激辛グルメ駅伝2022

サフランの「世界一辛いカレー」を難なくクリアした僕らは、ほっとして感想戦に入っていた。

いくら辛い料理とはいえ、3人で1皿をシェアすると耐えられないことはない。また、同じ料理を「せーの」で食べるので、謎の連帯感が生まれてている。心あたたまるひととき。

「折角だから、もう僕が先週食べ終えていて今日の対象外にしていた『TRATTORIA BUBU』もいっときますか!」

ほっとした勢いで、ついこんな提案をしてしまった。というわけで

番外編 TRATTORIA BUBU

先週、手足口病で悶絶していたときにおかでん一人が食べたお店。そのときは「悪魔風エビのペペロンチーニ」の「デス辛」を頼んだけど、案外平気だった。

じゃあ今回は、「激辛地獄のアラビアータソースのペンネ(デス辛)」を頼んでみた。

すると、見るからにやばそうなやつが出てきたー!

ああこれはいけません、食べる前からわかる、「やばいのを引き当てちゃったぞ、おい」という料理。色がまさに激辛。

「わたし、ものごとはハッピーエンドで全然いいんですけどね」

いしがぼやく。つまり、このペンネを食べるとバッドエンドルートに乗ってしまう、ということが彼女なりにわかってしまった、ということだ。

みんな小腹は満たされているわけだし、なにもここでペンネを食べる必然性なんてなかったのだけど、つい買っちゃった。買ったからには食べなくちゃ。

で、激辛。案の定の、デス辛。あいたたたた・・・。3人ともが「あーーーーー」とうめき声を上げて、顔をしかめてしまった。声を出さないと、痛みの感覚が身体に留まる気がするからだ。声を出すことで空気中に辛さ成分を放出するような感覚。

「これは最後の最後でッ・・・」
「今日の印象すべてをひっくり返す内容ですね」

いしはこのあと「胃がもたれる、最後のは蛇足だった」とぼやくことしきりだった。寝る前に牛乳を飲んで、胃袋をなだめていた。

というわけで、第4区間は7店舗+おまけ1店舗を3人でクリア。「3人だからこそ食べ切れた」というギリギリの辛さのものから、「案外余裕だな?」というものまで、バリエーションに富んだ激辛を楽しめたと思う。良い1日だった。

ちなみに、激辛グルメ祭りの帰り道に参加者同士「おしっこをしたら尿道が熱い!」とキャッキャするのが毎年の常だ。でもその話を女性であるいしにしたら、「尿道が熱いと感じたことなんて、これまで一度もないですよ?」と言われた。え、マジか。

僕の大げさな勘違いだろうか?と思って、冷静沈着なゆうどんさんに「どうですかゆうどんさんは?と聞いてみた。すると彼も「やっぱり熱くなりますね」という。ほら、やっぱりそうだ。

つまり、構造上尿道が長い男性だと、「尿に含まれるカプサイシン成分で尿道が熱く感じる」ことはあるけれど、女性は感じにくいのかもしれない。それとも、いしが単にまだ激辛料理をガツンと食べていないから、そういう体験に到達していないだけなのか。

2回参加してくださったゆうどんさんはこれにて激辛グルメ駅伝は離脱。ありがとう!ずいぶん助けられました!

残り2区間。さて、無謀とも言えた全42店舗も残すは11店舗で終わりが見えてきた。

第5区間 2022年09月26日(月)

第4区間から1週間と空けずに第5区間。今週は変則的な開催だ。複雑に入り組んだ各店舗の出店スケジュールを踏まえると、今週は月曜日と木曜日の2回、現地訪問をすることになる。それでこの企画は終了だ。

第5区間の対象となるのは4店舗。

もっと店舗数が多いタイミングで一気に食べたかったが、それぞれのお店の出店日程とにらめっこをしたら、この日にこの店舗数で手を打つしかなかった。そのかわり、4店舗となれば一人でどうにかこなせる数だ。おかでん一人で会場入りすることにした。

本当は、いそぺちさんという方が夜ならば参戦可能、とご連絡をくださっていた。しかしこの日の僕は夜の都合があわず、申し訳ないけれどいそぺちさんと伴走ができなかった。弊息子の保育園迎えやら風呂・食事を用意しなくちゃいけない僕にとっては、むしろ昼開催のほうが都合がつきやすい。

次回最終区もいそぺちさんは参加表明をしてくださったので、9/29(木)は夜の開催で華々しく終了させたい。そして最後のご褒美で、会場内に売られているHIROTAのシューアイスを買って食べたい。

