旧しぶちょお邸があった建物。
学生時代、名古屋のしぶちょお宅は「交通の要衝」として重宝された。貧乏学生だった当時は、帰省といえば青春18きっぷを使った鈍行列車だ。当時埼玉に住んでいた僕は、広島に帰省する際、この名古屋の地を経由することがよくあった。
神島合宿当時は、しぶちょおはたんなる本名の人だったが、後に「(名古屋)支部長」を標榜し、「しぶちょお」を名乗るようになる。なお、名古屋支部とは、現在ではちぇるのぶ、ひびさん、そしてしぶちょおの3名によって構成されている。
そんなしぶちょお宅だが、ビル全体が取り壊しとなり、今では違う建物になってしまっている。これもまた、時代の流れ。20年っていう時間の重みは伊達じゃない。よっぽど筋が通ったものじゃなけりゃ、変貌を遂げる。
1993年、アワレみ隊が神島に向け出発する日の朝。
しぶちょお宅の前で撮影したもの。じゃがいもやビールといった重たい食材まで全て名古屋で調達し、神島に持ち込んだ。そのため、相当重たく、なおかつかさばる荷物となった。
2013年、ほぼ同じ場所で撮影。
ビルが建て変わったため、当時の入口の場所が正確には分からなくなっている。そのため、「だいたいこの辺・・・?」というあたりで撮影をした。
1993年当時は、「写ルンです」で撮影をしている。三脚はないし、セルフタイマーも当然ない。そこでおかでんが撮影を担当しているわけだが、そのためにおかでんが写っていない。2013年になれば、当然三脚もセルフタイマーもあるので、居合わせている4人全員がきっちりと写真に収まっている。これも地味だけど、時代の進歩だ。
(現在住んでいる)しぶちょお宅に戻り、この後20年前のおさらい。PCの画面ををHDMIケーブルで大型テレビに映し、神島旅行の際の写真を見返したり、当時の各種資料を読み返したりして思い出話に花を咲かせた。
明日は、その「思い出話」の現在進行形を目の当たりにすることになる。それは残酷な現実か、それとも、変わらない日常なのか。とても楽しみだ。
ちぇるのぶが家に帰り、われわれも風呂に入ってから就寝準備。24時、就寝。おやすみなさい。明日は早起きしなければ。
2013年05月04日(土) 2日目
04:38
朝4時起床。身支度を済ませ、4時半には家を出る。歩いて、レンタカー屋さんに向かう。眠いはずなのだが、気が張っていてさほど眠気を感じない。さあ、今日は車で鳥羽までいって、それから神島を目指そう。途中、答志島にも立ち寄って、お昼前に神島着の予定だ。お昼ご飯を食べたのち、島をゆっくりと一周回り、昔と今との違いを感じるつもりだ。そして、夜は宿で海の味覚を満喫。20周年記念宴会だ。
04:48
徐々に明るくなってくる空。5月にもなれば、4時台でも明るいんだな。
そんな中、つばめがなぜか地面に座り込んで休んでいた。電線かどこかに掴まっているよりも、地面の方が楽ちんなのだろうか?珍しかったので、写真を撮っておいた。おーい、車に轢かれるなよー。
04:51
24時間営業のレンタカー屋さんに到着。
24時間営業だなんて、深夜に一体誰が車借りるんだ?と思うが、どっこい、こうやって早朝に車を借りるというニーズが結構いっぱいあるようだ。現に、まだ朝5時前だというのに、車を引き取りにくる人がそこそこ訪れていた。朝からレンタカー屋さん大忙し。
05:05
手続きを終え、車を受け取る。
「お?レンタカーにしては珍しく、黒い車だ!」
まるでハイヤーのような気分だ。
05:07
この面子の場合、無条件でしぶちょおがハンドルを握り、助手席にばばろあ、そして後部座席におかでんが座る。特に決まりはないのだが、なんとなくそういう事が多い。
今回はハイヤー気分なのでおかでんは後部座席で一人反っくり返り、ゴージャスな気分を想定してみる。・・・うーん、無理だ。カローラクラスの車でそれをしろ、というのはちょっと無理がある。
車はまず、ちぇるのぶの自宅に向かう。そこで彼を拾ってから、一路、神島の玄関口である、鳥羽へ。
05:17
ちぇるのぶと合流し、今回の旅メンバーが全員集合。
せっかくなので、ここで写真を撮っておく。
「まるでこれからサイコロを振るみたいだな」
と誰かが言った。確かに、この写真だけを見ると「国道走破サイコロの旅」を想起させる。後ろに、行き先案内の青看板があるし。
今またあらためて「サイコロの旅」をやってもよいのだが、マンネリになるだろうから、新鮮なステージが欲しい。どこか、噛みつき甲斐のある、奇抜な迷路のような国道がある土地はないものだろうか。
