小布施界隈を歩く。
なるほどねぇ、結構散歩しがいのある街だ。大して広くはないけれど、観光客にとっては変化に富んだ町並を楽しむ事ができる。
宿場町とか、武家屋敷とか蔵の町というのは全国各地にたくさんある。でもこの小布施は、そのどれにも属さないような不思議な町だ。古いような、そうでないような。少なくとも、「新しい」ということはないんだけど、古い町並みを「これでもか!」と売りにしている気配もない。
れんが作りのとんがり屋根の洋館があったりする。「桜井甘精堂 栗の木テラス」だった。外観通り、和菓子ではなく「紅茶とケーキの専門店」なんだそうだ。なんだ、「洋館」だから「栗ようかん」を売っているかと思ったのに。
よく見ると、風見鶏ならぬ風見馬だった。
「マジすか。こんなところ、入っちゃっていいんスか」
と思わず声を上げてしまうような、細い路地も観光マップに載っている。むしろ、こういう細い路地こそが小布施の醍醐味、ということらしい。
人んちの庭を横切るような、背徳感を感じる。おっかなびっくり、通らせてもらう。
おーい、これは「路地」というより「人んちの軒先」というのが正しいぞ。桜井甘精堂の敷地内を歩く。
出てきたところには、レンガの煙突の建物がお出迎え。軒先には大きな「酒」の文字。
松葉屋、という酒蔵だった。よく見ると、蔵の形が独特だ。壁と屋根の間に隙間が空いている。四季の移ろいを蔵の中に眠る清酒に伝えるためだろう。たぶん。勝手な推測だけど。
この酒蔵は「本吉乃川」という銘柄の酒を醸しているけれど、一升瓶ケースにはちらほらと越乃寒梅とか越の景虎といった別の酒瓶も見える。
いよいよ、「人んちの軒先」を通過するだけでなく、「人んちの中」を通過する道になった。
ワクワクするけど、びっくりだ。えっ、えっ、本当にこれでいいの!?って。
(つづく)
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