激辛グルメ駅伝2022

第一区間 2022年08月31日(水)

最初から想定はしていたが、「激辛グルメ駅伝」第一走に名乗り出る人はいなかった。この「アワレみ隊OnTheWeb」の場合、人手が必要となるオフ会企画の開催は厳しくなった。

コロナ情勢、読者層、読者数、企画そのものの魅力などを踏まえると、「個人プラスα」程度の小規模企画をやるのがやっと、なんだと思う。

そもそも、「初めまして」となるかもしれない人と飲食をともにしたいか?という話だ。「いやぁ、そこまでして誰かと交流したいとは思わない」という人が多いだろう。だってコロナだし、コロナのせいで人々のコミュニケーションの幅が狭くなったし。

そんなわけで、「どうせ誰も来ないんだろうな」と思っていて案の定誰も来ず、8月31日を迎えた。2022年シーズンの「激辛グルメ駅伝」、第一回目の開催予定日だ。

この日はとても重要で、ここを落とすと全店舗制覇が未達になってしまう。というのも、8月31日までで出店終了のお店があるからだ。

結局一人かよ、でも最初だけでもちゃんとやっておかなくちゃ、とぼやきながらも新宿区立大久保公園に向かった。

第二週、第四週には古くからの激辛グルメ仲間、ゆうどんさんが参戦してくれるという。なのでせめて四週までは僕一人の力でもなんとか持ちこたえたい。まずはそれが当面の目標だ。

午前12時前、現地到着。平日昼前の歌舞伎町なので、当然人は少ない。狙い目だ。

コロナ時代の影響で、僕はほぼテレワーク+完全フレックスタイム制度の勤務体系に切り替わった。そのため、こんな時間でも業務を中抜けすることができる。もちろん、上長には「中抜けする」旨報告済みだ。その結果、会場がガラガラなこんな時間帯に現地訪問ができたのでラッキーだ。

僕はこのイベント、土日祝日や20時以降は利用しないようにしている。というのも、客が多くてどのお店も長い行列ができてしまうからだ。こういうイベントの厨房は臨時のものであり、大量の客さばきに適した構造になっていない。そして店員さんも不慣れだし客も不慣れだ。一度行列ができてしまうと、そう簡単に列は解消しない。

なので空いている時間に行く、というのがこの手のイベントでは重要だ。ましてやコロナ時代なので、行列を作っている最中だとか、混雑している客席とかで感染するというのは残念すぎる展開だ。

この日出店しているのは9店舗。

これまで激辛グルメ祭りで定番となっていたお店から、「おやっ、初めて見る店名だな」というところまで、様々だ。

コロナのせいで飲食業は大打撃を受けたはずだ。今回のイベントで収益が増えると良いのだけれど。でも、コロナ期間中に従業員雇用を絞ったお店の場合、こういうイベントに臨時出店しようとしても人手が確保できなくなる。コロナであってもなくても、人材確保は飲食業でとても大変な課題だ。

それはともかく、今回は一人だ。援軍が来る気配がまったくないので、なんとかして来週水曜日にたすきをつなぎたい。そのためには、今日何食か食べて来週までにもう一回ここを訪れるか、それとも何品かをお持ち帰りにするか、手を打たないといけない。

今日一回で済ませようとするなら、9店舗中7店舗の料理を買うのがマスト条件になる。今日のお店のうち、来週水曜日時点でも出店を続けているのは2店舗だけだからだ。

今回不確定要素だったのが、「テイクアウトは可能なのか?」ということだった。これまでは「衛生上食べ物の持ち帰りは禁止」と会場に明記されていた。しかし、今年はどうだろうか。コロナは沈静化していないんだし、会場での飲食ではなくお持ち帰りにしたいというニーズは主催者だって理解しているはずだ。ひょっとしてテイクアウトが可能なのではないか?と思っている。

公式サイトにはこの件、何も記載がない。黙認なのか、それとも書き忘れただけで例年通り禁止なのか。

一応、ジップロックをこっそりと持ち込んでいる。何なら、禁を犯してでも家に持って帰ろうと思っている。でも、持ち帰った料理の話をこのサイト上に書くわけにはいかないので、たぶん無意味な行為だとは思う。