05:48
車は名古屋高速から東名阪自動車道に入る。最終的には伊勢自動車道に向かい、伊勢からさらに下道で鳥羽を目指す。
ゴールデンウィーク中ということもあり、既に一部の高速道路では長い渋滞が発生しているようだ。しかし幸い、われわれの行く先には遮るものがなく、アワレみ隊の20周年を祝福しているかのようだった。
考えすぎだけど。いちいちこんなので「祝福されている」と思うなんて、相当おめでたいぞ。・・・いや、実際おめでたいし。おめでたくて何が悪い。
06:17
渋滞に巻き込まれず、予定より大幅に前倒しして鳥羽に到着できることを確認したわれわれは、安濃SAでいったん休憩をとることにした。まだ朝食を食べていないので、ここで朝ご飯を食べることにする。
「えっ?これからみんな朝ご飯食べるん?オレ、さっき家で食べてきちゃったよ」
と驚くちぇるのぶ。今日、こんな早起きして、用意周到に朝ご飯なんて食べているものか。途中のSAで食べるか、それとも鳥羽についてから何か適当に食べるかするだろうってことくらい、想像できなかったのだろうか。でもそれがちぇるのぶらしいといえば、らしい。あと、律儀に朝5時前に朝ご飯をきっちり食べているというのは、それはそれで素晴らしい習慣だと思う。
06:22
お土産物コーナーを物色してみると、たくさん「伊勢うどん」が売られていた。まさに、「山積み」。ちょっと前まで、伊勢うどんなんてさほど知名度が無かったローカル食だっただろうに、今や赤福に次ぐ伊勢の名物だものなぁ。
伊勢うどんは、知名度だけが先行している。「驚くほど、コシがないうどん。」として知られているが、じゃあ実際に食べた事があるか?というと、ほとんどの人が食べた事はない。だから、お土産として買うにはちょうど良いのかも知れない。珍しいもの好きの人にあげたら、喜ばれそうだ。
伊勢うどんのサンプル丼が置いてあったが、生玉子が割り入れられてあった。伊勢うどん・釜玉というわけか。こういう食べ方もあるのだな。
うーん、買おうかどうしようか、悩む。しばらく思案した末、結局買わなかった。誰にこれをあげれば良いか、とっさに思いつかなかったからだ。
06:22
安濃SAには、焼きたてパンのお店があった。まあ、最近のSAではよくある光景だ。
しかし、「珍しい光景」もそこにはあった。
「安濃サービルエリア限定 伊勢うどんgaパン 200円」
なんだこれは。パンの中に、伊勢うどんが入っているのか。炭水化物in炭水化物。名物をとりあえずパンの中にぶちこんでみました、という強引さがいい。くっそう、こんなもの食べるのはある意味ルーザーだと思いつつも、猛烈に惹かれている自分がいる。
06:25
さらにさらに。「松阪牛すじカレーパン 350円」だって。これまた、ご当地色を全面に出していて、惹かれるなあ。しぶちょおは、
「350円?高っ!」
と一瞥していたが、こういうのをスルーできないのがおかでんなのだった。きっと、これを買ったって「しょせんは普通のカレーパン」に過ぎない。350円を払うのは、やり過ぎだ。でもね、旅情ってもんはそういうもんじゃないんですかァァァァァ。こんな買物をしてるようじゃ、貯金が貯まらない?ああ、貯まらないさ、そうともさ。食べなくたって後悔しないはずだけど、でも、食べたっていいじゃないか。
06:26
というわけで買ってしまった。目についた、二つとも。こらえ性がないな、我ながら。
左が「伊勢うどんgaパン」、右が「松阪牛すじカレーパン」。
三重県の美食、勢そろい!・・・ということにしておこう。朝から豪勢だ。
06:32
伊勢うどんgaパンの断面図。
松阪牛すじカレーパンの断面図。
味?いやー、絶品!これは断然お薦め!というものではないな、あらかじめ想像はついていたけど。
伊勢うどんgaパンは、案の定炭水化物同士の組み合わせなので、なんだか重たい感じだった。腹持ちはいいかもしれないけど。小麦粉だらけ。コシがない伊勢うどんなので、具に歯ごたえがない。だから、微妙な食感であったよ。
松阪牛すじカレーパンは、さすが松阪牛だけあって、そこそこうまい。・・・といっても、牛すじがそもそも美味いんだ。「松阪牛の」牛すじである必然性があったかどうかは、よくわからない。というか、松阪牛でなくても、牛すじならとりあえず美味かったと思う。でも!それでも!「三重県を旅する旅人」である僕が今、ここで食べるからこそ、意味があるんだ。きっとそうだ。ごちそうさま!
