18:58、満を持して夕食に出かける。
19時過ぎからご飯を食べて、食後そのまま19:55から始まる泉堅ショーを楽しもう、という考えだ。
宿に泊まるときに、夕食のタイミングをこうやって見計らうのは初めての体験だ。何しろ、一旦部屋に戻る・・・というわけにはいかない距離だから。
これまで、「お食事は21時までに済ませてください」と宿の仲居さんから言われて、「・・・ということは、逆算すると19時から宴会を始めればとりあえず間に合うかな?」と決めたことはある。今回はそれとは別パターン。
食事処は、「こまくさ」という名前がついている。
ビュッフェ形式。
僕らと同じことを考えているお客さんが多いのか、19時なのにたくさんのお客さんがいて、入場待ちになってしまった。てっきり、ご高齢者が多くて、夕食時間開始とともに混雑・・・と思っていたのだけど、違った。夏休みシーズンだしな。
その間に、それとなしに壁を見る。
「万座温泉は世界三大長寿地帯と類似」とデカデカと書かれていた。
世界三大長寿地帯ってどこよ?と思ったら、「①ビルカバンバ(ペルー)、②フンザ(パキスタン)、③コーカサス(アゼルバイジャン等)」なのだそうな。
すまん、初めて聞いた。そうなの?
いろいろ突っ込みどころがありそうだけど、それは言いっこなしで。「なるほどー」と感心しておこう。
「どうぞご自由にお持ち下さい」と書かれた棚には、宿のリーフレットなどとともにキリスト教に関係する本や資料もちらほら。「教会は誰のもの?あなたのもの!」というパンフレットも置いてある。聖書だって、ある。
ここのオーナー、泉堅氏は若い頃難病に苦しめられ、そのときに神に祈り続けた結果治癒したという経験をもつ。それ以来、クリスチャンとして伝道に努めているそうだ。夜にショーをやっているのも、単に「出たがり」だからなのではなく、自分の信念に基づいてのことらしい。
「東京(新宿)-万座温泉 直行バス毎日運行」
と書かれたチラシ。それを見ると、10,800円より(税込)と書かれている。
「これは安い!」というビックリマークが付いているが、実際に安いと思う。
東京からの往復運賃は、公共交通機関を使おうが自家用車を使おうが、それなりにかかってしまう。それが、宿付き往復のアシ付きでこの値段はびっくりだ。しかも、週末だけ運行ではなく、毎日なのだから。
もちろん、「10,800円『より』」なので、これは最安値。繁忙期になると値上がりするのは仕方がない。
僕も、今回の旅行でこのツアー利用は頭の中にあった。でも選ばなかったのは、本当に宿と東京との間を往復して、終わりになってしまうからだ。
せっかくだから周辺観光もしたいじゃないですかーやだーもー
って考えると、少々高く付いてもレンタカーを借りて移動したくなる。
でも、昔の精神的に参っていた僕のガチ療養だったら、むしろこういう直行バスの方が楽でいいだろうな。余計なことを考えなくて済むから。
料金プラン表を見ると、「3泊~14泊コース」と、「15泊~30泊コース」という長期滞在者向けの安いプランが用意されているようだ。
繁忙期でなければ、ゆけむり館を2食付きで1日5,550円(2名1室の場合)で利用できる。激安やんけ!!
さすがに14泊は無理だとしても、3泊くらいならなんとかイケるかもしれん。仕事の調整をつけて、ここでグダグダな日々を過ごしてもいいのかもしれない。
なお、僕みたいなロンリー人間様向けに、「1名1室」も可能というのが泣けてくる。ゆけむり館で8,250円。ただし、7泊以上はダメなんだって。あんまりお一人様に客室を占拠してほしくないらしい。そりゃそうだ、商売なんだから。
立食パーティーでもやってるの!?というくらい、人が大勢立っている。
もちろんそんな温泉旅館なんて聞いたことがない。浴衣を着て、立食パーティー会場だなんて。
この人たちは、みんなビュッフェ料理をゲットすべく、待ち構えている人だ。大賑わいここに極まれり。
今日は夏休み&お盆シーズンとはいえ、平日なのによくここまでお客さんがいるものだな。
いかんなぁ。
いい年してビュッフェかよ、と思う。だって、「できるだけ全種類、お皿によそいたい!」って毎度毎度真剣に考えるんだから。だからなんなんだ、と自分自身わかってはいるさ。でも、取っちゃうんだよね。
「まだ見ぬ強豪」を料理の中から見つけたい、というわけじゃない。
なんだろうな、たぶんパズル感覚なんだと思う。一度に、トレイにどれだけ皿が載るのか。その皿にどうやって料理を盛り付けるのか。汁気がある筑前煮はどこに配置する?揚げ物のつゆはどうする?
ああ、考えれば考えるほどワクワクするぜ。
入場する際に、ラミネート加工されたプレートを受け取った。
これは、「このカードが置いてある席は利用中ですよ!」という意思表示のためのものだ。時々ビュッフェレストランでこういうルールを採用しているところがあるけど、本当にありがたい。
誰かが席をキープしていないといけない、というのは面倒なので、これがあると助かる。どうせ旅館なんだし、貴重品といえば部屋の鍵くらいだ。全員が席を空けていても、構わない。
そのラミネートプレートの裏は、飲み物メニューになっていた。
ペットボトルのジュースの値段が結構高いのを、さっき売店で見たばかりだ。それと比べるとこのレストランの値段が良心的に見える。
とはいえ、レモンサワ-で630円だから、高いといえば高い。
客席はこんな感じ。
ビュッフェ形式の宿に泊まった時、自分が陣取る席の位置ってすごく気になるものだ。いかに料理テーブルと往復がしやすいか?なんて考えてしまう。
そんなことを大真面目に考えているのだけど、どうも大半の人は一往復して終わりらしい。マジか。せいぜい、デザートを取りに行くためにもう一往復程度。マジか。
かなり座席数があるレストランだけど、「利用中」の札を机に置いて離席中の人が多い。
そしてそのテーブルには、食べ終わったお皿やおしぼりが置いていないことから、「まだ初回航海中」だということがわかる。なんだみんな僕らと同じ考えだ。19時からご飯を食べて、その後にショーを見る気なんだな。
(つづく)
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