この記事は「鋸南町狩猟エコツアー」の番外編。
「被害対策ワークショップ」の最後におみやげとして頂いたイノシシ肉のかたまり。これを自分ひとりでニヤニヤしながら食べるのはあまりにもったいない。かといって、誰かにプレゼントしても「どうもありがとう」と社交辞令的にお礼を言われておしまいだ。
なので、友達を家に招き、イノシシ肉をさばいて、調理して食べる会を企画した。
こういう時、友達が誰でも良いというわけではない。イノシシ肉がそもそも好きである人が必須だし、なかなか手に入らない貴重な肉であるということを理解し、さらにそのブロック肉があることに驚きと興奮を感じてくれる人でないと困る。
そんなわけで、というかなんというか、2名の方にお越しいただいた。といっても、うち1名はのちに僕と結婚することになる「いし」だ。この頃は付き合いはじめのころで、まあ、端的に言うと「意中の人と会う良いきっかけ」だったということだ。
で、そのいし繋がりで、栄養士の友達に来てもらった。
二人が家に来る前に、小さな肉の塊の方は一口大にカットして酒に漬けておいた。から揚げにしようと思っているのだけれど、イノシシ肉だと随分固そうだからだ。予め柔らかくしておかないと。
しかし、メインの大きな肉のほうはバラさないでこの日を迎えた。冷蔵庫で解凍すること2日、ようやくしっかりと生肉に戻った。
手で広げてみると、このサイズ。でかい!
で、せっかくの来客なんだけど、栄養士さんに肉をさばいてもらう。
「私、栄養士の資格は持っていますけど料理は苦手ですよー」
と言っていた。
なるほど、謙遜も含まれているとは思うが、確かに栄養士って調理師とは別の存在だ。献立を考えたり栄養バランスを考慮する仕事であって、包丁さばきが得意であるのは必須ではない。
とにかくイノシシ肉は弾力がある。それを、家に初めてきてご挨拶も早々にカットを依頼するのは恐縮だった。でも、きっとこの栄養士さんもデカいイノシシ肉に興奮しているに違いない。
包丁の切れ味がもっと良いものを用意できればよかった。一応ドイツ製ヘンケルス社の包丁ではあるんだけれど、分厚い肉を前に随分と苦労していた。
なんとかカットした肉。
いい色だ。
今回は、「イノシシ肉のから揚げ」と「ぼたん鍋」の2つを作ることにしている。
こちらはぼたん鍋製作中。
で、出来上がったぼたん鍋。味噌味。
食べてみたけれど、ものすごく肉が固くて難儀した。弾力がありすぎる。筋張っているわけじゃないんだけれど、顎のちからが必要となる。
うん、イノシシ肉は薄切りスライスにしないと食べづらい。さすが野生動物だ。
一方こちらは分厚い脂身が特徴的な小さい方の肉。
から揚げにして食べる。
この日の食卓。
電気フライヤーがあると、こういうとき便利だ。
翌日、残った肉はぼたん鍋にせず、じゃがいもを入れてカムジャタンにして食べた。これはこれでうまいんだけど、一晩置いてもまだ肉が硬い。さすがイノシシ。
逆に言うと、家畜である豚という生き物がいかに「人間様に食べやすいように、品種改良されているか」ということだ。
から揚げにしたほうは、予め肉を酒で漬けておいたので比較的柔らかく食べやすかった。ただし、一口大のサイズのから揚げで、中までしっかり火を通して寄生虫を確実に駆除するのは火加減が難しい。あまり一般的な食べ方ではないと思う。
なるほど、ジビエ最高!といっても調理法とかいろいろ工夫がないと食べづらいんだな。でもむしろ、開発しがいがある世界なのかもしれない。
一連の害獣についての学びはこれにて一旦終了。機会があれば、またワークショップ参加や本腰のお手伝いや、この世界に関わりを持ち続けたいものだ。
(この項おわり)
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