「温泉療養シリーズ」と称して、月に一度は温泉に行って「あーーーー」と湯船でうなり声を上げる時間を設定してきた。しかし、さすがに毎月毎月というわけにもいかず、しばらく間が空いた。今回、久し振りの温泉旅行。
今更だけど、温泉はいい。
「足を伸ばしてお風呂に入れる」というのは正直どうでもよい。
それよりも、自宅のお風呂だとついついスマホを持ち込んでしまったり、風呂上がり後の家事や雑務が気になったりしてしまう。温泉旅館泊だと、そういうことが物理的に出来なくなるので、強制リラックス状態になる。それがいい。
豪華な宿に泊まるほどの財力はないので、僕にとって「手頃なお宿」というのは1泊2食で1万円を切るくらいの場所だ。そのかわり、頻度高く温泉旅行ができればいい。
「1泊2食付き、1万円以下、そしてそれなりに風情のある宿」
となると選択肢はそれほど多くない。むしろ、多すぎると混乱するので、これくらいの条件の方が好都合だ。あと、宿に過度な期待をしないので、むしろ快適に一泊を過ごすことができる。僕にとってちょうど良い湯加減、というわけだ。
今回は、群馬県の西の端にある、「新鹿沢(しん・かざわ)温泉」に行ってみることにした。高原キャベツの産地として知られる、嬬恋村だ。長野県の県境にほど近い。
なぜここを選んだのかというと、どこかのツーリング系旅行ブログかなにかで、神秘的なたたずまいの宿を見つけたからだ。その名を「鹿澤館」という。「じゃらん」や「楽天トラベル」といった旅行予約サイトには載っていなかったと思う。
宿の公式webサイトは存在している。そこに掲載されている建物外観を見るだけでワクワクしてしまう。なにせ、これはお寺なのか?というくらい、立派な建物だからだ。その割にはお客さんを積極的に取ろうとは思っていないようで、予約の電話をおっかなびっくり入れてみて、OKを貰うまで若干心配だったくらいだ。それくらい、素っ気ない。
公式webサイトにはこう書かれている。
素泊まり 4,500円
一泊朝食付き 5,500円
恐ろしく安い。ちょっと心配になるくらいだ。
10年くらい前の情報で、それから更新していません・・・今はお客さんは受け入れていないんですよ、と言われるんじゃないかと身構えたくらいだ。それくらいに、安い。温泉旅館だぞ?
なお、夕食の提供はやっていないとのこと。近所で食べてくるか、持ち込みをすることになる。
むしろ面白い。嬬恋のキャベツ畑のその奥にある、密やかな謎めいた温泉宿。楽しい旅になりそうだ。
2016年07月16日(土) 1日目
旅のスタートは、前橋市にあるレストラン「パンプキン」からスタート。ここでの話は、既に「美貌の盛り」に掲載している。

ミニサラダ(100円)

イタリアントマト レギュラー(1,180円)。
恐るべきお店だ。旅の冒頭で、最大級のインパクトを受けた感じ。ショックを受けた、という表現をしても過言ではない。なんなんだこの世界は。
詳細は「美貌の盛り」の記事に譲る。旅を先に進めよう。

13:19
車で移動となると、ついつい「あれも、これも」と立ち寄り地点を設けてしまう。貧乏性の僕の悪い癖だ。
途中立ち寄り地を設定しちゃうのは本性なのでしょうがないとして、せめて「ルートから大きく逸脱しない程度」にしておこう、というのが今回の目標。
前橋の「パンプキン」から嬬恋の宿を目指す国道353号線。
その途中に「中之条町歴史と民俗の博物館」というのがあるらしい、というのは地図を見てわかっていた。特に中之条の歴史を学びたかったわけではないけど、横を通り過ぎるんじゃあ、見ていかないわけにはいくまい?
というわけで、最初の立ち寄り地点。
しかしこれがちょっとびっくりした。おい、なんだか予想していたものと違うぞ。マッチ箱みたいなビルが建っているのかと思ったら、明治時代の建物じゃないか?これ。

明治18年に完成した、小学校なのだという。群馬県唯一の明治建築の面影を残した小学校なんだそうな。
途中で町役場にジョブチェンジをし、そして今は民俗資料館に様変わりしている。
「へええ、こんなものがあったのか」
と新鮮な驚きとともに、中を見学できた。草津温泉や万座温泉に行くときには、いつも中之条を通過している。なのに、全くこの建物のことには気付いていなかった。

外に、「中之条かるた」という短冊が貼ってあった。
「洋風の学校 今は資料館」
だそうで。上毛かるたといい中之条かるたといい、群馬県人はかるたが好きなんだな。でも、この句はなかなか渋い。渋すぎる。
(つづく)
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