まるでお寺!神秘的な宿に泊まる【新鹿沢温泉】

新鹿沢温泉「鹿澤館」の大浴場、「こまくさの湯」。

男湯一つ、女湯一つ。

最大200人の宿泊ができる!という売り文句の宿の割には、結構シンプルだ。建物外観のド迫力っぷりからしても、ちょっと素っ気なさを感じる。

「うちは鹿沢温泉からの引き湯なんでね、お湯は潤沢にないんですよ。だから湯船は小さいし、浴室も小さいんです」

というわけではない。なにしろこの宿は源泉掛け流しだ。お湯は潤沢にある。

温泉成分の記載は、よく脱衣場に掲げられているものだ。しかしこの宿は、廊下にあった。見てみると、「嬬恋高原温泉 つつじの湯」と書いてあった。あれ?

いや、もう一つ成分表があった。

こっちには「鹿沢温泉(源泉名:雲井の湯(県有泉)」と書いてある。どっちが正しいんだ?

それにしても、「県所有の源泉」というのが世の中にはあるのだな。群馬県の資産なのか。

ご丁寧に、大きく泉質を書いた紙も貼ってあった。

それによると「マグネシウム・ナトリウム 炭酸水素塩泉」

なのだそうだ。

循環・加水・加温なし。

先ほどの2種類の成分表と見比べてみると、やっぱり「鹿沢温泉(源泉名:雲井の湯(県有泉)」が使われているようだ。

じゃあ、「つつじの湯」の成分表は一体なんだったんだ?

昔はそっちのお湯を使っていて、途中で切り替えたんだけど、名残惜しいので成分表は残してあります・・・っていうわけはないよな。

女性浴場の入口に、

ここは、女性風呂です。
理由の如何を問わず
男性立入禁止(緊急はフロントへ)

という札が出ていた。

ええ?なんだ、これ?

女性のお風呂に男性が入るのがけしからんのは当然だけど、どうしてわざわざこんな札を用意したのだろう?しかも、手書きの張り紙ではなく、わざわざお金を払って、しっかりした札を作ってもらっている。これはシロウトの手作りではない。

ひょっとして、今日みたいに殆ど宿泊客がいない状態だと、カップルが「せっかくだから一緒にお風呂に入ろう」ということになるのだろうか?

いやー、そんなことって、ある?

実は僕、今日は僕ら以外だれも泊まっていない気配があるので、女性風呂に入らせてもらおうと思っていたのに・・・

あっ、お巡りさんこいつです!こいつが女性風呂に入ろうとしてます!

「浴室入口の廊下 防犯カメラを設置しています。」

という警告が出ていたので、「まさかそこまで大げさなことはねぇ」と思ってふと見上げてみたら。

驚いた!本当に防犯カメラが設置されていた。
しかももれ、ダミーではなくてガチのやつっぽい。おい、宿は本気だぞ。

これで、さすがの僕も女性風呂に入るのは断念した。

いや、カメラなくても女性風呂に入ろうと思うなよ。

それは冗談としても、これだけがらんとした宿なので、「万が一」があったら大変なので警戒しているんだろうな。確か、宿の人は通いで、夜は不在になるって言ってたような気がする。(記憶違いかもしれないけど)

女性宿泊客が不安に感じないように、こういう対策は打ってある、というわけだ。

気を取り直して、女性風呂に入る。

待て、気を取り直せ。マジで。

というわけで、男性風呂に入る。当たり前だ。

あ、いいことを思いついた。女性の連れがいる場合、その女性を男性風呂に招き入れればいいんだ。トンチがきいてるな。・・・やめろやめろ、全部防犯カメラに記録が残る。

おお、風呂場の入口は素っ気なかったけど、さすがに湯船はそれなりに大きい。これが源泉掛け流しになっているのだから、ちょっと贅沢。

カランは4つ。

素っ気ないし、お値段格安の宿だけど、シャンプーやボディーソープは完備。部屋には浴衣もあったし、確かタオルもあった。歯ブラシまであったかどうかは忘れた。それくらいは持参した方がいい。

マグネシウム分が多く含まれている温泉というのはあまり馴染みがない気がする。

ザブザブ流れている源泉を満喫。いいねえ。

源泉の流入口。結構豪勢にお湯が注ぎ込まれているのがわかる。これを僕らだけでひとりじめ・・・あれ?日本語がおかしいな。まあ、僕らだけで独占できているというのは素晴らしい。

流入口付近は、すっかり鍾乳洞の気配。析出物が長い年月をかけてここまで成長しました。これを削って、すり潰したら何か社会の役に立てないだろうか?湯の花みたいな、入浴剤になるとか。無理か?

ばんばん湯船からオーバーフローする温泉成分が、床を千枚田状態にしている。何の成分が固まっているのかはわからないけど、こういうのを見ると嬉しくなってくるよな。「ああ、温泉に来て良かったな」と。

どうせ一泊の温泉旅行だ。温泉成分そのもので体調がよくなるなんて、期待はしていない。それよりも、転地効果で「うおおお、温泉だァァァァ!」とはしゃぐのが一番精神的な効果が得られる。

そういうとき、月並みだけど、濁り湯とか、源泉掛け流しとか、析出物とか、そういうギミックがあると嬉しいわけだ。本当に月並みだけど。

無色透明の温泉でも素晴らしいものは沢山ある。でも、僕とて単なる凡人。やっぱり、こういう「いかにも温泉」っていうのがいいッスよ。

(つづく)