「ちょっと、百名山に寄ってくわ」【伊吹山】

ホテル併設居酒屋で、のんびり平凡な居酒屋メシを食べるのも良かったけれど結局外でご飯を食べることにした。なぜなら僕はお酒を飲まないので、車の運転など屁でもないからだ(キリッ)。

何を今更、と思うかもしれない。でも、僕は未だにこういうとき「お酒を止めて本当に良かったなあ」と思う。つくづく、しみじみ、そう思う。

もちろん、TPOに応じて、適度にお酒を楽しめるんなら、断酒というのはとても残念なことだ。飲めるんなら、飲めるにこしたことがない。場が楽しくなるから。

でも、僕がお酒を止める直前なら、「当然旅先だし、お酒は飲むっしょ!車でお出かけ?うーん、飲酒運転になっちゃうなあ、うーんうーん」とひたすら悩み、泣く泣く今日はお酒を諦めたとしても、不平不満が色濃く記憶にとどまると思う。「車ででかけてまで、美味しいものを食べた」という喜びよりも、「車ででかけたせいで、お酒が飲めなかった」という恨みの方が強くなる。じゃあなんのための外出なんだ、ってことだ。

アルコール依存一歩手前までくると、そういう思考回路になっていく。だからこそ、間一髪でお酒が止められてよかったと思っているのだった。

もうお酒を止めて久しい。そろそろ、一杯くらい飲んでもいいのでは・・・?とは、全く思わない。そうやって、またアルコール漬けの日々に戻っていった人を僕は何人も実際に見てきたし、体験談を聞いてきたからだ。

話を戻す。

この日目指したのは、「三平」というお店だった。ホテルから車でちょっと行った場所にある。

職場の同僚で彦根に実家がある人がいて、その人が「彦根はちゃんぽんが美味しいのです」と言っていたからだ。

ちゃんぽん?

長崎、じゃなくて?彦根でちゃんぽん?

聞いたことがない。そもそもちゃんぽんというのは、野菜とともに海鮮の具が乗っているイメージがある。彦根のちゃんぽんだと、鮒でも入っているのだろうか?そんな馬鹿な。

興味深いから、食べてみることにした。せっかくだから、今晩と、明日のお昼の2回。

明日は、伊吹山を下山したら食べに行くつもりだ。「ちゃんぽん亭をかべ」というお店が近江ちゃんぽんの元祖といえるお店らしい。そこに行く。

今日は、まずは別のお店で「近江のちゃんぽんとはなんぞや?」というのを体験してみようと思う。それで、三平。

このお店は、「あんかけチャンポン」がおすすめらしい。

まずはオーソドックスなチャンポンを食べてみよう、と思っていたけど、おすすめされちゃうとどうしても気になってしまう。あんかけ、というのはちょっと珍しい食べ方なんだとは思うけれど。

ちゃんぽんを食べる気満々でお店にやってきたのだけど、「とんかつ定食」「とりから定食」にグラグラ来てしまうわたくし。

しかもとりから定食は700円にして「ボリューム満点」と書いてあるし。

とりから定食の誘惑をぐっとこらえ、なんとかあんかけチャンポンにたどり着く。

が、隣にチャーハンが。

しまったァァァ。つい頼んでしまった。

「半チャーハンセット」が300円であったもので、つい。出来心なんです。

いや、お前の全ての行動は出来心で成り立っている。何を今更。

ノンアルコールビールで流し込むラーメンとチャーハン、うめぇ。

あんかけなので、「なるほどこれが近江のチャンポンなのか」ということがわからないけれど、なるほど「長崎ちゃんぽん」とは違うものだな。

麺が細い。ちゃんぽん麺というのは、不文律としてなんとなく太めの麺のイメージがあった。でも、少なくともこのお店は違った。

あと、決定的に違うのがスープの出汁だ。とんこつじゃないんだな。和風だしだ。

じゃあなにがどう「ちゃんぽん」なのかというと、野菜が沢山乗っているということなのかもしれない。

ではラーメン二郎もちゃんぽんの一種なのか?という疑問が湧いてくるが、ラーメン二郎は「ラーメン二郎」という食べもののジャンルなので、ちゃんぽんでもラーメンでもない、というのが正解なんだろう。

