那須町をふるさとにした【那須湯本温泉】

11:11
「森のビール園」 のあと、次に車を停めたのは「お菓子の城 那須ハートランド」だった。森のビール園から道路を挟んだ向かい側だ。

https://www.okashinoshiro.co.jp/

巨大な施設だし、那須高原を車で訪れた人は大抵那須街道を通る。なので、存在はよく知られていると思う。

・・・というぼかした言い方をしているのは、実は僕自身ここを訪れたことがなかったからだ。いつも、素通りしてきた。

那須街道の渋滞にウンザリしていると、もう途中の施設に立ち寄る気にならんのですわ。そもそも、そんなに甘い物は好きじゃなかったし。お酒を飲んでいたときは、甘いものは一切口にしなかった。本当に、「一切」だ。

今思うと不思議なくらい、甘いものを毛嫌いしていた。酒と食事以外ではカロリーをとりたくなかった。だからジュースは飲まないし、飲んでもノンカロリーに限る。そして職場の同僚などから「旅行のおみやげ」を配ってもらっても、腐らせるまで放置している有様。それがお酒をやめると、あれよあれよと甘い物を食べるようになった。本当に恐ろしいな、酒って人間の脳を変えてしまう。

そんなわけで、飲酒してました時代は眼中になかった「お菓子の城」にも興味津々なのが、2016年バージョンのおかでんだ。

これがあと10年後、20年後になると「血圧が」とか「血糖値が」とか「尿酸値が」などと違うことを理由に甘いものに興味を失うかもしれない。健康なうちに、不健康になりうる食べ物は嗜好しなくちゃ。

「お菓子の城」というのはそもそも何なのか、よくわからないまま現地にやってきた。グリム童話みたいなものなのだろうか。

到着してみると、なるほど確かにお城っぽい建物がある。そこに、「御用邸の月」という垂れ幕がぶら下がっていた。ああ、なるほど。御用邸の月を作っている工場なのか、ここは。

「御用邸の月」は、わかりやすく言っちゃうと「萩の月」とよく似た洋菓子だ。ふかふかした生地の中にカスタードクリームが入っている。萩の月よりもちょっとざっくばらんとした感じで、値段もこなれているので気安く食べられるのが良い。僕は好きなお菓子だ。

地図を見る限り、「那須ハートランド」と呼ばれる施設の一部が、「お菓子の城」ということらしい。

ほかにもイチゴ農園があったり温室らしいものが地図上に見える。

当然こういう大型観光施設なので、団体様が大勢いらっしゃる。何気なく歓迎看板を眺めていたら、すごいものを見かけた。

「春色もふもふアルパカ牧場ともぐもぐ森のビール園&甘~いいちご狩り食べ放題」

長い!

なんだこのツアータイトルは。無駄に文字数が増えるオノマトペが混ざっている。

形容詞やら擬音を入れることで、より訴求力が高いタイトルにしたかったのだろう。でも、この文字数を募集パンフレットに掲載するとき、ずいぶんデザイナーさんから文句を言われたんじゃなかろうか。「なげーよ」って。「フォントが小さくなって、読めねーよ」って。

それにしても、今でもこういう歓迎看板って観光業界では現役バリバリだよな。当の旅行参加者って、全然この看板のことは気にしないのに。日本人独特の「過剰サービス」の一つだと思う。働き方改革の流れで、こういうのも減っていくんだろう、いずれは。

すげーーーー!

御用邸の月が、バンバン作られているぞ。その量たるや、相当なものだ。いやいやいやちょっと待って、こんなに作ったら、在庫がいっぱいになっちゃう!

でも実際は「作り過ぎちゃいました」なんてことはないわけで、つまりこの膨大な数があっという間に売れてしまう、ということだ。すげえなあ御用邸の月。日本の主要産業として、海外に輸出しているんじゃないか?というくらい、どんどん作られているじゃないか。

これが「ポテトチップスの製造工程」とかなら、大して驚かない。「ああそうだよね、たくさん売れるよね」って思う程度だ。しかし、御用邸の月がそんなに売れているとは思っていなかったので、この圧倒的物量作戦にはただただ、唖然とするしかなかった。

こりゃいいな、観光客に製造工程を見せつけるっていうのはものすごいPR効果がある。「こんなに大量生産されているんだから、美味しいに違いない」と初心者は思うだろうし、「乗るしかない、このビッグウェーブに!」とばかりに買う人は続出だろう。

お菓子の城の二階は、団体様用のお食事会場になっていた。ああ、さすがにここでは「ひたすらお菓子を食ってろよデブ」、という場所ではないのだな。

こういうのを観察するのは大好きだ。舞台裏を見ているようなワクワク感がある。ほほう、お膳には、寿司下駄らしき木の板がセットされている。握り寿司でも出てくるのだろうか?