会場入口では検温とアルコール消毒があった。そしてゲートをくぐってすぐのところには、「いただきマウス」というフェイスシールドが置いてあった。どうやら無料で使って良いらしい。

料理が気になったのでここを素通りしてしまったけど、物は試しでこの「いただきマウス」、使ってみればよかった。一人でメシを食べるので全く不要なんだけれど。

さすがに平日昼前だと、ご覧の客足。ガラガラだ。

「座って食事ができるか?」という点においては全く問題はない。でも、この時点でもわずかに行列ができているお店があって、店によっては料理の提供に時間がかかる。

今年は完全キャッシュレス決済になった。各店舗は現金を扱わない。これはとても良いしくみだと思う。

これまで、会場入口に設置した食券機で800円券・1000円券・1200円券のいずれかを買う、という買い方をとってきた。また、ちょっと昔まではセブン・イレブンで前売券を買うと50円引きだった。こういうチケット制にすると利用者は手間だし、800円の券を買っていたのにお目当ての800円料理が売り切れていた場合、その券が無駄になってしまうという問題があった。券に現金を足してお会計をすることは認められていなかったからだ。

なので潔くキャッシュレスなのは本当にありがたい。

特に「前売券だと50円引き」という制度がなくなったのは僕は大歓迎だ。誰得だ?これ。こういう「知っている人ならお得」という制度をあれこれ用意すると、「知らなかったけど後になって知った人」はすげー損した気持ちになる。そして「知っている人」も事前に何の料理をどれだけ買うのか考えて、現地に着く前に前売券を買うという手間とリスクを背負う。こんなお得はいらないから、もう少しお店に利益が還元されるようにするとか、値段を下げるようにしたほうがいい。

なお、キャッシュレスだっつってるのに、現金払いを要求する客は相変わらずいた。場所柄なのか、金髪のにーちゃんだったけど、「なんで現金じゃだめなんだよ」と店員さんにゴネていた。「クレジットカードでもいいって?持ってねーよそんなの」と毒づいていた。

唯一現金が使えるのは、会場内に設置されたアサヒの自販機。

会場内では繰り返し「飲食物の持ち込みは禁止」というアナウンスが流れていた。また、飲食エリアのあちこちに赤いシャツを着たスタッフが配置されていて、客の誘導やゴミ捨てのフォローをすると同時に、飲み物の持ち込みをチェックしていた。

「激辛なので飲み物は多く用意したい。現地で高いお金を払いたくないので、スーパーやコンビニで安いドリンクを買い込んできた」

という人は、こういう空いている時間は完全にアウトだ。すぐに見つかる。悪いことは言わない、諦めて会場の飲み物を買おう。

ちなみに自販機のペットボトル飲料は180円。もちろん安くはない。

お酒類もアサヒが提供している。生ビールはスーパードライで600円。今年は瓶の「ビアリー」というビールも売られていた。僕が愛飲するノンアルコールビール、「ドライゼロ」も置いてあって400円。でも、昼間っから一人でノンアルコールビールを飲む気はしないので今回はパス。

激辛で灼けた喉を癒やす一品。以前はかき氷が売られていたこともあったし、フライドポテトだったときもあったが、今年はHIROTAのシューアイスが売られていた。ああ、これはこれでヒリヒリした口が救われるだろうな。

時代だなーと思ったのがこれ。飲み物販売屋台の脇に、「配信ブース」なるテントが用意されていたこと。

背後に激辛グルメ祭りのロゴが入ったパネルが設置され、ハイスタンドの長机が置いてある。YouTuberがここで「激辛チャレンジ!」などといった動画を撮影するための場所、ということだ。

数年前は、会場の片隅に記念撮影用の顔はめパネルが用意されていた。つまり、その当時は「SNS映え」を意識していたわけだけど、今年は動画配信にリソースを割いているわけだ。

ひとまず、4品を買い集めてきた。

行列が殆どない時間帯なのでありがたい。それでも、一人でこれだけ買い集めるにはそれなりの時間がかかった。オーダーが入ってから作り始める料理もあるので、その分待つしかない。また、店員さんがワンオペのお店もあり、注文、会計、調理、包装、受け渡し全部を一人でやっていて時間がかかっていた。

