「ちょっと、百名山に寄ってくわ」【伊吹山】

12:50
彦根市街にやってきた。

長屋のような横長の大きな建物が並び、その一階部分に小さなお店が多数入居している。ちょっとかわった商店街だ。

城下町だっただけあって、道は地図に描かれている以上に複雑でややこしい。一方通行があったり、変な曲がり方をしていたりする。

ハンドルを握ったまま街の光景に見とれていると、事故を起こしそうだ。

街の散策は徒歩またはレンタサイクルが良いだろう。車でグルグル走り回るのは、慣れない街だし危険だ。

そんなわけで、駐車場に車を一旦停車する。

今回彦根市街にやってきたのは、近江ちゃんぽんの元祖と名高い「をかべ」でお昼ごはんを食べたいからだ。しかしそのお店は商店街の中にあり、駐車場からは結構距離があった。街の散策を兼ねることにして、駐車場からてくてく歩く。

「をかべ」というか、「近江ちゃんぽん」は結構ややこしい話がある。

彦根駅前に「元祖」を謳う「ちゃんぽん亭総本家」がある。しかし、この「ちゃんぽん亭」というのは県外まで視野に入れた他店舗展開をしている企業が運営しており、正確に言うと元祖オブ元祖の近江ちゃんぽんではない。

ただ、元祖の近江ちゃんぽんを出していた「をかべ」というお店を継承する形で発展していったお店なので、「元祖」という言葉に嘘はない。

とはいえ、近江ちゃんぽん発祥の「をかべ」そのものはまだ現存しており、「ちゃんぽん亭」とは違う個人経営でお店が営まれている。彦根出身者2名に話を聞いてみたが、「食べるなら『をかべ』の方だ」と言っていた。

「彦根市民にとって、『をかべ』はソウルフードだ」

とふたりとも力強く言い切っていたが、偶然なのか本当にそういうものなのかは不明。

「ちゃんぽん亭」の味が悪いわけではないはずだが、「経営努力で店舗拡大したやり手のお店」と「創業者のお店」だったら、後者を応援したくなるのだろう。そういうことにしておく。

ややこしいことに、「ちゃんぽん亭」の店頭には「をかべ」の看板も出ている。元祖のお店をリスペクトしすぎているというか、混同を招く見た目になっている。

これだったら、昨日「あんかけちゃんぽん」といった飛び道具級の近江ちゃんぽんを食べるのではなく、昨日今日とで「ちゃんぽん亭をかべの近江ちゃんぽん」と「をかべの近江ちゃんぽん」を食べ比べても良かったかもしれない。

彦根は車でグルグル走り回るには向かない街なので、パーク&バスライドの仕組みがある。

便数は1時間に2本程度。無料だしありがたいのだけど、さっと移動したいときに「30分に1本」というのでは使い勝手が悪い。結局、歩いた。

地図の「現在地」が指し示すあたりに「をかべ」がある。

をかべ。

「元祖 彦根チャンポン をかべ」「彦根チャンポン発祥店」の文字が見える。

あれ?「近江ちゃんぽん」じゃないんだな。

おそらく、「ちゃんぽん亭」が「近江ちゃんぽん」の商標を持っているので、このお店は安易に使えないのだろう。元祖なのに。その結果、「彦根チャンポン」という表現を使っている。元祖なのに。

弟子の経営能力がありすぎて、グイグイ独自にお店を拡大していって、創業者とたもとを分かったのだと推測するけどどうなんだろう。難しいね、こういうのは。

お店としては、居酒屋の様相。「ごぼうの唐揚げ」とか「ウインナー炒め」といったメニューが並ぶ。そして焼酎の一升瓶も並ぶ。

ちゃんぽんおよびその派生商品だけでやっていくぞ!という純血主義はまったくない。シメの料理としてチャンポンがあります、という感じ。

お、チャンポンのメニューがあった。

チャンポン、700円。安い。ミニチャーハンをつけても980円。

「昭和38年創業 彦根チャンポン発祥店」と書いてある。

をかべのちゃんぽん

で、これが彦根チャンポン。

昨日食べたのと違い、「野菜たっぷりタンメン」風の外観。ダシはあくまでも和風で、あっさりと食べやすい。これだけ野菜が入っていて、普通の中華そばと20円しか違わないというのはどういう値段設定だ?

ああそうか、中華そばの場合はチャーシューが入っていて、そこで原価がかかるのか。

チャンポン、おいしゅうございます。摂取カロリーの大小はともかく、野菜をたくさん食べられている感が免罪符になる。後半戦、酢を入れて味を変えると、ますますはかどる。やばい、スープを飲み干すところだった。

(つづく)

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