そんなわけで昼に会場入り。

昼は夜とくらべて空いている・・・と思っていたが、さすがに会期後半にもなってくると認知度が上がってきたらしい。会場内はけっこうお客さんが多かった。

今回は、「Earth Eats」「蒙古タンメン中本」「宇都宮餃子館」「四川料理 京華樓」の4店舗を楽しむ予定だ。あわよくばお持ちかえりにしたいけど、お持ち帰りが容易な蓋つき容器を用意してくれているお店がどれほどあるかな・・・もはや全く期待はしていない。第一区間のとき(4品お持ち帰り)が異常だったんだ。それ以降、蓋つき容器のお店は絶滅危惧種だ。

本日買ってきた料理4品。緑色が全くない、という清々しいまでの激辛料理だ。

32店舗目 蒙古タンメン中本

会場入口近くのお店から先に買い出しを始めていたのだけど、ふと会場の奥を見てびびった。

えっ、中本、大行列じゃないか。その列は会場の外まで続いていて、大人気壁サークル状態だ。ざっと数えて、その人数は40名以上。

蒙古タンメン中本は「辛いラーメン」というニッチなジャンルにもかかわらず他店舗展開を実現し、セブン・イレブンではカップ麺やチルド麺を販売したりと独特の存在感を放っている。テレビのバラエティ番組で激辛料理チャレンジ企画の場合、登場するゲストが「蒙古タンメン中本はよく食べます」なんてことを言う。「辛い料理が好きかどうか」のバロメーターとして信頼されているお店、それが中本。

このお店はチェーン展開しているけれど、各店舗の店員さんやメニューにちょっとした個性が加わっていてラーメン二郎的な要素もある。店主を中心とした擬似的な家族みたいに各お店がつながっているのが特にそういう印象を与える。つまり僕好みだ。

できればもっと頻度高くこのお店に通いたいと思っている。でも他店舗展開しているくせに、どのお店もいつも大行列だ。需要と供給のバランスがいまだに整っていないのだから恐れ入る。本当に愛されているお店だ。

でも、だからといってこんなに行列を作らなくていいじゃないですか。お店としては圧倒的メジャーであって、「まだ見ぬ強豪」じゃないんだから。みなさん、あの「中本」ですよ。池袋にいたっては東口西口にそれぞれ1店舗あるようなお店ですよ。珍しくないのに、ここで並んじゃいますかそうですか。

今回の激辛グルメ祭り全42店舗のうち、僕が一番「おっ!これは!」と思ったのがこの「蒙古タンメン中本」だった。2013年の第一回開催から出店していた、激辛グルメ祭りの顔ともいえるお店だったけど、いつしか出店しなくなってしまったからだ。それが今年、堂々の復活。しかも大行列だ。王者の貫禄がある。

蒙古タンメン中本のインスタと激辛グルメ祭りのTwitterを両方フォローするとカップ麺がもらえる!というタイアップ企画もやっている。中本、気合が入っている。そして主催者側も、中本を丁重にお迎えしたという雰囲気が伝わってくる。

しばらく待てば行列が減るかな・・・一時的に滞留ができてしまっただけかな?としばらく様子を伺っていたが、列は減る気配がない。こりゃ駄目だ、今のうちに並んでおかないと、ますます待ち時間が伸びそうだ。

そういえば、会場入口の「本日の店舗メニュー」表示で、蒙古タンメン中本のところに注意書きのテプラが貼ってあったな。そこには「早めに売り切れる場合がございます。ご了承ください。」と書いてあった。つまり、行列ができることは想定のうち、というわけだ。さすが。

周囲を見渡すと、中本が出店しているブース近辺の飲食エリアが独特だ。蒙古タンメン中本公式のTシャツを着ている人たちが大勢いたからだ。中本グッズは、来店の都度もらえるポイントを貯めることによってもらうことができる。ただ、そう簡単にもらえるものではなく、「いきなり!ステーキ」の肉マイレージ以上に獲得が大変だ。そんなファンたちがいるわいるわ、オフ会でもやってるのか?というくらいにたくさんいる。

黒いTシャツ、赤いTシャツ、ワイシャツの人もいるし、スカジャンの人もいる。そのすべてに中本のロゴが入っている。男性も、女性も。そう、このお店は女性ファンが多いというのが特徴だ。ラーメン二郎とはそこが決定的に違う。

そしてそんな人たちに混じって、このお店の店主・白根誠氏が今日も店頭に立っていた。赤い柔道着のような服を着て、はちまき、金髪。遠くからでも目立つ格好だ。この人のサービス精神には本当に頭が下がる。昔の激辛グルメ祭りでも、お店の前で気さくにお客さんに声をかけ、写真撮影に応じていたけれども今年も全くそのスタイルに変わりなし。

自らを宣伝塔として蒙古タンメン中本あるところに白根氏の顔写真あり、となっている。ぱっと見は「目立ちたがり屋の社長」のように見えるけれど、そうじゃないのが人との接し方を見ていてよくわかる。アパの社長よりも、いきなり!ステーキの社長よりも、はるかにお客さんと接して会話をしている。

