須街道沿い。オンシーズンになると、渋滞がひどい場所だ。
このあたりは街道の左右に観光施設があるのだけど、幸か不幸か信号が全然ない。そのため、右折して施設に入ろうとする車が前方にいると、そのせいで渋滞が起きるのだった。いっそのこと、那須街道の一部エリアは右折禁止というルールを作るか、右折専用レーンを主要施設前の道路に作るといった工夫が欲しいのだけど、できていない。那須と渋滞は切っても切り離せない課題だ。
それはともかく、なんでこの施設の存在を知らなかったのか、我ながら不思議だ。たぶん、街道を挟んで反対側に、とても目立つ「お菓子の城」という施設があるからだろう。そっちに目が行ってしまったのだと思われる。
まあ、どっちにせよ僕一人ならば、僕はビールを飲まないので「森のビール園」だなんて全く用はないのだけれど。
建物には、黄色い星印が掲げられていた。あ、サッポロの施設なんだな。

予備知識なしで訪れたので、建物の豪勢さにびびる。
さすが那須、土地の使い方が贅沢だぜ。中に入ると、広い吹き抜けが来客をお出迎え。
家を出発したのが朝の8時、そしてここに到着したのが10時半。さすがに10時半で、ビールの施設ともなると土曜日とはいえ空いているようだ。しかも4月ということで、ちょっとおとなしいシーズンっぽい。
これが観光シーズンの昼間にもなると、どやどやと団体のおっちゃんおばちゃんがやってきて、ビールを飲んでご機嫌になったりしているのだろう。むしろ空いている時に来ることができて、良かった。

お酒をやめて早3年。これまで一度もお酒を飲みたいと思ったことはない。もう過去のことで、済んだことだと割り切っているからだ。
しかし、「飲み放題」という言葉を聞くとやっぱりテンションが上がるよな。おお、すげえ、と。自分が飲みたいわけじゃないけど、ワクワクはする。90分飲み放題で、この施設で作られているビールが楽しめるらしい。
悲しいのは、「グループ皆様でのご参加をお願いします(未成年・ドライバー・妊婦様を除く)」と書いてあることだ。飲み放題の場合、団体全員が頼まないといけない、というお店は珍しくない。それはいい。そして、ドライバーとかが飲んではいけないのも当たり前のことだ。じゃあなんだ、未成年・ドライバー・妊婦様はグループから離れて別テーブルで飲食していなさい、ということなのだろうか。
・・・さすがにそれはないよな。ドライバーです、という申告をすれば、お酒を飲まなくても飲み放題グループの中にいても大丈夫だよな?
日本語って、ムツカシイ。

ジンギスカン食べ放題は2,580円。アルコール飲み放題を加えるとプラス2,000円。まあ、ざっと4,580円というわけだ。
サッポロビール園のイメージを引きずっているのか、こういう施設でビールを飲むよ!という時にはジンギスカンが登場する機会が多い気がする。先入観というか、そういうものだと思っている節が、客にはある。

レストランとショップの他に、ビール醸造の解説をしているエリアもあったりする。

「あなたの夢のビールを描いてください」と書かれた黒板があった。そこには、大人も子供も、さまざまなアイディアを短冊にしたためて貼り付けていた。
「10kg痩せるビール」
なんてのがある。無理だろ、それは。
それはともかく、「食べるビール」なんてのは冗談としか思えないけど、実は斬新なアイディアなのかもしれない、と思って見たりする。ビール酵母のサプリ・・・っていう意味じゃないよな、さすがに。
「あったかいビール」というアイディアも、そんなの飲みたくねぇ!と思ってしまう。でも、こういうムチャクチャなところに、何かすごいビジネスの種が埋まっているのかもしれん。
ただ、「国家試験合格」と書いてあるおまえはダメだ、神社の絵馬と勘違いをしているだろう?

ちゃんとビールのタンクが並んでいる。ここでまさにビールを醸しているのだな。
ビール工場は、缶や瓶に詰めている最終工程部分を見るのは楽しい。でも、それ以外は動きがないので、大して面白くはないというのが惜しいところだ。

ここでは5種類のビールが飲めるらしい。「エーデルピルス」「白穂乃香」というのは聞いたことがあるが、上の3種類「陽ざしのピルスナー」「月夜のデュンケル」「流れる雲のヴァイツェン」は初めて聞いた。それもそのはず、「限定生産」と書かれている。この施設限定らしい。
それにしても、こういう名前を最近はつけるんだな。小洒落た雰囲気で。

それはともかく、ここのビールの値段にはびびる。ミニグラスとはいえ、「200円」という値付けだった。安い!
ミニグラスのサイズ感がよくわからない。さすがに酒税とか諸々の都合で、原価割れみたいな値段で売るわけにはいかないだろう。だから、本当にミニだとは思うのだけど、それでも200円は安い。5種類全部飲んだって、1,000円だ。
ここに来た人は、是非5種類全部飲んでみて欲しい。
(つづく)
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