遙か昔、こういうドライブインのドタバタ接客を特集するドキュメンタリー番組を見るのが好きだった。年に1~2回くらいだろうか、放送されていたと思う。一度に数十人、ときには100人を超える団体がどっと押し寄せるのだから、会場は戦場となる。しかも、週末ともなると客をどんどん入れ替えて何回転もさせるので、素早くテーブルセッティングをやり直すのはお店の生命線だ。ところが、週末の観光地ともなると、渋滞やらツアー客の迷子やらで団体客の到着が遅くなり、そのせいで現場では神業に近い客さばきを強いられることになる、という展開。スリリングで面白かったな。

そういうのを思い出しつつ、この景色を眺めた。

これまでの温泉旅行もそうだったけど、今回もあくまで名目は「療養」だ。最近、すっかり「療養」ではなく観光三昧だけど。療養名目だからこそ、頻度高く温泉に行けている。ボディケアである、という理由になってれば、毎月のように旅行に行くのも気分的に正当化される。

そんなわけで、一応は温泉がメインであり、観光は「温泉地に向かう道中、たまたま近くにあったので、立ち寄る」程度という位置づけになっている。だから、大きくルートから外れたところにある観光地には、行かない。

そんな、しょうもないマイルールに基づいて選ばれた次の目的地は、「今牧場チーズ工房」という場所だった。

https://imafarm.xsrv.jp/

「高原」と呼ばれるところに行ったら、なんだか牧場に立ち寄りたくなるよな。月並み!と我ながら思うけど、実際そういう気分なんだからしょうがない。

ここのフレッシュチーズはとても美味しそうだったので、ぜひゲットしておきたかった。さすがに旅先では食べられないけど、家に持って帰って食べてみよう。

11:38
今牧場到着。えっ、本当の牧場だぞ?とちょっとびびる。観光牧場というわけではなさそうだ。

舗装されていないし、本当にここに入って良いのか、若干心配になるレベル。

そんな牧場の入口には、体操選手がぐるんぐるん回転していそうな、鉄棒のようなものが待ち構えていた。なんだこれ?

はー。「鉄棒」の脇に、答えが書いてあった。

「車両消毒用ゲート シャワーに注意」

だって。この鉄棒状態のところから、シャワーが噴き出てくるのか。

家畜の場合、いろいろ感染症とかあるし、こういうシャワーが必要なのだろう。センサー感知による全自動なのかどうかはわからないけど、うかつに近づくと水を噴射されそうだ。気をつけないと。

やあやあこんにちは。

ホルスタインがお出迎え。「お前だれ?」という顔をしてこっちを眺めている。

すんません、あなたのお腹から出てきたお乳を、ちょっくらいただきに参りました。

そんな牧場の奥に、「チーズ工房駐車場」の看板を発見。

あ、良かった。不法侵入じゃなかった。

チーズ工房があった。小さな入口の、シンプルな建物だ。

チーズ工房では、まるで汲み上げ豆腐のようなパッケージのチーズが売られている。

フレッシュチーズの「ゆきやなぎ」だ。塩入りと、塩なしの2パターンがあるという。そんな選択肢があるのか!とちょっと驚いた。面白い。

おもしろいので、両方とも買ってみた。塩が入っていないチーズは、わさび醤油に浸けて食べると美味しいですよ、と店員さんに教えてもらった。

実際家に帰って食べてみたけど、なるほどこれは面白い。モツァレラチーズに近いけれど、豆腐っぽくもある。塩入りよりも、塩なしの方が気に入った。

わざわざ買いに行った甲斐があったぜ!という食べ物だったけど、この直売所以外でも「ゆきやなぎ」を扱っているお店は那須エリアにあった。ここじゃなきゃ買えない貴重な逸品、というわけではない。とはいえ、チーズの源である牛さんを観察できるので、良いひとときだった。

にゃーん。

駐車場に猫がやってきた。首輪をしていないので野良猫なのだろうけど、ほぼこの牧場に居ついているに違いない。まるまるとしている。牛の飼料を食べて生きているのだろうか?

そういえばお前、白と黒でまるでホルスタインだな。

ひょっとして牛・・・じゃないよな?まさか。

(つづく)

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