06:32
しぶちょおは、軽食コーナーで「伊勢うどん」500円也を購入していた。
「明日、伊勢神宮に行った際に本場のやつを食うのに・・・」
と口を挟んだが、彼によると、SAで食べる伊勢うどんというのも乙なものらしい。
具は、鰹節、刻み海苔、かまぼこ、葱というシンプルなもの。
表面は白いうどん。たれは底に沈んでいるので、よくかき混ぜてから食べるのが伊勢うどん流。
500円でこれなら、まあいいんじゃないでしょうか。おかでんも一口試食させてもらったが、なんとも微妙なうどんだな、これ。「コシがない」ということはあらかじめ聞いていたので、それを前提に食べると「あ、こんなものか。」という気になる。箸で掴んだだけでぐずぐずに崩れるくらいのうどんかと思ったが、さすがにそこまでのものではない。ただ、非常に柔らかいのは事実で、ふわふわした感じがする。病み上がりにはちょうどよいかも・・・と思ったが、いやいや、たれが結構濃いので、これを病み上がりに食べるのは向かないかもしれない。そんな、微妙なうどん。
06:41
食事を終え、車に戻る際にSAの片隅にこんなものを発見。
「新種発犬!!」
と書かれた、パネル。顔を出して、どうぞ撮影してください、というものだ。
こういうのを見ると、がぜんやる気になるのがわれわれ。撮らずにはおれんよ、もう。年甲斐もなく?いや、それを言うな。多分僕らは、60歳になっても同じ事、やるよ?
このパネルは、犬の絵の顔部分がくりぬかれたものだった。ちょっと今までにはないパターン。お犬様になれってか。
06:41
早速挑戦。
写真上:ドーベルマンおかでん。
写真下:セントバーナードしぶちょお。
思ったよりも面白くなかった。人が、人のパネルに顔を出すなら、変身感があるのだが、犬に変身となると唐突感がありすぎる。全然マッチしないのだった。
「それにしてもなんだこれ。もう少し高い位置に穴が開いてればいいのに」
「これ、犬が顔を出すためにあるやつじゃないか?」
「あっ、そういうことか!だから、オレ四つん這いになっちゃったのか」
今更気がつく。
07:36
順調に車は進み、佐田浜港に到着した。
JRおよび近鉄の鳥羽駅前にある港のことを、「佐田浜港」という。紛らわしいから「鳥羽港」にして欲しいのだが、20年前も同じく佐田浜港だったので、歴史ある名前なのだろう。
車を、港近くの「佐田浜第一駐車場」に駐める。一泊車を駐めたらいくらだったかな?ちょっと覚えていないが、島に宿泊する人は割引が適用される場合があるので、宿に確認しておくのが吉。馬鹿正直にこの駐車場に車を駐めていると、結構な額になる可能性がある。
07:38
駐車場から、佐田浜港ターミナルを目指す。
「こんなとこ、歩いたっけ?」
20年前の話だ、記憶は相当断片的だ。
「道が新しいから、きっと新しく埋め立てたところだろ」
「そうか、20年も経てば、埋め立てもするし、ターミナルも移転するのか」
20年前ここを訪れた際は、鳥羽駅近くにあるガソリンスタンドでホワイトガソリンを購入したっけ。ランタンとストーブ用の燃料として、だ。下見の段階で、ホワイトガソリンが手に入るかどうかを確認していたので、その点は安心だった。2013年の今、あらためて駅前を確認してみたら、そのガソリンスタンドは今でも健在のようだった。おお、頑張っているな。でも、今もまだホワイトガソリンを扱っているかどうかは、不明。普通のガソリンスタンドじゃ、ホワイトガソリンなんて取り扱ってはいない。
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