
13:19
15時前に米原駅を出る新幹線で、東京に戻る予定だ。案外時間が残されていない。彦根にいられるのは、あと1時間もないので、慌てて彦根城を目指す。
途中、「四番町スクエア」という一角を通り抜ける。
一見普通の民家が並んでいるだけのようだけど、1階部分は観光客向けの施設になっているところが多い。

琵琶湖の湖畔にある町ということもあって、「鮒ずし」ののぼりが見える。
原始的な寿司の形態を今の時代に引き継いでいるものであり、発酵食品としてかなり癖が強い食べ物だと聞いている。その噂に恐れをなして、未だに一度も食べたことがない。
食わず嫌い、というわけじゃないんだけど、食べる機会がないからだ。じゃあ今回買えばいいじゃないか、って?うん、えーと、まあ今回はパス。
酒飲みだったら、こういう癖の強い食べ物をアテにして飲む、なんてできるかもしれない。でもお酒を飲まなくなってから、俄然「癖の強い、地方の強豪選手」と対峙するガッツが減ってしまった。
そういえば、未だに栃木の「しもつかれ」も食べたことがないし。

13:20
夢京橋キャッスルロード、という大きめの道に出た。街路樹が植えられ、道路脇には観光客向けのお店が立ち並ぶ。
予備知識を仕入れず、ぴょこんと彦根にやってきたので、ここが彦根観光の中心エリアなのか、そうでないのかよくわからない。ひょっとしたら、JR彦根駅から彦根城に向かう道こそが観光地なのかもしれない。
そういうのを、わからないなりにグダグタと街を歩き回るのが楽しい。「るるぶ」や「まっぷる」を予め読んでしまうと、観光地を「面」で楽しむのではなく、「点」で楽しんでしまう。あんまり事前学習はしない方がいい、というのが2010年代後半のおかでんが至った境地。
ただし、「観光地を面で楽しむ」ためにはそれなりの時間が必要となる。
・・・今回は時間がないんだよ!全然足りねェんだよ!
しょうがないので、スタンプラリー完遂の戦利品である「三成めしお食事券」をゲットすることに注力する。

13:21
彦根には、「近江牛」という食のアピールポイントがあるのが強い。
やっぱり、風光明媚だろうが温泉が湧いていようが、ご当地メシとして威張れるものがあるかないかは大事だ。人間って、食べることで記憶と喜びが補強されるから。
その点、「近江牛」というのは強い!日本三大和牛の一つだ。これをあれこれ展開すれば、和食でも洋食でも、なんならデザートでも、売りにできる。お土産にだってなる。
ちなみに、アワレみ隊は昔「日本三大の旅」という企画をやった際、「日本三大和牛」を求めて旅をしたものだ。

しかし、時間切れのため、「松阪牛」しか食べられず、「近江牛」「神戸牛」には間に合わなかった。
日本三大の旅は2004年の出来事。13年後の2017年になって、ようやく食べられそうだ。
えっ、さっき彦根チャンポンを食べたのに、これから松阪牛?
さすがに無理か?

このあたりのお宅は、うだつが上がっているのだな。ただ、形式的についているという感じで、「オラァ!うだつを上げたぞこのやろう!」と周囲を圧倒するような作りにはなっていない。
マンションの隔て板(通称:ペラボー)みたいなものだ。

13:24
おっと。人だかりができているお店があると思ったら・・・近江牛だ!

近江牛コロッケじゃないですかやだもー。
「近江肉は中山道を江戸へ」という、謎なのれんがかかっているけど、いずれにせよコロッケのテイクアウトができるのは素晴らしい。

やや?
「近江牛コロッケ100円」
安いやんけ!近江牛が混じってます、程度だとしても、安い。旅情を掻き立てられる。その大半がじゃがいもで、牛肉少々であっても許す!
・・・と思ったら、そういう消費者心理をお店は見越していた。
「近江牛プレミアムコロッケ250円」
まじで。2.5倍の値段になるのか。これは挑戦だなあ。「さあ、お前ならどっちを取る?」と。
「あなたが落としたのは金の斧ですか銀の斧ですか」と聞かれているようなものだ。

どうやら、プレミアムのほうは「近江牛具材比率50%」なんだそうだ。「黄金比率」とまで言い切っている。逆に言うと、100円のコロッケは、近江牛の比率はかなり少ない、ということになる。まあ、コロッケだからそりゃそうだ。ひき肉だらけになると、それはメンチカツになる。
で、メンチカツが食べたければ300円でどうぞー、という値段構成。ううむ、どうしよう。

どうしようもこうしようもない。
「近江牛が入っているっぽい」ものを食べて満足できるわけがないじゃないですか。空腹で倒れそうなわけはないんだし。単にカロリー過剰摂取で太っておしまい、じゃ駄目なんですよ。1位じゃ駄目なんですか?と問われたら、駄目なんですよ、と答えたい。
というわけで、プレミアムなコロッケを食べる。うまー。
(つづく)
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