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鹿澤館をチェックアウトしたのち、進路を南にとり、長野県を目指す。
車を走らせること10分足らずで、立派な建物が見えてきた。
休暇村嬬恋鹿沢、だ。
「休暇村」といえば、僕の世代だと「国民休暇村」と呼ばれていて、旧厚生省が整備していた国民向けの保養施設だった。国民宿舎と並んで、比較的廉価な価格で泊まれる宿だったと記憶している。
しかし今、休暇村を検索して見ると、案外お高いのでびっくりする。「保養」という趣旨はそのままのようだけど、もうちょっとリゾート的な要素を高めて立派になり、その分値段に反映されちゃってる気配。ただ、値段は施設によって全然異なるので、一概には言えないのだけど。
なにせ、僕らアワレみ隊が初めて「外泊合宿」を行ったのが高校1年のときで、それが広島県の大久野島にあった休暇村だった。高校生の小遣いでも泊まれる宿だった。
休暇村の名誉のために言っておくと、この組織は株式会社ではなく、一般財団法人だ。お金儲けを主目的にはしていないので、高いお金を設定してがっぽがっぽ儲けている、というわけではない。物価そのものが上がった、ってことなのだろう。
休暇村に特に用事があったわけではないけれど、今日は特に何の予定もないので立ち寄ってみた。
さすが休暇村、いろいろよく整備されている。
ウッドデッキから見下ろすと、据え付け型のテントがずらりと並んでいた。へえ、ここはテント泊ができるんだ。
テントの底が濡れたり地面のデコボコの影響をないように、わざわざ「高床式」になっている。テントは常時設営されっぱなしで、宿泊客はテントを建てたり撤収したりする手間がない。バンガローに泊まるかわりにテントに泊まる、といった感じだろう。それが楽しいのかどうかはよくわからないけど、少なくとも建物内のホテル風部屋に泊まるよりは安いはずだ。
わざわざ陸橋がこしらえてあるのでびっくりした。
休暇村の施設から、お隣の「鹿沢インフォメーションセンター」に繋がっている。
お金をかけているなあ。
ゴリゴリのコンクリート橋ではなく、若干たわんでいる。
「やわらかな弾力のある歩行感」と「橋から見える新たな景観」を体験し、自然の魅力を発見させてくれる
と解説には書いてある。はあ。
世界初の技術だという。確かに、こういう「たわんだ鉄筋の橋」というのは見たことがない。しかし、そんな世界初の技術をここで披露するというのはどういう経緯があってのことだろう?
インフォメーションセンターなので、いろいろな説明がある。環境省が国立公園内に作る「ビジターセンター」とは雰囲気が違う。「ビジターセンター」は、もっと動植物寄りの展示があるイメージだ。剥製とか。
この先5キロの、長野県と群馬県の県境になる地蔵峠(湯の丸高原)が分水嶺になる、と書いてある。
まあ、日本中に分水嶺はたくさんあるので・・・いまいち驚きとか興奮はない。
鹿沢温泉の析出物。
休暇村の配水管から取りだしたものらしい。
今朝まで泊まっていた「鹿澤館」の浴室も、この手の析出物があちこちにあったっけ。
客にとってはありがたい「濃厚な成分」だけど、宿側としてはたいへんにやっかいだ。こんなやつが配水管に詰まるんだから。
そういえば、はるか昔に泊まったことがある山梨県の温泉は、素晴らしいお湯だったのだけど宿のご主人は「水で薄めている。そうじゃないと、すぐにパイプが詰まるから」と仰っていた。客からするとすごく惜しいのだけど、仕方がないのだろう。
で、自重でたわむ鉄筋橋を渡ってみる。
おお、確かにこれはちょっと不思議な感覚。つり橋なら揺れて当然だけど、もちろんこれはつり橋ではない。
高所恐怖症の人はやめておいた方がよいかもしれない。しっかりしていて、安心だし怖くはない筈だけど。
(つづく)
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