18:42
日帰り入浴施設、「つつじの湯」にやってきた。
けっこう車が停まっていて、賑わっている。
草津方面から長野県上田市に繋がる国道144号線沿いにあり、車の往来はそこそこある。なので、便利の良い入浴施設だ。
あれ。今気がついた。さっき、鹿澤館の風呂場前廊下で見た、温泉成分表・・・「つつじの湯」って書いてあったな。ここのことだったのか。
「嬬恋高原温泉」という温泉名なので、鹿沢温泉とは違う源泉となる。泉質も違って、こちらは「ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・塩化物温泉」。
あー、これまで数多くの温泉に入ってきたけど、いまだに殆ど泉質について理解できていない。全然頭に入ってこない。どうにかして、体系的に学ぶ方法はないものだろうか?
「温泉のデパート」と呼ばれ、旅館ごとに異なる泉質のお風呂がある、宮城県の鳴子温泉に一週間くらい修行しに行ってこようか?
営業は10時から22時。
食堂は11:30~ラストオーダー20:00、と書いてあった。
我々のように日没前に訪れる必要はなかったのだけど、日が暮れて真っ暗な中、外出するのも面倒くさい。早めに食事をするに超したことはない。万が一、ここが営業をしていなかったら代替案となるお店を探すのが大変な場所だし。
入浴施設だけど、僕らのように食堂のみの利用もOKだ。
「食堂の利用です」と受付に告げて、中に入る。
つつじ苑、という食堂がある。
バシバシと「生ビール」とか「サワー」「清酒」と書かれた短冊が壁に貼ってある。みんな仲良く、ハンドルを握る人以外は飲んでくれ!というスタンス。
周辺の人口が少ない土地柄だ。扱っている料理メニューはさほど多くない。
オーソドックスなメニューが並ぶ。しかし、むしろこういうオーソドックスな料理って、むしろ楽しいよな。だって、旅行先でこういう「ありきたりな料理」って普通頼まないもの。いろいろ調べて、「ご当地グルメ」とか、「雰囲気の良さそうなお店」とか、そういうちょいと一癖あるお店と料理を選ぶ。
しかし、この地では選択肢がない。だから、オーソドックスな料理ということになる。いいじゃないか、むしろこういうところに旅情を感じる。
敢えて旅情を強調するならば、メニュー最下段が「酒のつまみ」系料理が並んでいるのだけど、その中に「千切りキャベツ盛」があったことだ。さすが嬬恋、キャベツの千切りがメニューになるのか!
どうでもいいんだが、「トンカツ定食」ではなくて「カツライス定食」なんだな。
僕は「おかず+ご飯+お味噌汁」という基本構成になっているのが「定食」のオーソドックスな定義だと思っている。その考えを踏まえると、「カツライス定食」というのは、「トンカツ+ライス」にご飯とお味噌汁が付く、というイメージになる。
まあ、それは揚げ足取りのようなもので、実際にこの「カツライス定食」は「トンカツ定食」と同意語なんだろう。そこは客が意を汲み取らないと。
でも、だとしたらなんで「ヒレカツ定食」なんだろう?「ヒレカツライス定食」にするのが正しいのではないのか?
シンプルなメニュー構成だと思ったけど、いざ自動食券機にそのメニューを展開すると、ボタンびっしりになるものだな。これは意外だった。
・・・と思っていたら、同じメニューがいくつものボタンに割り当てられている。「かきフライ定食」に至っては、ボタンが4つもあった。そんなに推しているのだろうか?
つつじ苑の客席と、カウンター。
青い館内着を着てくつろいでいる人がちらほらいる。ここで半日くらいゆっくり過ごすのだろう。
連れが頼んだ、サバ味噌煮定食。
気になってしまい、僕はカツライス定食を頼んでしまった。
さすがにワンプレートにカツとライスが盛られ、それとは別にご飯とお味噌汁・・・という絵面にはなっていなかった。
食後、部屋に戻って長い夜をのんびり過ごす。
クローゼット内にある丹前にはほこりがうっすらと積もっていて、あまりこの宿が利用されていないことがうかがえた。勿体ない。建物のド迫力だけでも一見の価値、ありだ。
ただ、夜の間この広い建物に(たぶん)僕らだけ、というのはちょっとした肝試しだった。お風呂に行くために暗い廊下をてくてくと歩いて行くのも若干の怖さがあるけれど、部屋の外にあるトイレにいくだけでも気味の悪さはある。
怖がりの人は、やっぱりここに泊まるのは無理だ。あと、怖がりでなくても、ホラー映画とかを見た後なら、誰でも怖いと思う。大広間の暗がりから何かが出てくるんじゃないか?みたいなことをうっかり考えてしまったら、トイレに行けなくなってしまう。
(つづく)
コメント