
伊香保温泉にやってきた。
今回の目的地は万座温泉なので、伊香保温泉でひとっ風呂、という予定はない。
でもよく考えてみたら、最近伊香保を訪れていないなあ・・・と思ったので、久々に訪れてみることにした。観光地・伊香保を敢えて楽しんでみるのもよさそうだ。

伊香保を代表する場所、「石段街」のすぐ下に空き駐車場があったので、停めることができた。平日ならではのラッキーだ。行楽シーズンや週末だと、こうはいかない。

石段の一番下から歩いて行く。
石段の脇には、湧出した温泉を流して、温泉宿に供給するための「雨どい」のようなものがある。その最果ての地が、ここらしい。こうやってむき出しになっている、ということは、このお湯は特に使われることなく、排水されるということなのだろう。もったいない。
せめて、足湯にしてくれればいいのに。源泉掛け流しの足湯。
以前、伊香保温泉は「偽装温泉」問題で揺れに揺れた。今はもう解消したと聞いているが、こうやってお湯が余っているのがその証拠かもしれない。

なにせ、こんな「団体旅行客様大歓迎」とでもいわんばかりの大型旅館が伊香保にはゴロゴロある。
こういう温泉宿に源泉を供給していたら、いくらお湯があっても足りるわけがない。なにしろ、でかい宿にはでかい風呂がある。これは当たり前のことだ。
温泉地に行って、いつも楽しいのが、こういう旅館の裏側を観察することだ。これまでの旅行記で何度も書いていることだけど、今回もそう。正面玄関側はきれいに取り繕っていても、建物裏側が油断してしまっている建物は多い。そういうのを見るのが、いい。のぞき趣味みたいではあるけれど。

石段街の脇に、唐突に和風の一軒家がある。

特に入場料は取られない。出入り自由の一軒家。唐突なので、怪しい。

ここはハワイ王国公使の別邸があったそうだ。
ハワイが独立国家だったときの名残だそうだが、駐日公使の名前が「ロバート・ウォーカー・アルウィン」なのでアメリカ人だったようだ。ハワイに元々住んでいた人じゃないんだな、さすがに。

「うお、全部板張りじゃないか。冬は寒いぞ」
と思ってしまうのは貧乏人の証拠。だって、ここは「別邸」なんだから。寒い季節にわざわざここにやってこない。
くそー、ブルジョアめ!
僕ら庶民は、「春夏秋冬住んでいられる家」しか想像力が働かない。
このアルウィンさん、わざわざ伊香保に別邸を構えたくらいだから、ONSENには入ったのだろうな、きっと。どう思ったのだろう?「ああ、極楽」と思ったのだろうか?いや、キリスト教徒に「極楽」という概念はないか。

公使別邸のすぐ向かいが、伊香保口留番所。
顔ハメをしろ、とおいでおいでしているパネルが置いてある。ああもちろんやったとも。
でも写真は掲載しないでおく。あまり見栄えの良いものではなかったから。

ひととおり、番所を眺める。

石段を登っていく。
狭い路地にも、いろいろなお店があるようだ。

こういう狭い道の奥って、見落としがちではある。
でも、見つけてしまうと、すごく気になる場所だ。
観光は団体旅行が当たり前の時代だと、こんなところでの商売は無理だっただろう。でも今は少人数の旅行が当たり前だし、ネットも発達している。路地の奥でも、商売は成り立つ。
僕が詳しい、岡山県倉敷市の美観地区も、こういう「路地の奥にあるお店」が急速に増えてきた。
(つづく)
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