4店舗買い込んできたところで気がついた。

「あ、なるほど。テイクアウトできる料理と、できない料理があるんだな」

ということに。

どのお店も共通して言えるのは、プラ容器を使っていないということだ。おそらくイベント主催者から指定された紙製容器を使っていて、蓋つき容器の料理が中には存在する。

店舗によっては店頭に「TAKE OUT」の張り紙を貼っているところもあった。どうやら、お持ち帰りは主催者も公認らしい。よし、それだったらありがたい。今日一日で目標最低軒数である7店舗を全部巡ろう。そしてテイクアウト可能な容器の料理は持ち帰り、ここでじゃなきゃ食べられない容器の料理はここで食べることにする。

1店舗目 旨辛ダイニング~赤い壺

威勢のよいお兄さんの声につられて、真っ先に立ち寄ったのがこのお店。

本当なら、最優先で「今日、出店が最終日」であるお店に行くべきだったんだけど、つい。

店員さんの客引きというのはウザいだけで効果はないものだと思っていたけど、そんな懐疑的な僕でさえふらっと立ち寄ってしまう。人間って案外流されやすい生き物だ。

メニューはデザインが凝っている。今回のイベント用に作ったのではなく、もともとお店でこのメニューが存在しているのかもしれない。何しろ「激辛の聖地」を自ら名乗っているお店だから。

この激辛グルメ祭りは多彩なお店が出入りするけれど、「ガチで激辛を指向するお店」が出店していたり、「辛いものはお店で提供していないけれど、今回のイベントにあわせてレシピを開発してきました」というお店が出店していたりする。で、この「赤い壺」はその店名の通りガチ系だ。

辛さの段階が「旨辛」「激辛」「鬼辛」の三段階になっている。

「鬼辛」の設定があるのは真ん中の「唐辛子屋の牛タンスパイスカレー」だけだ。だったら当然このメニューを選ぶかと思いきや、隣の「壺の激辛ローストビーフ」の「激辛」を選んだ。だって、カレーというのは激辛メニューとして比較的メジャーなジャンルだし、となりのお店がカレーっぽい料理を提供していてこの後買う予定があるからだ。一方、ローストビーフを激辛にするというのは聞いたことがない。これはまたとない機会なので食べておかないと。

で、これが「壺の激辛ローストビーフ」1,000円。お持ち帰り対応ではない平皿で提供。

時節柄、「壺」という言葉を聞くといろいろ宗教めいたことを連想してしまうが、もちろん全く関係はない。

なんの変哲もないローストビーフだが、上に輪切りの唐辛子が載っているのが特徴。

・・・食べてみる。イテテテ、唐辛子がキーンと鋭く辛い。ズシンとくる重低音系の辛さではなく、高音系の辛さだ。この手の辛さは後を引くのでやっかいだ。辛さは図太くないけれど、しばらく痛みが引かない。

おっと、ローストビーフの下にはポテトサラダと、何かたこ焼きのようなボールが入っていた。

先程のメニューポスターによると、「旨辛ポテトサラダ」と「餃子だんご」なんだそうだ。

唐辛子の辛さのせいで、ポテサラに含まれているであろう辛さ成分は全く認識できなかった。また、餃子だんごを割ってみて発見した緑色の野菜が、唐辛子なのかピーマンなのかさえ、わからなかった。

ローストビーフそのものは辛くないのだけど、お皿にかかけられたソースは激辛なんだそうだ。でも舌がヒリヒリしていて、全く気づかなかった。

結論として、青唐辛子すげえ、という食べ物レビューとしては馬鹿なコメントとなってしまった。いや、でもこういう料理は素晴らしい。ちょっと感動した。「辛い料理といえば、赤か黒」というイメージを覆す、「青色による辛さ」は爽快だった。

やっぱり激辛グルメ祭り、いいなぁ。新しい発見がある。

だって、日常生活で「激辛ローストビーフ」なんて食べる機会あるか?ないだろ?だからこそ、こういうイベントに行く意味がある。辛い麻婆豆腐やカレーを食べるのもいいけど、「なんだこの料理は?」という見慣れないものに手を出すのは素晴らしいことだ。

(つづく)

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