11:22
地蔵峠を越え、長野県側に下っていく。
下りきったところは、小諸と上田の中間くらいの場所で、特になにかあるわけではない。湯の丸高原はちょっと不便な場所ではある。
でもその分、「ちょっと珍しい場所に行ったった!」という満足感が得られる場所でもある。ドライブも楽しいし、良い場所だと思う。
道中、いたるところに観音様がいらっしゃるのだけど、さすがにハンドルを握って運転しながらだと、探している余裕がない。最初は「100体、全部拝ませてもらう!」と意気込んでいたけど、途中で訳がわからなくなってしまった。
11:35
山の中腹。
道路脇になんか池があるやんけ!ということで一旦車を停めてみたけど、単なるため池だった。
麓の田畑向けのかんがい施設だ。なーんだ。
・・・と思ってそのまま通り過ぎたが、これって案外すごいものらしい。火山灰質の土壌のため、水はけが良すぎる土地柄。そのため、わざわざこのため池の底にはゴム製のシートを敷き詰めて、水が抜けてしまうのを防いでいるのだという。それは大がかりな。
でも、改めて写真で見直しても、その「ゴム」がどれだかはわからない。事前に「ゴム製のシートが敷いてあるんだよ」と教えられていたとしても、やっぱり通りすがりの観光客にとってはあまり面白いものではない。
とはいえ、天気が良い時は水面が空の青色を写しこんで、とても美しいはずだ。今日はあいにくの曇り空だけど。
11:41
湯の丸高原から山を下り続けていると、何やらイイカンジなお店があったので、立ち寄ってみることにした。
アトリエ・ド・フロマージュという名前らしい。いくつか建物がわかれている、複合施設のようだ。
レストランと、売店の構成だった。チーズをメイン商品にしているお店。
チーズは大好きだ、どれ、見ていこう。
店内は、チーズ&チーズケーキ&チーズに良く合うお酒、っていう感じ。チーズケーキ以外にもケーキ類がある。
まだ僕がお酒を飲むことができた頃は、何度となく臭っさいウォッシュドチーズを買ってきて、その都度敗退していたものだ。本格的なチーズは少量でも1,000円近く、または1,000円を超えてくるので、かなりの覚悟で買うのだけど、僕には無理だった。
・・・そんなことを、思い出した。
臭いチーズが嫌い、というわけじゃない。癖の強い食べ物はむしろ好きだ。しかし、この臭っさいのをどうすりゃいいんだ、と持て余して、結局チーズ塊の半分くらい食べたところでウンザリ。そして冷蔵庫の中でミイラ化するというのがルーティンだった。
そりゃそうだ、僕はビールばっかりを飲んでいた人だ。本格的なチーズは、やっぱりワインとあわせた方がいい。ビールを飲むんなら、QBBチーズが一番だと思う。
11:51
おっと、鹿沢温泉に続く百観音のスタート地点、発見。
・・・あれ?不動明王?観音様じゃないぞ?
今、この文章を書いていて、写真を見直してみて、ようやく気がついた。おい、これは百観音の一番目じゃないだろ?
どこかに観音様がいらっしゃるのではないか、と写真を拡大してみたが、どう見てもこの石仏は、刀を手にしている。アカン、観音様が物騒な武器を持っている筈がない。完全に勘違いしてしまった。
すいませんお不動様、人違いでお祈りしちゃいました。さぞや困惑されていることでしょう。
11:59
山を下りきったところに、「道の駅雷電くるみの里」がある、と地図に出ていたので立ち寄ってみた。
最近は、至る所に道の駅がある。
昔は、「道の駅を見つけたら、立ち寄るべし」という考えでいた。地元のいろいろなものが売られていて、おもしろいからだ。しかし最近じゃ、あまりに道の駅があちこちにあるので、スルーすることも増えた。珍しくないし、全部立ち寄るとキリがないからだ。
他にも、「旅の駅」とか「食の駅」とか、「◎◎の駅」を名乗る施設が至る所にあるし。
そういうことを道の駅側も察知してか、とにかくユニークな名前の道の駅があちこちにある。
ちなみにこれまで僕が行ったことがある道の駅でぶっ飛んでると思った名前は、「イノブータンランドすさみ」と「あら伊達な道の駅」かな。
ネーミングがすごいと、「えっ?」と気になる。立ち寄ってみよう、という気になる。「雷電くるみの里」もまさにそうだった。まんまと施設側の思惑にはまった、という自覚はあるけど、立ち寄ってみよう。
道の駅から見た、湯の丸高原方面。厚い雲が峰々上空に立ちこめている。さっきまで、あの中にいたのだな。
下界はすっかり晴れ空。
図解するとこんな感じ。
いや、ちょっと待って!なんだか左側にふんどしの変な人がいるよ!
それがこれ。江戸時代の大相撲で無敵を誇ったとされる、雷電爲右エ門。
伝説の・架空の人物かと思ったら、本当にいたのだな。せいぜい、浮世絵に描かれるくらいの「誇張された存在」なのかと思ったけど、ガチやん、この人。長野県東御市出身。
通算成績が254勝10敗なのだから、とんでもない勝率だ。それもそのはず、1700年代生まれでは信じられない、身長197センチなんだもの。こんなん、どうやっても勝てっこないわ。プロレスラーの故・ジャンボ鶴田(196センチ)よりもデカいやんけ。
仮に身体を鍛えていなくても、小兵相手なら勝てちゃいそうな圧倒的な身長よ。それにくわえて、体重が169キロもあって、得意技が突っ張りときたもんだ。「ブレーキの壊れたダンプカー(スタン・ハンセンのキャッチコピー)」の江戸時代版だ。
なお、スタン・ハンセンは193センチなので、ハンセンよりも雷電のほうがデカい。
ハンセンのウエスタン・ラリアットと雷電の突っ張りを真正面からぶつけ合って、どっちが強いか見てみてぇ!
その勝負が見られるなら、東京ドームの客席が埋まると思う。
そんなご冗談を、と思うわけだが、Wikipediaには彼の生い立ちと、戦績が事細かに記されている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%B7%E9%9B%BB%E7%88%B2%E5%8F%B3%E3%82%A8%E9%96%80
さすが、大相撲は江戸時代の対戦記録もきっちりと残されているんだな。
そんな雷電のふるさと・東御市だけど、くるみの生産が日本一だそうで。自販機にバーンとオリジナルのプリントを施して、PRしている。
そういえばこの界隈の蕎麦って、くるみだれを使って食べることがよくあるよな。醤油が手に入りにくい土地柄だから、というだけではなく、くるみの生産が盛んだったからだ。
道の駅建物。
建物内に食堂があったのだけど、そこの張り紙がイカしてた。
ご飯のお代り 自由にどうぞ
※いっぱい食べて雷電になろう
マジか。いっぱい食べたら僕も雷電になれるのか。身長197センチだぞ?
体重だけは真似できるかもしれないが、身長はたぶん無理だと思う、今更。いや、若いときにいっぱい食べても、197センチは無理だ。
(つづく)
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