ちゃんぽんをすすりながら自撮り。

ときどき、こうやって自分の姿を出しておく必要がある、と最近改めて思っている。

歳とともに老け顔になってきて、写真として厳しくなってくる外見だ。でも、一連の旅行記の中で「自分」が登場しないと、いくらたくさんの写真を掲載しても「ネット上でたくさん見つかる、写真のうちの一つ」に過ぎなくなる気がする。

だから、旅行記の中で「自分」の写真が登場させることで、署名をした、という「自己存在証明」をしている気になる。

あれっ、唐揚げさんチワーッス。

定食を頼むのは野暮ってことで、つい単品を頼んでしまった。

やりすぎだろういくらなんでも。ちゃんぽん、チャーハン、唐揚げ、ノンアルビール。

それだけ、今すごく開放感がある気分でご機嫌である、ということだ。

ホテル滞在って、温泉旅館以上に開放感がある。というのも、狭い部屋ではできることが限られ、「あれもしようこれもしよう」という気が起きなくなるからだ。そういう制約があるからこそ、「部屋に戻ったらもう寝るしかないかな」という諦めになる。生きることへの諦めこそが、むしろ肩の力が抜けて気分がいい。最近の僕は、本当にそうだ。

で、その結果、つい夕ご飯を食べすぎてしまっている。これは「生きることへの執着」なのではなく、「諦め」の結果だ。そこは誤解のないように。

2017年11月05日(月)

日本の夜明けぜよ。

近江あたりって、すごく広い平野があるんだな。

朝風呂に入りに行く。昨晩も入ったけど。

朝風呂。

シンプルなお風呂だけど、大浴場に浸かることができるのは本当に素晴らしい。ああ、これから山に登るのがいやになっちゃうな。ゆっくり彦根城見物でもしようか。

そんなよからぬことを考えてしまう。

とはいっても、「山に登る」のは、その殆どを車利用で、なんだけど。なにせ山頂直下に駐車場がある日本百名山、それこそが伊吹山だから。

よからぬことを考えていたバチで、お風呂から出てみたらスリッパがなくなっていた。

誰だよ、僕が使っていたスリッパを持ち逃げしたやつは。

「しめた!風呂場に誰もいなくなったぞ!」

と風呂場の写真を撮影できたのはラッキーだったけど、人気がなくなった大浴場にはスリッパさえもなくなっていた。やめてくれ。

おかげで僕は、朝食会場まで裸足でペタペタ歩いていく羽目になった。足の裏が冷たい。

従業員さんに「スリッパを持ち逃げされました。貸してください」といえば用意してもらえるだろう。

でも、いちいちそのためにちょっと待たされるのは面倒だし、もういいや、と朝ごはんに向かう。

しかし、スリッパや靴で歩くことを前提に作られたタイル張りの床なので、裸足の足には相当こたえた。これはやめておいたほうがいい。新手の健康法として、足の裏を冷やしたほうがいいという御高説を唱えるのならまだしも。

朝食会場だ!

バイキングだ!

ウキウキ!

それにしても人間不思議なもので、「玉子焼き」と「ふわふわオムレツ」だったら、「ふわふわオムレツ」の方が美味しそうに感じるものだ。僕?うん、どっちも取るけれど。

そんなわけで、ドリンクから食べ物から、ほぼ全部を網羅した状態が出来上がった。ルートイン彦根の朝食ビュッフェ、完成。

我ながら壮観だ、飲み物が5種類もあるぞ。おかずが多いということにドン引きするよりも、むしろ飲み物の数にドン引きだ。

あと、ご飯とパンが何気なく並んでいるというのも、よく考えるとおかしい。

さすがに先ほどの俯瞰した写真は僕でさえ恥じらいを覚えるので、もっとグッと寄った角度で朝ごはんを再撮影。

うん、これなら「一日30品目を目指している人の食事」って感じがしない?・・・しない、か。やっぱりな。

(つづく)

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