群馬県の端、草津温泉よりもさらに奥にある万座温泉。僕が大好きな温泉地の一つだ。
嬬恋方面から向かう場合、有料道路を通らなければいけないのは気に入らないが、それを差し引いても素晴らしい温泉保養所だ。周りが山に囲まれ、湯けむりが上がっている景色は、非日常そのものだ。
単に「山あいの温泉場」なら、それほどワクワクしない。でも、万座温泉の場合、雪深い高地にあるために元々木々の密度が薄い。そして、温泉成分によってはげ山になっているところも多い。
そして、周囲に満ちあふれる、硫化水素の臭い!
これぞ温泉、という感じがして、とてもいい。
旅館やホテルは何軒もあるのだけど、温泉街と呼べる施設や商店街は一切存在しない。一軒一軒が独立した存在だ。
温泉街は旅情を誘うものだけど、万座温泉のように全くないのも潔く、心地よいものだ。
日帰り温泉や単なるドライブの通過点としては何度もこの地を訪れたことがあるが、泊まったのは過去に二度だ。その二泊とも、このサイトで記事になっている。
いずれも最高の一晩を過ごせた。
今回、また万座温泉に行こうと決めたのは、急なことだった。
万座温泉の代表格とも言える温泉として、「万座温泉 日進館」がある。「ワカサギ釣り」の時にも、立ち寄ったことがある場所だ。館内に、多種多様な湯船や源泉があり、日帰り入浴だけでも楽しめる。(当時は「万座温泉ホテル」と名乗っていたが、のちに改名している)
アワレみ隊のしぶちょおが、ひびさんと泊まって「とても良かった」と言っていたので、僕もいつか泊まろうと狙っていた宿だ。
なぜ「狙っていた」という表現を使うのかというと、この宿はかなりダイナミックに値段が動くからだ。安い時は、本当に安い。
日進館はとても広大な旅館だが、そのうちの一部が崖の斜面にへばりつく形になっている。そのエリアの建物を「湯けむり館」と呼ぶのだけど、ここが特に安くなる。ただし、フロントから遠いうえにアップダウンが激しいので、高齢者向けではないエリアだ。
今回、たまたま日進館のサイトを見たら、かなり安く泊まることができることが判明した。なので、お盆時期ではあったけど、急遽一泊することにした。確か、1泊2食で9,000円以下だったような気がするけど、正確な金額は覚えていない。
夏休みシーズンなんだから、値段が高い筈なのに!?と驚かされる。でも、万座温泉というのはスキー場がある場所だ。むしろ、夏よりも冬のほうがメインシーズンなのだろう。どういうからくりでお値段が安いのかは不明だけど、安いならば大歓迎だ。ちょっくら、行ってくるか!
なんだか最近、温泉泊をする際にあちこちの観光地への立ち寄りが増えている。
しかし、あくまでも、那須湯本-四万温泉-大沢温泉の流れを汲む、「おかでんの温泉療養」シリーズの流れを汲んでいるのが僕の温泉旅行だ。
心身の疲れを取る。特に、都会生活でカリカリした気持ちをほぐす。それが目的なので、温泉地への往復中はできるだけ観光をしたくはない。
したくはない・・・のだがッ・・・!ついつい立ち寄ってしまうのが人間の性(さが)なのだろう。それだけ、那須湯本の頃と比べると精神に余裕ができたともいえる。観光できるのは良いことだ、とポジティブに捉えたい。
とはいえ、観光するとしても「温泉地への途中、たまたま通りすがりの場所に観光するところがあったのです」という体(てい)にしておきたい。
2016年08月10日(水) 1日目
本日最初に立ち寄ったのは、水沢観音があるエリア。ご存じ、日本三大うどんの一つと言われる「水沢うどん」が有名な場所だ。
もちろん、お昼ご飯を食べに立ち寄った。
ほんの1カ月前、万座温泉からほど近い新鹿沢温泉に宿泊した。
そのとき、前橋の「パンプキン」で強烈なスパゲティとサラダを食べたのだが、あれをまたもう一度、というにはちょっと期間が短すぎる。何度でも訪れていろいろなメニューを試したいお店だけど、もうちょっと時間が欲しい。
そんなわけで、今回はすごーくオーソドックスに、水沢うどんですよもう。
とはいっても、折角なので「ん?」と思えるものを頼みたい。そうしたら、連れが「はちみつうどん、というのがあります」と調べてくれた。なんだそれ!?甘いのか?うまいのか?
面白そうなので、行ってみることにした。お店の名前を、「山一屋」という。
お店の看板には「はちみつうどん」であることが大きく書かれているけど、メニューは至って普通。
水沢うどんは、製法が独特で手間がかかるものなので、どのお店でもお値段は高め。丸亀製麺とかはなまるうどんに飼い慣らされている都会の豚ども(自分含む)にとっては、非常に高額に見える。これに、舞茸の天ぷらをつけたら、かなり良いお値段となる。
メニューの裏に、はちみつうどんの解説が書いてあった。
生地を練る際に、はちみつを加えるらしい。このお店独自の製法。
さすがに、ホットケーキのように、茹で上がったうどんの上からタラリタラリとはちみつをかけて食べる、お子様も喜ぶスイーツうどん、というわけではないんだな。
でもちょっと待ってほしい、ホットケーキもうどんも同じ小麦粉だ。ホットケーキとはちみつが合うならば、うどんにはちみつも・・・いや、やめろやめろ。
そんなわけで、はちみつが練り込まれたうどんと、野菜天ぷらを頼んでみた。
透明感があるうどん。つややかだ。
これがはちみつ入りならではのものなのか、そうでないのかはよくわからない。でも、うまいのは間違いない。
よく、「加ト吉(テーブルマーク)の冷凍讃岐うどんはうまい」って言われていたけど、今考えるとそうでもないよな。昔はあの麺のコシに驚いたものだけど、今となっては本当に手軽に、街中のあちこちでコシのあるうどんが食べられるようになった。結果的に、加ト吉の地位が相対的に落ちてしまった気がする。
写真が料理に近づきすぎて、一瞬なんだかわからない。
舞茸天ぷらをかじった断面を撮影すると、こういう意味不明な写真になるよ、という事案。
写真の被写体としては、全くお薦めできない。
(つづく)
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