「ちょっと、百名山に寄ってくわ」【伊吹山】

500台以上の車が停められる大駐車場の傍らに、「スカイテラス伊吹山」というレストハウスがある。

中の様子を伺うのはあとにするけれど、ちょっとだけ軒先の飲み物の値段はチェックしていく。

お茶しか売られていない自販機は壮観。

それにしても、緑茶が多いな。大多数が「伊右衛門茶」で占められ、残りを烏龍茶と麦茶が陣取っている。お値段は、500mlで210円。さすが山上価格。

でもここにやってくる人はみんな車だ。高いお金を払うのがイヤなら、下から持ってくればいい。何も荷物にはならない。

09:29
伊吹山登山口。ここから険しい登山が待っていると思うと、身が引き締まる思いだ。

・・・とはいっても、20分もあれば山頂に到着してしまうのだけれど。横着すぎる。

こういう山は、一生かけて百名山ピークハントをやっていく上では、老いぼれてきた時用に温存しておいたほうがよい。でも、じゃあ今日伊吹山に登らなかったからといって、代わりにどこかの山に登れたか?というとそれは無理だ。恵那山ならワンチャンあるかも?と調べてもみたけれど、あの山は奥深すぎて無理だった。大台ケ原も、大峰山も無理。今なら、ここしかない。

たとえ20分であっても、きっちり自分の二本の足で歩ききり、山頂の大地を踏みしめたい所存。

なにを偉そうに、と思うけど、そういう悲壮なる覚悟をもっって、唇をぎゅっと噛み締めながら一歩一歩前へと進む。

気がつくと、酸素が薄くなっている気がする。まずい、酸素ボンベが必要だったか。

そんなバカな。

いちおう、この駐車場の標高を確認しておこう。

1,260メートル、だって。ありがたいものだな、琵琶湖湖畔の彦根のホテルから、一気にここまで標高が上がったぞ。

このバス停みたいな標識、よく見ると1,260/1,377という分数になっている。つまり、山頂は1,377メートル、ということだ。

残り標高差117メートル!!

その場でジャンプしたら山頂に到着しちゃうんじゃないか?という近さだ。これは楽すぎる。

「死ぬまでに日本百名山を一つでも登ってみたかった・・・」と我が人生に悔いあり、の人ならば、この山に来るといい。

登山道は9の字を描くように作られている。これから僕が登ろうとしているのは、西登山道。

中央登山道を使えば、山頂まで最短距離だ。でもショートカットしようが大回りしようが、どうせ稼がないといけない標高差は一緒。だったら、のんびりぐるっと回り込むルートをとろうと思う。

09:31
西登山道の入り口。あれ。フェンスが設置されていて、扉がついている。

一応扉は開かれているけれど、これは夜になったら閉めてしまうっぽい。別に害獣よけのフェンスではなさそうだし。

「営業時間」と書かれた札が出ていた。そうか、山も「営業」なのか。

この山は8時から19時までの営業、とのこと。それ以外は扉を閉めてしまうようだ。夜中、ヤンキーがやってきて山頂あたりで悪さをしないようにするためなのかもしれない。

なので、伊吹山山頂でご来光を、と思っている人は物理的に無理だということだ。

山頂を目指すにあたって、入山協力金を入れるポストがあった。300円入れてくれ、と書いてある。お、おう。

もういっそのこと、伊吹山ドライブウェイの利用料の中に300円分含ませておいてくれよ、と思うけれど、車1台に何人乗っているかはケースバイケースなのでそれは難しいか。

僕は真面目に払ったけれど、ガン無視してグイグイ中に入っていく人も多かった。

300円かぁ。。。と、予想外の出費で軽くなった財布をさすりながらあるき始める。軽量化が図れたのでよしとしよう。

でも、その300円分の仕事はきっちり登山道整備に使われているのでよしとしよう。

09:43
ゆるゆると歩いていく。特に息が上がるなんてことはない。靴さえボロボロなものでなければ、体力に自信がなくても登れる。

ほら、もう山頂付近が見えてきた。

09:44
木道が出てきた。

正面に三角屋根が見える。たぶんあのあたりが山頂なのだろう。山頂直下の茶店のはずだ。

木道から逸れるルートで、「びわこ展望台」と書かれた案内標識があった。ちょっと立ち寄ってみよう。

09:46
びわこ展望台からの景色。

ちょっと霞んでしまっているけれど、雄大な琵琶湖のおかげでバーンと眺望がひらけている。伊吹山の西側は、真っ平らだ。これはすばらしい眺望。気持ちがいい。

折り重なる山々、という景色もいいけれど、こうやって一気に平野になる、独立峰からの山からの景色はもっと好きだ。伯耆大山とか、鳥海山を思い出した。

記念撮影。

でも、琵琶湖も写っていないし、なにを「記念」しているのかよくわからない写真になった。サングラスのおっちゃんがガンを飛ばしている写真に。

(つづく)

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