店内の調理スタッフは、「部長」の肩書を持つ人たちが担っていた。以前から、中本はこのイベントに対してエース級人材を投入してくる気合の入れようだけど、今回もそう。白根氏のお子さんも厨房でテキパキと動いていた。マスクをしていたけど、彼は相当イケメンっぽい。いずれ三代目店主として跡を継ぐのかもしれない。

驚いたのが、蒙古タンメン中本のアレルギー表記だ。

どのお店にもこの表記が張り出されているのだけど、あまり気にしたことがなかった。でも今回はやたら長い行列だったので、待っている間にアレルギー表記を熟読することができた。

すると、すごいもんだなこのお店。アレルギー物質だらけじゃないか。一杯のラーメンを作るのに一体どれだけの食材を使っているんだ?えびやかにが旨味の隠し味に使われているのはありえる話だけど、くるみやカシューナッツといったナッツ類まで入っているのにはびっくりだ。コクを出すためにごく少量入れているのだろうか?

弊息子タケは食物アレルギーでアナフィラキシー症状を出したことがある。それ以降アレルギー表記に敏感になったのだけど、残念ながら弊息子は中本の料理が食べられないことがわかった。

「ラーメンならこの食材は入っていないはず」などと油断して食べさせると大変なことになるパターン。最近の外食産業は調理技術が複雑かつ高度になったおかげで、いろいろな食材が混じり合ってしまいアレルギー持ちには大変だ。

このお店が提供する料理は2種類。「幸福になるチャーシュー」と「元気醤麺」。

このネーミングっていいな、と思った。両方ともポジティブで楽しい名前だからだ。そうだよな、辛い料理って本当は楽しいはずなんだよな。いつの間にか、ニヤニヤしながら苦痛を楽しむ自虐的な食べ物として扱っていた自分がいる。違う、そうじゃないんんだ。楽しく食べたいよね。

この名前を見て、なにか今日一日は楽しく過ごせそうだ、と思えた。そんな僕が選んだのは「元気醤麺」。

つい直前まで、産業医と面談をしていて「仕事と育児、どちらかのペースを落としたらどうか?」と助言されたばかりだ。ちょっと元気を出そう。

料理を受け取るとき、ちょうど店主の白根氏が店頭に戻ってきた。僕は白根氏と喋るのはちょっと恥ずかしかったのだけど、向こうから「どうもありがとうございます」と話しかけてくれたので、ちょっとお話をさせてもらった。

「激辛グルメ祭りに戻ってきてくれて嬉しいです。てっきりもう卒業されたのだと思っていました」
「昔って8月下旬から9月中旬くらいまでやってたでしょ?その間ずっと出店してくれ、とかいわれて無理だよーって言ってたんだよ。でも今回は3年ぶりの開催ということだし、じゃあぜひ、ということになったの」

へええ、そういう経緯があったのか。激辛グルメ祭りのキラーコンテンツとしてできるだけ長期間出店してほしかった主催者と、実店舗の営業との兼ね合いで長期は難しいお店側との調整がつかなかったのか。「儲けの分配で揉めた」みたいな泥臭い話じゃなくて、「もっと長く出店してくれ」と言われて辞退した、ってすごいことだよな。

いや、でもマジで中本って今や都内のあっちこっちにあるぞ?どこも混んでるけど。わざわざこのイベントで食べなくっても・・・とは思う。でも中本はこういうイベントに必ずオリジナル限定メニューをぶっこんでくるから、中本常連はこぞって来場するのだった。

白根店主は人たらしだと思う。こうやって常連顔なじみでもないお客さんに自ら声をかけ、記念撮影に応じてくれてりゃ、ファンになりますって。僕はもともと蒙古タンメン中本が好きだったけど(昔、上板橋本店からさほど遠くないところに住んでいた)、今更のようにその思いを再認識した。最近ご無沙汰しているから、またお店に通おう。

「元気醤麺」は、程よい辛さで心地よいバランス感覚の料理だった。最初口にしても辛さはさほど感じないけど、食べ終わってみればけっこう辛かったな、と思える出来だ。食べている間、つるっとした麺、どろっとしたあんかけ、コリッとしたメンマ、ふわっとしたチャーシュー、さくっと歯で噛み切れる玉子と食感が全然違うものが丼の中に詰まっている。なので、口の中で繰り広げられる食感を楽しみつつ、そのサポート役として唐辛子の辛さがある、といった感じ。

「イテテテ!」と一方的に痛めつけるような辛さはそこにはなく、おいしく食べられたのはさすが中本だ、と思った。

(つづく)

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