お腹がいっぱいになった。
そうこうしているうちに、ロビーではもうショーが始まっているようだ。そろそろ我々も、ショーを見に行こう。「食事中です札」を返却し、食堂を後にした。
おー、ロビーでマイクを握っているのは、この宿の当主であり、歌手でもある泉堅様だ!実物がいるぞー。
さすがに実物もいい男だ。そして、いい声をしている。
ハワイからやってきているというミュージシャンによる、演奏。この方も、キリスト教に関する歌を歌う。とはいえ、キリスト教徒以外が引いてしまうような、露骨な宗教色のある曲ではなく、もっとカジュアルな曲になっていた。気軽に聴けて、いい。
アコースティックギターを弾いていたと思ったら、バイオリンも弾く。器用な人だ。さだまさしかと思った。
この人は、当然この日限りのライブではない。なので、宿に長逗留しつつ、夜はライブというのをやっているようだ。湯治しながらのライブだ。でも、うっかり長風呂を繰り返していると、湯あたりでグッタリしてしまい、肝心のライブがヘロヘロになりそうだ。万座温泉は強い温泉なので、ほどほどにしておかないと。
泉堅様の歌とトーク。
終戦記念日が近いということもあって、戦時中の人たちの話を織り込んで、熱く語ってくれた。
そうこうしているうちに、ワゴンに乗せられたバースデーケーキが登場。どうやら、堅様の誕生日だったらしい。
仮装したスタッフからプレゼントが渡されたりして、和気藹々。
(残念なことに、泉堅様はこの後2018年、永眠された。しかし、お子さんが跡を継いで、今でも宿は繁盛していると聞く)
無料宿泊券の抽選会がイベント最後に開催された。
見る客も真剣、そして選ぶ堅様も真剣。「夕食にビール1杯無料提供」なんていうサービスとは訳が違う。無料宿泊だぞ、無料宿泊。
僕はこういうのに当たったためしがないので、「どうせ当たるわけがない」と斜に構えて様子を見る。とはいえ、「もし当たったらどうしよう?」というヤラシイ気持ちがゼロではないので、ドキドキしたのは事実だ。
・・・結果的に、そのドキドキは空回りで終わったけど。残念だけど、また今度自腹で泊まるぜ!良い宿だよ、ここは。
(つづく)
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